太平洋戦争の激戦区「パプアニューギニア」が、いまバブル経済の舞台に

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太平洋戦争の激戦区「パプアニューギニア」が、いまバブル経済の舞台に

69年前、先の大戦で激戦区となった南太平洋の島国、パプアニューギニア。2009年に天然資源が発見され、国民所得はこの5年間で倍増。高級マンションに富裕層が飛びつくなど、パブル経済を迎えている。

今年5月には天然ガスの日本への輸出が始まり、日本にとっての重要度も増している。めざましく発展している一方、都市部での失業率は80%と高く、貧富の差も激しい。治安の悪さから「天国に一番近い島」との皮肉な呼び名もある。

2014年8月18日放送の「未来世紀ジパング」(テレビ東京)は、かつての日本兵がつなぐ強い絆や、資金援助だけではない日本式の援助の仕方など知られざる関係を紹介した。
初代首相を指導したのは「元日本兵」

太平洋戦争では、戦闘だけでなく飢餓やマラリアで13万人もの日本兵が亡くなり、現地の人たちもおよそ5万人が犠牲になった。

そんなかつての激戦地で、私財を投じて地元ホテルを再建した日本人がいる。海の特攻隊である人間魚雷「回天」の元乗組員で、出撃直前に終戦を迎えた川畑静さん(88)だ。

「ここの人たちの窮状を少しでも日本人が分かってくれれば、その話が伝わり、一度パプアニューギニアに行ってみようかと、1人でも2人でも来てもらえれば友好の促進につながる。小さな力だけど」(川畑さん)

川畑さんは自然しかなかったこの村に、観光という産業を根付かせた。現地のひとを大勢雇い、彼らの生活を豊かにしたかったそうだ。

ここで働くスタッフの中には、身寄りがなく川畑さんが育てた人も多い。川畑さんがスタッフを「うちのファミリーみたいなもんです」と話すと、うつむいて涙をにじませた女性もいた。細身の川畑さんは「ビッグマン」と呼ばれ、人々の尊敬を集めている。

ジャングル深くにあり、船でしか行くことのできないニューギニア島カウプ村では、戦争中、飢餓状態にあった日本兵たちに食べ物を分け、温かくもてなしてくれた。当時中尉だった柴田幸雄さんが恩返しにと、教育のなかったこの村に読み書きを教えはじめた。その中に、初代首相のマイケル・ソマレ氏がいた。

「柴田さんは素晴らしい先生でした。学ぶことの大切さを教えてくれ、私は進学することにしました。私を導いてくれたのは柴田さんでした。人生で何をすべきかを」(ソマレ氏)

中国との「ODA合戦」が激化

1949~75年、パプアニューギニアは、オーストラリアの委任統治下にあった。ソマレ氏は「いつか、国を作りなさい」という柴田さんの言葉を胸に独立運動に身を投じ、1975年に独立。初代首相に就任した。

日本はこの40年間で1500億円のODAを行っている。一番の友好国だと思いたいところだが、中国は2014年の1年だけで3000億円の援助を行い、関係を強めている。天然ガスは日本だけでなく中国にも輸出され、中国企業の進出も相次いでいる。

開発ラッシュに沸くこの国は、かつて国土の9割だった森林が6割にまで減っている。深刻な森林破壊の原因は、木材の海外輸出と、次々に森を焼く「焼き畑農法」だという。

この問題に取り組むのが、日本のNGO団体「オイスカ」だ。各部族の代表を集めて農業研修を行っている。稲作・野菜栽培・養豚などを教え、輸出用の野菜栽培も進めている。

さらに、パプアニューギニア産の天然エビが日本に輸出されていた。漁師は「エビで大儲けさ」と嬉しそうに語る。GDP成長率は来年20%を超えると言われ、日本人の所得を超えるとも言われている。
「金儲け」だけでない関係づくりを

番組ナビゲーターの太田泰彦氏(日本経済新聞社・論説委員兼編集委員)は、医療や上下水道のインフラ整備、地震や津波など自然災害の対策は日本の得意分野とした上で、日本との特別な関係をこうまとめた。

「パプアニューギニアは、ただ”金儲け、市場”という見方で付き合っていく国ではない。お互い助け合い、償い、慰霊、鎮霊もある。そういう特別な心のつながりがある国だ」

日本は今後3年間で200億円の経済援助を決定しているが、これが「援助合戦」「資源の奪い合い」になっていくのではと気になった。パプアニューギニアに資源があろうとなかろうと、太田氏の言うように「特別な心のつながり」があって、お互いの国益につなげられれば良いのだが。(ライター:okei)

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