日本現代美術の特異性 精神科医が収集したミラーニューロンとは?
名和晃平《PixCell-Lion》/東京オペラシティ アートギャラリーWebサイトより
東京オペラシティ アートギャラリーにて精神科医・高橋龍太郎さんの収集による現代アートコレクションを展示する「高橋コレクション展 ミラー・ニューロン」が、2015年4月18日(土)から6月28日(日)にかけて開催される。
本展では、高橋さんが日本のアートと文化を考えるためのキーワードとして提案する「ミラー・ニューロン」をタイトルに冠し、歴史的な視座から、日本現代アートの流れを読み解いていくという。
草間彌生さん、舟越桂さん、名和晃平さん、Chim↑Pomなど、大ベテランから若手まで、そうそうたる顔ぶれの52人の作家の、約140点にも及ぶ作品を展示する。
日本の現代美術家そろいぶみ ミラー・ニューロンとは?
「高橋コレクション」は、1990年代以降の日本のアートシーンを俯瞰するうえで欠かせない存在として、アーティストや批評家、コレクター等から高い評価を得てきた。
高橋龍太郎さんは、奈良美智さん、村上隆さん、会田誠さん、ヤノベケンジさんといった、日本の現代アートを代表する作家たちにいち早く注目し、コレクターとして名を馳せた人物。
また、近年では日本の現代美術の重要な動向とされる「もの派」をはじめ、ベテラン作家の作品も積極的に収集する姿勢を見せている。前述以外にも、横尾忠則さん、山口晃さん、Mr.さん、束芋さん、町田久美さんなど、多くの有名作家が名を連ねている。
日本現代アートの歴史をなぞりつつ、その重要な部分を凝縮して再確認できる展覧会となりそうだ。本展に寄せて、高橋龍太郎さんは、「ミラーニューロン」について以下のようにコメントしている。
ミラーニューロンはイタリア、パルマ大学のジャコモ・リゾラッティによって、1996年発見された神経細胞である。実験者がエサを拾い上げたときに、それを見ていただけのマカクザルが、エサを取るときと同じ脳の部位が活動したことに由来する。このように他者の行動を自分もやったかのように映すニューロンは、人間にも存在することが確かめられている。
人間はこのミラーニューロンによってもたらされる模倣行動によって、他者の行動を理解し共感する。人間の言語をこのミラーニューロンによって獲得されたものとする学説もある。
しかし人間にとって最大の模倣は自然への模倣だろう。アリストテレスは、芸術は自然を模倣するとして、模倣(ミメーシス)を人間の本質と高く評価した。
1980年代以降現代アートは模倣と引用によるシミュレーショニズムの影響なくしては語れない。しかしシミュレーションといえば、日本には本歌取り、見立て、やつし等、千年の歴史がある。とするなら日本の現代アートシーンは、正面に西欧のアートミラーがあり、背後に千年の伝統ミラーを見据える合わせ鏡の只中にあることになる。
それは世界のアートシーンのなかの稀有な痙攣する美になるのか。はたまた無限に映し返される煉獄に過ぎないのか。
高橋龍太郎さんのコメント
引用元
日本現代美術の特異性 精神科医が収集したミラーニューロンとは?
関連記事
爆ポップな鬼才 ぬQが個展開催! 未発表アニメ、家宝展示
萌えキャラの実存に迫る あいそ桃か個展「ももか exseeeeess!!」
もの派の重鎮・李禹煥個展──村上隆が語る、マンガと並ぶアジアが生んだ芸術
ウェブサイト: http://kai-you.net
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。