日本のサブカルチャーはもはやサブではない!『AnimeJapan 2015』

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東京ビッグサイトで開催されたAnimeJapan 2015に取材に出向いた。

著者はアニメに関しての知識はほとんどないが、サブカルチャーであるアニメが日本を代表する文化の発信源となり、文化だけではなく経済をも動かす原動力となっている現状を知識のない素人目線から考察したい。

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まずはテレビアニメから。昔から続く人気アニメもあれば、次から次へと登場する新作アニメもある。

4月4日(土)夕方5時30分から読売テレビ・日本テレビ系列で放送予定の「電波教師」放送直前イベントを取材した。OPテーマを担当する主題歌を歌うアーティストの「TrySail」が登場し、主題歌のミニライブをおこなった。アイドルのコンサートかと思うほどの熱気で、アニメファンに愛されていることがわかる。続いて主人公の妹役の声を担当するSKE48・乃木坂46の松井玲奈が登場。自分で自分のアニメを見た松井玲奈は恥ずかしいと顔を赤らめていたのが印象的だった。松井いわく、「スカッとするアニメ」ということなので、こうご期待だ。出演者は松井玲奈(鑑 純音役)、TrySail(麻倉もも、雨宮天、夏川椎菜)、小新井涼(MC)。

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アニメそのものの人気はもちろんだが、声優がアニメとは別分野で人気を確立していることがわかる。見る人、関わる人によってそれぞれの楽しみ方があるのがアニメの奥深さなのだろう。

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会場のブースは人だらけでゆっくり話を聞ける状態ではなかったが、その中で面白いブースを見つけた。SUGOI JAPANというそれこそすごい名称のブースだが、直近10年間で発売された漫画、アニメ等の分野でネット上で国民投票をして世界中に発信しようという企画のようだ。実際に7万票あまりの投票があり、今回が第1回目の試みなんだそうだ。こうして発掘された作品が文化として発信されるのはまさにすごいこととしか言いようがない。説明してくれた担当者自身も元々アニメに興味も関心もなかったのだそうだが、友達の輪で影響を受けてこの世界に飛び込んだ経験から、知らない人には友達の輪で広がってほしいと願っていた。

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続いて、アニメといえばキャラクターグッズをはじめとする物販も多くのファンが訪れる目的でもある。残念ながら限定商品そのものは開始30分で売り切れるらしく、お目にかかることはできなかったが、物販目的で来場したファンに話を聞くことができた。
チョッパーさんは大阪から来場した女性アニメファンだ。大阪から夜行バスで東京まで来て2日間の会期を連続で入場し、また夜行バスで大阪に戻るそうだ。彼女は買い物に10万円くらい使うそうで、本人の感覚では多い方だという。限定グッズを手に入れるためにはファストチケットという3500円の優先入場権を購入しなければ売り切れてしまうのだそうだ。ただし、この優先入場権には本来の前売り入場券1600円は付いておらず、別途購入しなければならないので結構な出費だろう。そんなイベントのたびに東京に来ていたのでは交通費も入場料も相当な負担なのではないのかと尋ねてみたところ、友人にはそのためだけに東京に転居してしまった人もいるというから驚きだ。彼女は買い物で歩き疲れて休んでいるところだったが、あと少し買い物をして荷物は大阪に送り夜行バスで帰るそうだ。

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ヲタと言ってしまえばそれまでだが、好きなことにお金と時間と労力を惜しみなく使えるのは、精神的にぜい沢であることは間違いない。「物欲も自己満足です」ときっぱり言い放った彼女のようなファンがもたらす経済効果は、決して小さくはない。

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別棟で開催されていたビジネスゾーンをのぞいてみた。ここでは純粋にアニメビジネスの商談の場ではあるが、驚いたことにブースを訪れるビジネス客はほとんどが外国人だ。商社の商談ではないかと勘違いするほど国際色豊かかな商談会場だった。もはやアニメは日本のオタクを満足させるだけではなく、世界中にその文化的影響と経済的効果をもたらす原動力となっていることは間違いない。

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最後にコスプレゾーンを取材した。ところが、コスプレゾーンでもないのにコスプレをしてしかもスタッフパスを首からぶら下げている女性を発見した。話を聞いてみると、コスプレ衣装を貸し出しているショップのブースだった。慣れた人は各自で衣装を用意してメイクを施すが、これからコスプレに挑戦してみようという「コスプレ初心者」もいるという。そのような初心者に公式衣装を貸出し、コスプレの世界に気軽に飛び込んでもらおうという狙いだ。貸出料金は1000円でそれに主催者に支払う更衣室使用料が500円。1500円でコスプレできるというからなかなか盛況のようだ。

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そこで実際にコスプレをしている人に話を聞いてみた。愛唯さん、マコカナさん、りおさんの3名だ。ラブライブの衣装ということだが残念ながら著者にはさっぱりわからない。3人はわからない著者に熱く説明してくれたが、今現在では一番人気なのでこの種類のコスプレをする人が最も多いということだ。どうせやるならきれいな方がいいし、やってて楽しい。他の人見るのも楽しいという彼女の衣装代は受注生産で15000円くらいという。確かに楽しそうだ。

