有効求人倍率加速、景気は回復している?
2014年平均の有効求人倍率は1.09倍
有効求人倍率とは、全国の公共職業安定所に申し込まれた求人数を求職者数で割った数値です。1.0を上回ると「仕事さえ選ばなければ必ず仕事はある」という状態です。
厚生労働省の発表によると、2014年、年間平均の有効求人倍率は前年比で0.16ポイント上昇し、1.09倍となりました。これは、新規求人数が前年比5.0%上昇しているのに対し、新規求職者数が7.4%減少していることが数値を改善させています。
また、昨年最終月の12月には、有効求人倍率が前月比0.03ポイント上昇の1.15倍と高水準でした。この1年、数値だけ見ると、人手不足になってきていることがわかります。では、はたして景気は回復しているのでしょうか?
実質賃金が下がっているため、景気が回復したとは言いがたい
有効求人倍率は上がってきましたが、2014年の実質賃金は、2.5%減少となりました。現金給与総額(1人平均)は、前年比0.8%増となったにもかかわらず、消費税の増税などが響き、リーマンショック後の2009年の2.6%減少に次ぐ、大きな減少となってしまいました。
有効求人倍率は上がっても、実質賃金が下がっているため、まだ景気が回復したとは言いがたいところでしょう。景気回復もまだら模様で、もう少し賃金の上昇などを見ないと何とも言えないところです。
今後も有効求人倍率が上がれば、市場原理で給与も上がる?
しかしながら、今後も有効求人倍率が上がると、企業は募集しても人が集まらない「採用難」に陥ります。そうなると、市場原理から給与水準を上げ、他社よりも有利な条件を出さなければならなくなります。そういう意味では、今後、景気の回復を徐々に感じられるようになるかもしれません。
ただ、企業にとっては生産性が低いと、高い賃金を支払えず、人も集まらず、事業の存続も危ぶまれます。そうなる前に、無駄な作業・会議などはないか、仕事を見直し労働生産性を上げていく必要がありそうです。企業としては、今のうちから人手不足の対策をしておくことが求められます。
(影山 正伸/社会保険労務士)
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