アメリカでのアルバム発売日はなぜ毎週火曜なのか?
先日、音楽業界がアルバム発売日を世界的に金曜日にするとしたことで様々な疑問が生じているが、その一つは、アメリカでのアルバム・リリースはなぜ火曜日なのかということだ。
過去数十年にわたりアメリカではニューアルバム(および市販のシングルのほとんど)は毎週火曜日に発売されている。火曜がスタンダードな発売日となったのは1989年4月のことで、その前月(3月3~7日)に行われたNARM(全米レコード小売業協会)協議会での話し合いを受けてのものだった。それまでは、アメリカのニューアルバム発売日は長らく月曜日が一般的だったのだ。
1989年3月18日号のビルボード誌で当時の編集長、ジェフ・メイフィールドは、「新しくCEMA(かつて配給したCapitol Records、EMI Records、Manhattan Records、Angel Recordsの頭文字)の社長に任命されたラス・バックは、火曜を発売日にするよう業界に呼び掛けた。そして協議会の終わる頃までに彼の望みはかなったのです。ポリグラムもCEMAと同じように発売日を火曜にすると発表したため、月曜発売は唯一MCAのみとなった。旧体制では多くのレコードショップが主要商品を受け取るのが月曜の非常に遅い時間になっていることを、バックは懸念していた」とリポートしている。
また、ビルボード3月25日号ではアップデート記事を掲載。「4月よりポリグラムは発売日を火曜日とする。CEMAがNARMで同様の発表をしており、MCAを除くすべてのメジャー各社が火曜を発売日とする」とした。(後にMCAも火曜に変更している)
ビルボードは、1994年から2008年までチャート・ディレクターを務めることになるメイフィールドに対し、月曜から火曜日へ発売日を変更した詳しい説明を求めた。すると彼は、月曜の遅い時間にも新商品の配送を受け取れないショップがいくつかあり、ライバル店がまったく同じ商品を手に入れてから数時間後(もしくは数日後)にようやく店頭に並び始めるようになってしまうと、バックの話を繰り返した。
しかし、これは音楽を手にするには基本的にショップに行ってアルバムやシングルを買うしかなかった、デジタル時代より以前の話となる。誰もがその週のニューリリース・アイテムを同時に販売できるよう条件を公平にするため、業界は一斉発売日を火曜に移したのだ。
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