祝バンド生活25年! 人間椅子インタビュー「僕達ずっと青春をやってるんだなって改めて思う」
今年でバンド生活25周年となる人間椅子。12月3日にはファン待望の『現世は夢〜25周年記念ベストアルバム〜』をリリースしました。この『現世は夢〜25周年記念ベストアルバム〜』は、既発表曲に加えて、デビュー前のインディーズ盤収録曲、さらに新曲4曲入りの 豪華盤。昔からのファンも、筆者の様な新規ファンも人間椅子が“ブレずに”25年間やってきた楽曲をじっくり噛み締める事の出来る一枚です。
今回は、人間椅子の和嶋慎治さん、鈴木研一さん、ナカジマノブさんにインタビュー。本アルバムについてや、バンド生活25年を振り返ってみて、今後の展望など色々とお話を伺ってきました。
―『現世は夢〜25周年記念ベストアルバム〜』が12月3日にリリースとなりましたが、このベストアルバム企画・選曲についての想いを聞かせてください。
和嶋:今年バンド生活25年という事で、このタイミングでベスト盤を出そうとずっと決めていました。マニアックな曲も入れたかったのですが、そうすると3枚組になっちゃうし……というのでかなり迷って、ライブで盛り上がる曲を中心に選曲を。
後は初期の楽曲を入れたかったんですね。僕達は「イカすバンド天国」という番組で認めてもらって、今も音楽を続けているわけですが、当時インディーズで出したアルバムに入った楽曲をベストアルバムに入れました。これを聴くと“初期衝動”というのかな、当時の勢いを感じてもらえると思う。この楽曲は今手に入りにくいし、聴いた事無い人もたくさんいると思うので。
―貴重な楽曲が入るという事で、昔からのファンも嬉しく、また、新曲も4曲入っているというのが、私の様な新しいファンにも嬉しい限りです。
和嶋:そうですね、普通ベストアルバムというと新曲は入れても1、2曲かなと思うんだけど、人間椅子はこれから30周年、35周年に向けて走り続けていくぞという気持ちで4曲作りました。この新曲はベストアルバムの中の選び抜かれて来た他の楽曲と並ぶわけで、遜色ない曲を作らないといけないなと。でもオリジナルアルバムでは無い分、自由に制作出来たので、次のアルバムを示唆する様な楽曲になりましたね。
―このタイトル、アートワークについてはいかがでしょうか。
和嶋:曲を作る事って夢の具現化の様な作業なんですよ。江戸川乱歩の「現世(うつし)は夢、夜の夢こそまこと」という言葉がありますが、25年目という節目にふさわしい言葉だなと思って。それで、ジャケットのアートワークも万華鏡で浮世離れした、時間を感じさせないというイメージに。
―改めて、バンド生活25年という月日を振り返ってみていかがですか?
和嶋:単純に時間だけ考えてみるとすごく長い時間なんだけど、振り返るとあっという間だったなあ。一曲目から改めて聴いてみると、とても新鮮なんですよね。色褪せてない。僕達ずっと青春をやってるんだなって改めて思った。
鈴木:年々早く感じるのもあるよね。この間ライブやったばかりなのに、またライブかみたいな(笑)。
和嶋:年をとって、時間が早く感じるというのも確かにある(笑)。ノブ君は加入してから10年だもんね、さらにあっという間だよね。
ナカジマ:本当、10年ってあっという間ですよね。とにかくドラム叩くのが好きなので「楽しい!」って思ってたら10年過ぎてた。このベストアルバムには僕が加入する前の曲もたくさんありますが、改めて初期の楽曲と最新楽曲を聴き比べてみて。何も変わってないなと思いましたね。2人がやってきた事が最初から格好良くて、信念を持って突き進んで来たんだなと感じましたね。
―その“ブレなさ”は意識せずとも?
和嶋:いえ、バンドを結成した時に決めたんです。僕と鈴木君はブリティッシュロックに憧れて楽器をはじめて。でも英語での歌詞は説得力つけられないなと思って、日本語で奇妙な歌詞をつけようと。そこからコンセプトはずっと変わらない。
―25周年を迎えるアーティストって他にもたくさんいるとは思いますが、人間椅子ほどずっと活動を止めずに来たバンドって本当に珍しいのでは無いかと。
和嶋:僕等が誇れる事といえば、まさにそこですね。途中で活動休止もせず、解散もせずやってきた。一年に一枚とは言えないけど、三年に二枚くらいのペースでアルバムを出し続けてきた。活動休止せずやってきて良かったと思いますよ。いくら休止といっても、一度辞めてしまうとパッションは失われてしまうんじゃないかなと。だから、飯食えなかったり、辛い事もたくさんあったけど歯を食いしばって絶対辞めないって決めたね。バンドが人生で一番面白い事だから、何としてでも辞めたくない。めちゃくちゃにカッコイイ曲作って、ライブで皆が盛り上がってくれる。こんなに楽しい事って他に無いよね。
―人間椅子と言えばライブの格好良さ、そしてこの独特の衣装ですが、これも最初からコンセプトはブレずに?
