ネットで学力低下?読書することの意義
ネット利用時間が長くなると、学力が低下するという調査結果が
先日、神戸新聞NEXTに、「ネットしすぎ学力低下」という記事が掲載されました。まとめるならば、インターネットを多く利用する小中学生ほど学力が低く、読書量が多いほど学力が高い傾向にある、ということです。この問題に関して、実際に教育現場で活動している人間として少し話をしたいと思います。
まず、インターネットについて。「ネットを利用する」というと、どのような状況を想像しますか。おそらく半数以上の人が、机に向かって座り、パソコンで調べものをしたり、動画を見たりする場面を思い浮かべるのではないでしょうか。
実は、今の小中学生たちはほとんどパソコンを使えません。マウスの操作方法はもとより、グーグルの検索方法なども理解していないのです。彼らがネットに接するのはスマートフォンが中心で、その内容は「LINEで友達と話す」「ゲームをする」「素人が書いた携帯小説を読む」などがほとんどです。使用する機器はスマホが中心のため、布団の中でもソファに寝そべりながらでもどこでもでき、区切りをつけにくく、いつまでたっても離そうとしません。「やめなさい」と声をかけても、子どもは「あともう少し」というだけで、実際にはやめないという人も多いでしょう。
私の経営する塾では、入塾時にアンケートで1日の携帯電話の使用時間を聞いていますが、やはり使用時間が長い生徒ほど成績は低い傾向にあり、その逆は滅多にいません。親が取れる唯一の対策は、1日の使用時間に制限を加えることです。今の携帯電話は、機種によって購入時に使用時間やアクセス先も制限できるので、親子で相談の上、最初からルールを決めてしまうべきです。一度購入すると手放したくなくなるため、最初から手を打っておくことをお勧めします。
読書は、他者の考え・意見・事実を知ることのできる優秀なツール
次に読書の大切さについて。昔から言われている通り、読書は大切です。読書している人全てが国語の成績が良いというわけではありませんが、本を読む人には、あらゆる意味で「話が通じる」「想像力がある」という長所が見られます。逆に、本をあまり読まない人は社会や数学の教科書を声に出して読ませてもたどたどしく、解説を読んでも理解できません。本を読まない生徒たちは、大人なら誰でも知っていることを平然と質問してきます。
先日も、中学生が社会のテスト勉強をしながら「狩りって何?」「宗教って?」「政府って何?」「貴族と武士?」など、「全く知らないので教えてほしい」と無邪気に聞いてきました。何も難しい純文学を中学生のうちから読めというわけではありません。ですが、せめて小学校低学年の間は親が何度も本を読み聞かせ、もう少し学年が上がったら歴史漫画や理科の漫画、ドラマ化された小説などをきっかけに、本に触れさせるべきでしょう。読書は、時間や空間にとらわれずに、他者の考え・意見・事実を知ることのできる優秀なツールであり、「日本語」が通じるようになるいちばん基本的な練習法です。是非、低年齢時から読み聞かせ、読書をさせてほしいと思います。
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