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独身社員の給与の10%を強制天引き 親の口座へ振り込む「親孝行税」を導入した中国企業

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従業員の給料の一部を「親の口座」に振り込む会社があると、10月14日付のBBCニュースがレポートしています。中国の広州市のある美容室チェーンでは、従業員に道徳的価値観を植え付けるために、3年前からこの方法を採っているそうです。

「親孝行(孝道)」の精神は孔子によって提唱され、中国社会や文化の核となる価値とされています。中国のほとんどの親は、就職した子どもから給料の一部を受け取ることを期待しているようです。しかしこれが地元メディアで報じられると、やりすぎではないかという声があがりました。(文:夢野響子)
国も「頻繁に里帰りすること」を義務付ける法律を施行

美容室チェーンの広報担当者は、同社の従業員の多くが農村出身の教育不十分な若者だと指摘し、彼らが孝道を尽くすことを会社が奨励することで、「同情心を持つ」という会社のイメージも守りたいと説明します。

過去3年間にわたって実施されてきたこの取り組みは、求職者にも説明され、「これに反対する人は雇われることはない」のだそうです。

同チェーンでの平均基本給は約3000元(1元=19円として約5万7000円)。同社は独身従業員からは給与の10%、既婚従業員からは5%を毎月自動的に天引きして、彼らの両親の口座へ振り込んでいます。

その代わりに会社は、1年目の従業員には月100元(1900円)、3年以上勤めている人には月300元(5700円)の勤続手当を支払っているようなので、これでほぼ補てんされているのかもしれません。また同社は定期的に研修を行って、孝道を尽くすことなども従業員に教育しています。

ちなみに中国では、高齢の親から離れて住んでいる人に対し、親孝行を目的として頻繁に里帰りすることを義務付ける法律が2013年に可決されています。高齢者を金銭面や物質面だけでなく、精神面でもいたわることとし、冷たく接したりすることも禁止しているそうです。

このような法律ができたということは、中国の「親孝行」文化は形骸化し、国が強制しなければ保てなくなっている証拠でしょう。
「自分のためだけに使う」若者を批判する声も

この美容室チェーンの取り組みに対し、中国版ツイッターの微博(Weibo)には、

「親孝行は親孝行、給与は給与である…。給与は労働者のもので、親のためのものではない。会社が口出しすべきことではない」

という投稿が見られます。「意図はいいが、方法がキツすぎる。親孝行は自然に心から湧いてきてこそのものだ。このやり方(強制)は正しくない」という人もいます。

会社は従業員の権利を侵害しているという意見もあります。「これは市民の義務の意味を歪めているし、従業員とその家族のプライベートに干渉している」という声もあります。

その一方で、「より多くの親孝行を促進するために行われる必要なことだ」という称賛意見もあるようです。さらには、

「私はこれを支持する! 近頃は多くの若者が自分のためだけにお金を稼いで、自分のためだけに使っている。家族のことを思う者はとても少ない」

と嘆く声もあります。みなさんは、どうお考えでしょうか。

(参照)China chain imposes ‘filial piety tax’ on employees (BBC)

あわせてよみたい:中国ブラック企業、ノルマ未達の社員に「四つんばいで湖一周の刑」
 

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