和嶋:僕達が、いわゆるロックな格好しても似合わないかなと思って。人間椅子のヴィジュアルを見て、ハードロックバンドだとは誰も思わないよね。後は鈴木君のインパクトのあるヴィジュアルを……。
鈴木:最初は二人で変な格好してたはずなんだけどねぇ。
和嶋:鈴木君がネズミ男の格好だったり、その後僕が宇宙人の格好したり……だいぶ迷走した時期もあったよね。
ナカジマ:加入前から人間椅子の事は大好きだったから、僕もカッコイイ和装をしようと色々考えたんだけど、剣道の防具も案にあって、でも研ちゃん(鈴木)がもうやってたんだよね。後は甚平とか皆着てるしなあ……とか色々考えましたね。Tシャツが一番演奏しやすいのは当たり前だけど、それって“日常”ですもんね。
和嶋:そうそう。僕等のやってる音楽って非日常だから。
―和装が若者世代にとっては新しいっていうのも、面白い現象ですよね。2013年の「Ozzfest Japan2013」出演、ももいろクローバーZとの共演、などなど。新しいファンが増えている事は実感としてありますか?
和嶋:オズフェスは「イカ天」出演と同じ、いやそれ以上に新しい扉が開けるなと出演前から思っていたんだけど、フタを開けてみたら思った以上の反響でした。オズフェス前も徐々にライブに若い人が増えてきたなと思っていたんだけど、以降はさらに増えて。皆も新鮮な気持ちでライブを楽しんでくれているのだと思う。人間椅子のライブって、古いお客さんと同窓会やってるわけじゃないんだよね。
―確かに。私もライブを見させていただいて、結構女性ファンも多いですよね。
和嶋:不思議ですよね。おじさん3人のバンドに女性がね。
ナカジマ:でも、やっぱり男の人もすげー多いなとも思うんですよね。ライブってどのバンドも女性のパワーが強い事が多いんだけど、人間椅子の場合は男の「うおおお!」って歓声が多い。それってすごい嬉しいんですよね、それだけでテンションあがっちゃう。17、18ですって男の子達がインストアイベントに来てくれたりすると、自分の子供の年齢くらいなのに、こうして共通の音楽で盛り上がってくれるのは嬉しいですね。
―若い世代と言えば、12月に発売される声優・上坂すみれさんのニューシングルにも楽曲を提供されていますね。
和嶋:人間椅子はハードロックバンドですけれども、サブカルチャー的な要素もありますから、上坂さんの様なサブカル女子とご一緒出来るのは嬉しいですね。今回ベストアルバムで改めて自分達の音楽のブレなさを感じ、そしてそんなバンドに楽曲提供の依頼が来るというのは素晴らしい事ですね。だから、上坂さんに提供すると言っても何も変えずに人間椅子らしい楽曲を、と思いました。上坂さんの曲を気に入って、人間椅子を聴いても何も変わらないサウンドが楽しめるんじゃないかな。
―上坂さんは声優界でも独自のスタイルを築いていらっしゃいますし、人間椅子とのコラボでさらにお互いのファン同士が刺激にもなりますよね。
和嶋:僕達のライブの動員が増えてきたというのは、インターネットのおかげがあると思うんですね。そんなに宣伝してなかった時期も、ネットで若い子達が見つけてくれて、ライブに来てくれて。おかげさまで最近は海外の方から質問や問い合わせが来たりする事もあって、これは状況が整えば海外に行けるぞと。ヨーロッパであろうと、アメリカであろうと、ロックの本場に行ってみたいですね。
鈴木:やっぱ人間椅子の音楽はアメリカじゃなくて、ヨーロッパじゃないかな。ドイツ、北欧……。イギリスももちろんね。
和嶋:オズフェス出て思ったんだよね。体力とか楽器の弾き方とかは全然違うなって思ったけど、でもライブに関しては全然イケるなって思った。
―人間椅子の海外公演、実現したらかなり盛り上がりそうです!
和嶋:近い未来にやってみたいね。まずは来年「現世は夢〜バンド生活二十五年〜」ワンマンツアーがはじまって、1月24日には渋谷公会堂でワンマンライブがあります。“渋公”でライブが出来るっていうのは僕達にとって特別な事だから、これから30周年、40周年、50周年にむけてやり続けるぞって気持ちで挑みたいですね。
―私もライブに行く日を楽しみにしております。今日はありがとうございました!
カメラマン:ほりた よしか
『現世は夢〜25周年記念ベストアルバム〜』
初回限定盤(2CD+豪華オリジナル特典付)TKCA-74167 ¥4,630(税抜)
通常盤(2CD)TKCA-74171 ¥3,611(税抜)
人間椅子「宇宙からの色」
https://www.youtube.com/watch?v=1JY89ZxVqEg
人間椅子オフィシャルサイト
http://ningen-isu.com
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