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外務省の海外安全情報の読み方ーーリスクを測る・基礎編(付録:ケニア・ガリッサの危険度)(東京大学准教授 池内恵)

読み取り方がわからない時、分かる人に聞いてみましょう。大使館・総領事館に聞いてみると、意外に親切に教えてくれる(かもしれない)。

本当はリスク情報をより細やかにして、渡航者が観光客であるか、ビジネスで行くのかなども考慮した上で情報を発信する企業などが育つといいのですが。

3.しばしば事後になってしまうが:渡航情報(危険情報) を読んでみよう

大事件が起きた時などは、渡航情報が特に発せられて、ホームページの上の方の目立つところに載っています。今なら、3月18日のチュニスのテロを受けて、チュニスの危険度が引き上げられたことが、外務省の安全情報のホームページに特に告知されています。

事件の後では遅いではないか、という考え方もあるが、そもそも秘密組織の行動を予測することは困難です。当事者たちが意図を隠すからです。一つ大きな事件が起きた後は便乗犯も出てきますし取り締まりも厳しくなりますから、衝突が連鎖したり反作用が生じたりする。特に注意が必要です。

「チュニジアについての渡航情報(危険情報)の発出」 2015年03月19日 『外務省 海外安全ホームページ』
http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo.asp?infocode=2015T041#ad-image-0

4.大前提として:首都の重要施設、ランドマークはいかなる国でもテロの潜在的対象

→これは外務省としてはおそらく一番書きにくいことだと思うのですが、首都は常に高い確率でテロのターゲットになります。
しかし外務省では安全情報で首都の危険度を上げることは、おそらく躊躇しているでしょう。

首都は通常主要な空港があり、経済活動の多くが行われるため、首都を危険と認定すると多くの交流が途絶えてしまいかねないという事情があります。観光客はどこに行くにしてもまず首都を通ることが一般的です。それが一番便利だからです。相手国政府は首都の危険性を認定されることを非常に嫌いますので、外交関係上も、首都の危険度を引き上げるのは勇気がいります。

また首都は規模が大きいため、テロなどが生じても実際に遭遇する確率は低いとはいえます(ただし、小さい国であらゆるものが首都のある地域に集まっている場合などは、首都で何か事件に巻き込まれる可能性がある)。

実際、チュニジアも首都チュニスの危険度は一番下の「十分注意」に止められていました。それが3月18日のバルドー博物館でのテロを受けて下から2段階目に引き上げられたのです。

ケニアの例でも、見にくいですが、地図を拡大すると、首都ナイロビは現在のチュニス同様、下から2番目(上から3番目)の、「渡航の是非を検討してください」になっています。2013年9月21日にナイロビのショッピング・モール「ウェストゲート」が襲撃された事件があったことなどから、引き上げられているのでしょう。

→そもそも観光客はテロの対象になりやすいということは、厳しい現実ですが、知っておいたほうがいいでしょう。観光名所やランドマークで事件を起こすと国際的な注目が集まるため、テロ実行者にとって効果が大きくなります。海外からの観光客はほぼ必ず丸腰ですから、反撃してくる可能性のない、いわゆる「ソフトターゲット」です。

また、観光客を狙うことで経済的な打撃を与えることによる政治的な効果を目論む勢力が活動を活発化させている国・地域の場合、現地の一般人よりも観光客の方が身に危険が及ぶ可能性が高い場合があります。

これを言ってしまうと、そもそも観光客だからこそ危ないということになってしまいます。観光名所やランドマークに行くからこそ観光になるのであって、それを避けるということになるとなんのために観光に行っているかわからなくなる。この問題には解決策がありません。そもそもそのような不自由を生じさせることがテロの目的なのですから。

(まあ私個人は町の食堂で現地の人と喋りながら新聞を読んでいるだけで観光になる人間なので、一番リスクが低いのですが・・・)。

執筆: この記事は東京大学准教授 池内恵さんのブログ『中東・イスラーム学の風姿花伝』から転載させていただきました。

転載記事は2015年04月10日時点のものです。

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