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日本人のこだわりを捨てよう! 「サムライカレー」をカンボジア人に合う味にアレンジしてみる

日本人のこだわりを捨てよう! 「サムライカレー」をカンボジア人に合う味にアレンジしてみる

日本で「経験値」を上げる環境が得られない若者向けに、カンボジアで起業体験ができる場所が作りたくて、「カレー屋でもやってみようか?」で始まったサムライカレー・プロジェクト。何とかおいしいカレーができたと思いきや、お客の7割はカンボジア在住の日本人が占めていました。

海外ビジネスにおける「日本人相手のビジネス」は、必ず一定の割合を占めるもの。必ずしも悪いことではないのですが、これではわざわざ海外で起業体験をする魅力が半減します。そこでマーケティング力の強化を兼ねて「現地の人に売るチャレンジをしてみよう!」ということになりました。

味のヒントを探して、店の向かいの「料理の上手なおばちゃん」に教えを請いに行った話は、前回も書いたとおりです。おばちゃんを雇うとコスト的にはオーバーするし、おばちゃんにも他の仕事があるので、とりあえず自分たちで作ってみることにしました。
あくまでも「現地人の味覚」に合うものを目指す
徹底的に聞く

おばちゃんが作ったクメールカレーは、実は「辛くないカレー」。たっぷりのココナッツミルクに、少しの香辛料とたくさんの野菜や肉を入れて、じっくり煮込む。甘くてコクのあるルーが特徴です。

カンボジア人は、これが大好き。クメールカレーに麺を入れたり、パンにつけたりして食べています。ご飯で食べることも。我々が思っているカレーとは、全く別の食べ物と言っていいくらい違うものですが、そのおいしさにうなってしまいました。

「いや、ヤバイね、これ。日本風にアレンジする必要ないわ」
「現地で受けるためには、こだわりを捨てて真似から入りますか」
「でも、自分たちでこの味を再現できるのかなあ」

日本のメーカーは技術力では勝っているのに、なぜかアジア市場で中韓メーカーに勝てないのかというと、それは「現地化」が足りないから。悔しかったら思い込みを捨て、現地の泥にまみれて売れるものを自らの手でつかみ取るしかありません。

我々もおばちゃんの技を見ながら採ったノートと写真を見ながら、カンボジア人に受ける「サムライクメールカレー作り」の模索が始まります。できあがったカレーを見ると、なぜか色が赤い…。おばちゃんは計りなんて使いませんし、思いっきり目分量。しかも手際よく高速で作るので、メモが追いつかなかったのです。
軽やかな試行錯誤は「マニュアル」では学べない

しかし、この赤いクメールカレー、結構おいしい。クメールカレーのコクと、通常の3倍の辛さがマッチしていて、いい感じです。お客さんに無償提供したときも、なかなか好評。瓢箪から駒。棚からぼた餅。その赤さから、

「シャア専用クメールカレー!」

という声があがりました。「これはこれでいいかもしれない」という思いがよぎりつつ、我々が求めるのは「カンボジア人に受けるクメールカレー」と思い直しました。いくら我々の口に合っていても、今は何の価値もないのです。

とりあえず「シャア専用」レシピは将来のために温存し、唐辛子の量を減らして再トライ。おばちゃんに試食してもらって微調整を何度か繰り返して、ついにサムライ”クメール”カレーのレシピが完成しました。

原価を計算してみると、従来よりかなり安い値段に抑えられることも分かりました。サムライカレーオリジナルは、肉とバターの原価が高いのですが、サムライクメールカレーはココナッツミルクが入りますが、バターが不要になります。

だったら、これまでの3.5ドルから大幅値下げして、2ドルで売っちゃう!? 100杯売っても、たったの2万円なんですけど…。まあ、もう、売ったれ! ということで、売ってみたら、カンボジア人のお客さんがたくさん来てくれましたとさ。

この柔軟性、スピードこそが、サムライカレーの醍醐味です。日本の洗練された職場では、精緻なマニュアルで「正解」を学べるけど、一部の人しか自由な試行錯誤を味わえません。軽やかな試行錯誤こそが、未知の領域を開拓するための「経験値」を上げる早道なのだと思います。(森山たつを)

あわせてよみたい:若者よ、カンボジアでカレー屋やろうぜ! やらされ仕事を離れて1か月全力疾走

【プロフィール】森山たつを
1976年生まれ。外資系IT企業、日系大手自動車メーカーに勤務後、世界一周旅行を経てアジア7カ国で就職活動。ほぼすべての国で内定を得たが現地就職せず、「海外就職研究家」を名乗りフリーに。『セカ就! 世界で就職するという選択肢』(朝日出版社)など著書多数。現在はフィリピン・セブ島に在住。ブログ「もりぞお海外研究所」。ツイッター@mota2008

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