10%への再増税に必要な7-9月期のGDPはいくらか

access_time create folder生活・趣味

 

 先月の本コラム(消費増税有識者と衆院解散)に書いたとおりの展開になってきた。11月19日(大安)解散-12月14日(友引)総選挙というスケジュールで、解散風が吹いている。

 

 いうまでもなく解散は首相の専権事項である。安倍首相が外遊中なので、すべては帰国してからだが、もはや現場は動き出しているので、止まらないだろう。

 

 いずれにしても、7-9月期のGDPは、消費増税の判断をするうえでも注目されているが、その一次速報は11月17日に公表される。消費増税10%への再引き上げを行うなら、本来GDPはどれぐらいの数字でなければならないだろうか。

 

 ちょっと数字を使って頭の体操をしてみよう。2014年1-3月期、4-6月期の実際の実質GDP(年換算)は、それぞれ、535.0兆円、525.3兆円だった。1-3月期では駆け込み需要、4-6月期ではその反動減と消費増税による需要減があった。

 

 もし今年4月の消費増税がなかったなら、1-3月期、4-6月期は、それぞれ前年同期比2%の成長があっただろう。実際、2013年7-9月期、10-12月期ではともに2.4%の成長だったのだ。そうであれば、1-3月期、4-6月期の実質GDPは531.5兆円、536.0兆円だっただろう。となると、1-3月期での駆け込み需要増は、実際の535.0兆円から増税なった場合の531.5兆円を引いた3.5兆円。4-6月期では、その分反動減となるはずだ。しかし、それ以上に7.3兆円ほどGDPが減少しているので、それは消費増税の悪影響とみてよい(これはあくまで筆者の目の子であり、きちんとした数字ではないが、イメージはつかめるだろう)。141113高橋さん(表作成:政策工房) 

 この消費増税の悪影響は、7-9月期も同じ程度で継続するはずだ。もし増税がなければ、538.4兆円のはずだが、消費増税の悪影響を受けて、それより7.3兆円少ない531.1兆円程度になってもいいだろう。これでも、消費増税の悪影響があったので、本来得られるはずのGDP538.4兆円より小さいが、増税派にとってギリギリ想定内と言えなくもない。その数字の前期比は4.5%増だ。つまり、7-9月期の実質GDPが前期比4.5%増なら、増税派は10%への再増税容認というだろう。

 

 もちろん、増税スキップ派の筆者にはこれでもトンでもない数字である。筆者であれば、7-9月期は消費増税なしの場合に本来得られているはずの前年同期比2%増の538.4兆円程度でないと再増税には賛同しかねる。ちなみに、この数字は前期比10%増(年率換算)である。 

  1. HOME
  2. 生活・趣味
  3. 10%への再増税に必要な7-9月期のGDPはいくらか
access_time create folder生活・趣味

政策工房

霞が関と永田町でつくられる“政策”“法律”“予算”。 その裏側にどのような問題がひそみ、本当の論点とは何なのか―。 高橋洋一会長、原英史社長はじめとする株式会社政策工房スタッフが、 直面する政策課題のポイント、一般メディアが報じない政策の真相、 国会動向などについての解説レポートを配信中!

ウェブサイト: http://seisaku-koubou.blog.jp/

TwitterID: @seisakukoubou

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。