やっぱり大事なのは職場の人間関係? 働かないゾンビ描く「ワーキングデッド」が最終回

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やっぱり大事なのは職場の人間関係? 働かないゾンビ描く「ワーキングデッド」が最終回

日本の企業に巣食う働く(働かない?)ゾンビの様々なタイプを、再現ドラマを交えて紹介する「ワーキングデッド」(BSジャパン)。大げさすぎる描写もあったけど、「働く」とか「職場」というテーマでここまでやるかと感心しながら毎回見ていた。

果敢な挑戦は、さすがテレ東系の衛星放送局だ。そんなユニークな番組も、2014年12月25日の放送が最終回。「就活生のためのワーキングデッド講座」と題してスタジオに有名大の学生たち16人を招き、これまでのデッドを振り返りながらネットニュース編集者の中川淳一郎氏が質問に答えていた。
中川淳一郎氏「同期の自慢は真に受けるな」

働くゾンビは「どんな業種に多いのか」という質問に、中川氏自身が自らも新卒で入社した「広告業界」を挙げた。労働時間が長く会社ごとの競争が激しい広告業界では、「若い人が書いたコピーも立場がエライ人の手柄にされる」など、他人の手柄を横取りする「アレオレ(あれ俺がやった)デッド」が多く生息すると明かした。

手柄を横取りされた若い人が不満を抱き、2ちゃんねるに悪口を書く「2ちゃんねるデッド」もいるとか。同期と比べて自分は惨めだと思ってしまう「同期へのコンプレックスデッド」にもなりやすいと、自らの経験を語った。

「入社1年目で『俺は90億扱っているんだ』と自慢するヤツがいた。そんなわけない。オマエの部署で扱っているだけで、オマエひとりでやってねえだろと。でも新人の時は『やべえ、負けた』と思うんですよ」

中川氏は、入社した年に「太刀打ちできない、早く辞めよう」と思ってしまったそうだ。こうならないためには、「女にモテるとかサバゲーとか、何でもいい。仕事だけで切羽詰まってないで、趣味や生きがいを持つといい」と語る。それでも収まらず、

「1年目で『俺これやった』などと言うのは全部ウソですから」
「OB訪問で2~3年目のやつが『こんなこと手掛けた』などと言うのも全部ウソ」

と断言。仕事に憧れを持ちたい学生には拍子抜けするアドバイスかもしれないが、すべて真に受けて心が折れてしまった彼にとっては誠実な回答なのかもしれない。
会社の栄養ドリンクが「いつも売り切れ」なら要注意

また、中川氏は新人が被害を受けやすいゾンビとして、過剰な体育会系「修造もどきデッド」と、コストパフォーマンスばかり追求させる「過剰コスパデッド」をあげた。

さらに新人自身が感染しやすいゾンビとして、社会人2年目なのに一人前になったと勘違いする「社二病デッド」や、無意味なランキングを勝手にして相手を蹴落とそうとする「勘違いマウンティングデッド」も紹介した。

このようなゾンビがその会社に多いかどうか、どこで見分けるかという学生の質問に、中川氏は「離職率が高いこと」を挙げ、広告業界で言われているのは「冗談みたいなことだが」とした上で、こう話した。

「会社の自販機の栄養ドリンクが、いつも売り切れになっているか」

このほか、女子新入社員にとって危険すぎるデッドとして、「週刊SPA!」を盲信して女性をヤレるヤレないだけで判断する「過剰SPA!デッド」や、秋元康のプロデュース力に憧れるあまり的外れな方針で社員を振り回す「秋元Pもどきデッド」を紹介した。

誇張したコント風の再現VTRを、学生たちは全員落ち着いた表情で冷静に見ていた。現実にはここまで酷くないとは思っているからなのだろうが、内心はこれから就職する会社がそうだったらどうしようと不安になっていたかもしれない。
フツーの人たちが「人間関係」こじらせゾンビ化

番組で紹介されたゾンビたちは、いまは会社の大荷物だが、きっと入社時にはこの学生たちのように、不安と期待で胸を膨らませていた若者だったのではないだろうか。

会社は事業を推進し、仕事をする場だと学生たちは思っている。しかし実際には「感情を持った人間の集団」でもあり、そこには自然と「人間関係」が生じてくる。それがこじれてしまうと、フツーの人たちがいつしかゾンビ化してしまうのだ。

中川氏のような一流大を出て大企業に入った人でも、そんな世界に巻き込まれるのだから、ゾンビと一緒に働きたくないと思っても叶うかどうか。実際に入ってみないと分からないことが多すぎるし、かなり運にも左右される気がしてならない。(ライター:okei)

あわせてよみたい:中川氏「いいね!」はすべて押さないか、押しまくるしかない
 

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