対談:岸博幸×原英史 「『役人の掟』は若い人たちにこそ読んでほしい本」 [連載:岩盤規制(特別企画)]
今回は、東京プレスクラブ主催の対談「岸博幸×原英史」の一部をお伝えします。
岸博幸(慶應大学教授):最近、政策に関する話題があんまりない。どっちかというと、兵庫県のおかしな県議、都議会議員のセクハラ発言など。皆さん、結構怒っていると思います。
でも、こういうスキャンダル系の話より、もっと怒るべきことがある。つまり、皆さんの生活がもっとよくできる可能性が大きく、ビジネスチャンスもたくさんあるのに、政府の「規制によって阻害されている現実」がある。だから、安倍政権も成長戦略で規制改革をがんばっているわけです。
安倍政権は「2年間で岩盤規制を改革する」と言っていますが、どういう規制を改革すべきかというリストが、『日本人を縛りつける役人の掟』には網羅されています。この本を書いたのは、原英史君。知っている人は知っているように、元経済産業省の官僚で、今は政策工房という会社の社長をやりながら、万年野党という政策NPOの理事もやっています。この本は具体的にどういう本か、ひとことでいうと?
原英史(政策工房代表取締役):ひとことでいうと、岩盤規制とは何かをひととおり全部解説をしました。目次をみていただくと、タクシー、医薬品のインターネット販売、農業、漁業、医療とか。
岸:例えば、皆さんタクシーに乗ると、日本はなんでこんなに高いんだと思いません? また、薬は、去年もインターネット販売が全面解禁とはならなかった。買える薬、買えない薬があるのはなんでなやねん? 意外と身近なところでも、わからない不思議なことがある。なぜなのかは、この本を読むとだいたい書いてあります。
「なんかおかしいやん」ということは、裏を返せば、ビジネスチャンスにもつながるし、自分の生活を改善するきっかけにもなる。そういったものが全部リストアップしてあるということだよね。
原:そうですね。
岸:僕はこの本は、若い人や、生活上の不便・不満のある方に読んでもらった方が、気が付くところが多いと思っています。「給料があがんないな。これで将来大丈夫かな」と思っている若い人、「お父さんの給料あがんないな」と思っている主婦の人、そういう若い人たちにこそ読んでほしいなと思ってますが、この本、若い人が読んでもわかるよね?
原:わかりやすく書いたんです。というのは、岩盤規制の世界って、なぜ岩盤が維持されるかというと、規制があることで既得権益の人たちだけが得をして、多くの人は搾取されているという構図です。ところが、搾取されている人が搾取されていると理解していないから、そこがひっくり返らないわけです。だから、若い人たちを含めて、できるだけ多くの人に理解をいただかないといけないと思っています。
岸:役人の世界の本って、いっぱい出ていますよね。僕がお世辞抜きでこの本が一番優れていると思う理由は簡単で、これ皆さんご存じないと思いますけど、実は原君って、すごく性格が悪いんです。元役人で、役人の内情を知り尽した性格の悪い人間ですから、ある意味で本当に一番暴露している。原君と同じ経産省出身で古賀茂明さんがいますが、経産省で本当に物がわかった官僚は、古賀さんより原君の方が嫌いです。
原:そんなことはない(笑)
岸:それぐらいに性格の悪い人間が書いた本ですから、逆に言えば、本当のことが全部書いてありますので、ぜひ読んでほしいなと個人的には思っています。
続きは動画にてご覧ください。
東京プレスクラブ主催対談「岸博幸×原英史」
http://youtu.be/mSwGxklx0yU
(株式会社政策工房代表取締役 原 英史)
関連書籍
『日本人を縛りつける役所の掟 岩盤規制を打ち破れ』(7月1日刊行)では、岩盤規制の主要21分野について、それぞれの規制の内容、問題点、背後にある利権構造等を解説しています。
アベノミクスの行方に関心のある方、岩盤規制打破の先にあるビジネスチャンスに関心のある方にお薦めの一冊です。
http://www.amazon.co.jp/dp/4093897492
第1部 身近なところに潜む「役人の掟」
「道路運送法(タクシー規制)」「薬事法(薬のネット販売規制)「医師法(ワンコイン健診規制)」「食品衛生法(オフィス街の路上弁当販売規制)」ほか
第2部 成長産業の邪魔をする「役人の掟」
「農地法(農業への新規参入規制)」」「健康保険法(混合診療問題)」「社会福祉法(待機児童問題)」「電波法(電波オークション問題)」「労働者派遣法(日雇い派遣規制)」ほか
第3部 国家の仕組みを牛耳る「役人の掟」
「法人税法(税金タダの特権法人)「公職選挙法(若者の政治参加規制)」「道路整備特措法(高速道路の民間開放)」「国家公務員法(官僚の人事制度改革)」「地方公務員法(天下り規制)」ほか
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