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もう一組にも話を聞いた。コスプレ歴12年と4年のチョコさんと空夜さんだ。職場仲間がたまたまコスプレをしていたのだそうで、こちらは楽しいということもあるが、実際は恥ずかしいという。完全に自己満足の世界だと言い放つが、それはそれで充実しているようにも見える。衣装はすべて手作りで、衣装作りからすでにコスプレライフなのかもしれない。

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ところで、コスプレをする人あれば、撮る人あり。コスプレをしている人の数倍の「カメラマン」がひしめき合う。よく観察していると、政治家の囲み取材よろしく、一人のコスプレイヤーを囲んで撮影しているケースもあれば、順序よく並んで一人ひとりのカメラマンが「独占撮影」するケースもあった。特に誰が仕切るわけでもなく、自然と秩序ができている。カメラマンの装備も様々でスマホで撮る人、高級一眼レフに高級スピードライト、中にはレフ板持参でポーズを指示しながらソロ撮影する人と様々だ。

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この光景を見て感じたのは、「お客さんは一人もいない」という現実だ。コスプレイヤーも参加者なら、カメラマンも参加者、ついでにプレスパスをぶら下げている著者も双方を取材する参加者。その場に集う人全員が上下の分け隔てなく等しくイベント参加者なのである。

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お互いに撮って撮られて挨拶をし、お礼を言いあう。はたから見ればヲタ同志の集まりかもしれないが、そこには暗黙の了解とルール、紳士的な精神がある。譲り合いと思いやり、お互いを信頼し、いたわりの精神がなければ成立しない立派な日本の文化がそこにはあった。

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それにしても日本のサブカルチャーのパワーに圧倒された。もはやアニヲタだけの世界では済まされない、とてつもない日本の誇れるコンテンツであるという認識を新たにした。

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著者はアニメについては知識はないが、今回の取材を通して平成25年3月15日衆議院財務金融委員会における麻生太郎財務大臣の答弁を思い出した。この答弁は日本のソフトパワー、クールジャパン戦略等について牧島かれん議員の質問に対して答弁したものである。

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おそらくアニメに知識がなくても、なるほどと思う日本のアニメを端的に表現した答弁だったので、国会議事録から紹介して結びとしたい。

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「我々、アニメという話をよくします。このアニメーションというものの中で、ずっと続いて、今でも売れている人気のアニメーションというのは、多分、ポケモン、ドラえもん、ワンピースだと思います。これで今笑えた人は、わかっている人たちなんですよね。この問題を聞いて、多分、笑えない人がいっぱいいるんだと思うんだ。

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ポケモンというものの一番のよさは、一言もしゃべらないんですよ。チュッとキュキュキュしかしゃべらないんですから、ポケットモンスターというのは。でも、言葉がなしでもコミュニケーションはできるという、この文化を世界に植えつけた最初のものだと思いますね。

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ドラえもん、アストロボーイというのは鉄腕アトムのことですけれども、これも同様に、ロボットは人間が困ったときに助けてくれるという概念を日本人に植えつけたがゆえに、日本では世界で一番ロボットが普及した。ヨーロッパでは普及しませんでしたから。ロボットが人間を使うという話になって、普及しなかった。

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ワンピースの方は、これはどう考えても、あれだけのキャラがわちゃわちゃ立っているものなんですけれども、とにかく徹底していることはたった一つで、困ったやつは必ず助ける、仲間は絶対助けるという哲学なんですよ。

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この三つが普及するということは、日本というものの文化がサブカルチャーを通じて世界に広まっていくということなんだと思います。こういったものがいいとして日本に人が来るというのは、少なくとも、活字文化ではなくて、こういったものから入ってくる、それはそれなりに、外国語とか英語とかいうのが余りうまくない日本人にとりましては、絵で通じるというのは非常に大きいので、我々は、昔は絵を描いたり漫画を描いてきたのが、高山寺の鳥獣戯画にさかのぼってありますので、いろいろな意味で、こういったものは今後とももっと自信を持ってやっていくというのが観光等々にもつながっていくんだ、私自身の独断と偏見ですけれども、そう思っています。」

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※「電波教師」放送直前イベントに関する記事は株式会社A-1 Pictures企画開発グループ 版権制作室および株式会社アニプレックス 国内ライセンス部の記事校正を受け、写真とキービジュアルはプレス配信されたオフィシャルスチール等を許諾を得て使用。その他の写真については著者自身もしくは同行カメラマン小野寺稔昭撮影のもの。掲載写真および取材内容についてはプレスパスの交付を受け、主催者制定の取材レギュレーションに準拠して取材したもの。(「電波教師」に関する記事加筆のため、初版と内容を変更しています)

©東毅/小学館・読売テレビ・A-1 Pictures 2015

※この記事はガジェ通ウェブライターの「古川 智規」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

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