俳優の役割が自身のCGに置き換えられたら? 『コングレス未来学会議』の世界がちょっぴり怖い
ハリウッドは俳優の絶頂期の容姿をスキャンし、そのデジタルデータを自由に使って映画を制作するという新たなビジネスを発明。すでにキアヌ・リーブスらが契約書にサインしたとのこと。つまり、キアヌが現場に足を運ぶことなく、キアヌ主演の映画をCGで制作できてしまうのです。
――という不思議なテーマの映画『コングレス未来学会議』(6月20日公開)をご紹介します。「どうりで最近のキアヌときたら……」と思った方、あくまでもフィクションですからね。
主人公は、『フォレスト・ガンプ/一期一会』(’94)で一躍注目を浴びたロビン・ライト。近年では大人気テレビドラマシリーズ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』に出演し、いくつかのエピソードで監督も務めるなど多彩な才能を発揮する彼女が、本作ではロビン・ライト本人役として登場しています。
そんな彼女にも、ハリウッドからデジタルデータに関する契約の話が舞い込みます。初めは笑い飛ばした彼女でしたが、40歳を過ぎて女優の仕事が激減し、シングルマザーとして難病をかかえる息子を養わなければならない現実に直面。悩んだ末に、巨額のギャラと引き換えに20年間の契約で自身のデータを売り渡してしまいます。
その後、スクリーンの中では若いままのロビン(のデータ)が、これまで出演を拒んできたアクション映画のヒロインを演じ続けるのです。CMとかで女優の肌がツルツルしている現象の究極系ですね。そして20年後、文明はさらなる進歩を加速。彼女はある決意を胸に、驚がくのパラダイスと化したハリウッドに再び乗り込むことに……。
メガホンを務めるのは、『戦場でワルツを』で自らの戦争体験をドキュメンタリー・アニメとして描き、世界を震かんさせたアリ・フォルマン監督。今作では、実写とアニメを交えて独自の世界観を演出しています。
聞くところによると、アニメになってからの展開がドラッ……、いや、ものすごくブラックでハリウッドへの風刺になっているのだとか。俳優が、そしてハリウッドが向かう未来とは……?
原作は、SF界の巨星スタニスワフ・レムの小説『泰平ヨンの未来学会議』。日本語の翻訳版は長らく絶版となっており、一部では高値が付いていましたが、5月下旬にハヤカワ文庫SFより改訳版が刊行されるとのこと。こちらも要チェックです!
映画『コングレス未来学会議』予告編(YouTube)
http://youtu.be/YccNX_uiWzA
(C)2013 Bridgit Folman Film Gang, Pandora Film, Entre Chien et Loup, Paul Thiltges Distributions, Opus Film, ARP
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