「茨城も被災地」 鹿島アントラーズの小笠原選手ら訴え
東日本大震災は茨城県内にも大きな爪跡を残した。被害は2011年3月15日8時現在で、死亡19名、重傷35名、建物では全壊181棟、半壊917棟など甚大なものになっている。そんな中、茨城では14日夕方より東京電力の計画停電が実施された。これには橋本昌茨城県知事が「被災地にも関わらず、なぜ一番先に計画停電の対象に選ばれたのか、極めて疑問」と遺憾の意を表明。15日には計画停電の対象地域から外されたが、震災の影響で1万0,257棟(15日時点)が停電したままだ。Twitter上での情報を集積するサイト「SAVE IBARAKI」では、「食料不足・情報不足で困っています」「一切報道されず、しまいには計画停電に」と悲鳴のようなつぶやきが寄せられた。
■ 鹿嶋市など「日常生活も厳しい状態」
被害が特に大きい沿岸部にある鹿嶋市では300名、鉾田市で269名が避難生活を送っており、全域で断水状態。路面隆起、液状化などで道路も各所で寸断されている上、まだ停電している地域も多い。
この地域を本拠地とするサッカーチーム鹿島アントラーズは、スタジアムが損壊、トップチーム(主要メンバーのチーム)の活動休止を決断することになった。同チームの広報担当課長・小西弘樹さんは、
「断水していますから、選手も入浴できず、トイレに行っても流せない。洗濯もできないので練習も不可能です。特にガソリンが不足している現状では、車社会の鹿嶋では日常生活も厳しい」
と、苦渋の選択に至った経緯を語った。
■ 小笠原選手も悲痛「今は誰もが生きていくことで精いっぱい」
元日本代表で同チームのキャプテン・小笠原満男選手が「衝撃映像がない限り、なかなかテレビで報道されない」と話すように、茨城には地元テレビ局がなく、NHK水戸放送局があるだけ。放送局と鹿嶋市は50km以上離れており、取材に向かうのは難しいという。
被災地の岩手県出身でもある小笠原選手は「(盛岡市に住む)自分の家族は無事だったけど、(高校時代を過ごした)大船渡市の知り合いの消息はほとんど分かっていない。テレビでは無理だとしても、インターネットなどでもっと被災地の情報が得られるようにならないでしょうか」と話す。小笠原選手はまた、
「サッカーをすることで皆さんに元気を与えるのが自分の仕事だとは思うけど、今のところはそういうコメントをする気にはならない。今は誰もが生きていくことで精いっぱいだと思う。岩手の人にも茨城の人にも、その他の被災者の方にも、とにかく頑張って耐えてほしいと思っています」
と、コメントしている。
(ふじいりょう)
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