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りそな銀行「スマート正社員」導入から見える、残業常態化の労働環境

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りそな銀行がスマート社員の導入を決定

りそな銀行は今年10月から「業務範囲を限定した正社員」と「時間外勤務のない正社員」という、2つの新たな正社員制度(スマート正社員)の導入を決定しました。 「業務範囲を限定した正社員」は、自分に合った業務を長く続けたい行員のためのもので、支店間の異動はありますが、原則として事務職から営業職といった業務の変更を伴う異動はしないというものです。

「時間外勤務をしない正社員」は、 その名の通り残業をしない行員のことで、賞与は通常の行員の7割程度になるものの、等級・評価制度は同じであるため基本給は変わらず、管理職への昇進も可能です。子どもが3歳に達するまでしか認められなかった「時短勤務」も、小学校3年生(8~9歳)の3月末まで認められます。

注目したいのは「時間外勤務をしない正社員」

育児介護休業法で規定された「短時間勤務制度」は、1日の勤務時間が原則6時間までとなっているため、育児等に費やす時間が確保できる反面、短縮された勤務時間に比例して給与が低くなるというデメリットがありました。また、他の社員の就業時間中に帰るのは気まずく、責任ある仕事を任せてもらえないなど、キャリア継続に関してもさまざまな軋轢が生じているという現実もあります。

そんな状況で悩んでいる人にとって、自身のキャリアを中断することなく、仕事と育児・介護を両立できるこの制度はとてもありがたいものだと思います(りそなでは、スマート社員と短時間勤務とを、都合に合わせて選べるそうです

時間外労働が常態化していることに他ならない

しかし、同時にいくつかの疑問もあります。そもそも、正社員は残業するのが当然という前提とは、いかがなものでしょうか。わざわざ「残業なし」を制度化しなければならないというのは、時間外労働が常態化していることに他なりません。

また、同じ評価制度であれば、効率的に仕事を終わらせ、残業せずに成果を上げる人の方が高評価を得るのは当然のことです。にも関わらず、なぜスマート社員は賞与が3割もカットされるのでしょうか。長時間職場に拘束される人の方が会社に貢献している、という意識が透けて見えてしまいます。

他の企業にも広がる可能性がある

さらに言えば、この制度は女性行員の利用を想定しているようですが、男性が親の介護などに直面した場合でも、スムーズに利用できるのでしょうか。本当に昇進には影響がないのか、管理職が希望した場合はどうするのか…、懸念点を挙げていけばきりがありません。

それでも、「時間外労働なし」を制度として実施するのは、残業大国日本にあって、とても意義ある取り組みだと思います。りそなのこの取り組みがうまくいけば、ワークライフバランスを実現する先例となり、他の企業にも広がる可能性が出てくるでしょう。10月の制度導入以降も、ぜひ注目していきたいと思います。

(五井 淳子/社会保険労務士)

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