発注はいい加減なのに、検収には「宗教的情熱」 金属加工業界のお話に「分かりすぎて泣いた」の声

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発注はいい加減なのに、検収には「宗教的情熱」 金属加工業界のお話に「分かりすぎて泣いた」の声あるツイッターユーザー(@mucha610610)が書いた「金属加工業界のお話」が話題になっている。togetterにまとめられたエントリーは2500以上のリツイートを集め、さまざまな業種の人から「あるある」と共感を得ているようだ。

投稿者は東大阪の中小企業で、金属加工の職人をしている。金属を成型し、産業機械や自動車などの素材をつくる仕事で、決して追い風が吹いている業界ではないが、それにしても「働く時間が長い割には業績にならない」のだという。

冷やし中華の注文に「熱々のカレーラーメン」
なぜ売上が伸びないのか。その最たる理由は「加工・製作に失敗して作り直し」となることが非常に多いから。失敗の理由で最も多いのが、「発注側と受注側のすれ違い」だという。

発注側は、明らかに図面で示さなければならないところを口頭で済ませようする。図面になっていても、細かい所がルーペでも見えないものだったり、どこを精密に作って欲しいのかが分からなかったりする。

曖昧な図面を見た受注側の職人は、「これは●●に使う製品だろうから、書いてないけどここは重要に違いない」と推測して作る。その結果、

「発注する側と受注する側の双方がテキトーに進めた結果、冷やし中華が欲しかったお客さんに対して熱々のカレーラーメンをどや顔で出す」

ということになってしまう。作り直しである。

不明点を確認しようと発注側に聞いても、発注側の営業は図面を書く技術者とコミュニケーションを取ることを避けたがる傾向にあるので、「あくまで営業畑なので分からない」という文句が返ってくる。

「ひどいのになると、図面に『ここは適当でいいから』という意味の記号をつけておいて、後で『なんでここ精密に作ってくれないんですかー!』と言い出す超大手とか」

「あれ?Web業界じゃね?」という声も
図面は適当なのに、いざ出来上がりとなると、検収時の発注者は「どーでもいいとこに過剰な品質を追求する宗教的情熱」を発揮する。部品表面の注意書きが「コンマ1ミリずれた」など誰にも分からない箇所のミスでも、作り直しを命じられる。

事前の打ち合わせで「0.3ミリの誤差まではOK」と言われていたのに、いざ0.02ミリの誤差で納品された加工に別の担当者が作り直しを命じるなど、すれ違いは日常茶飯事だ。発注担当者からはこう言い放たれる。

「困りますね。作り直して下さい。途中までの手直しは僕が夜23時まで残ってやりますから、そこで座って待っててください」

発注側は大手企業が多いが、残業代目当てでこんな進め方をしているのだろうか。彼らが図面レベルで精密な指示を出さない理由について、投稿者は疑心暗鬼になっている。

「精密に作って欲しいなら、それ相応のお金を加工業者に払わないといけない。でも安く作らせたいのなら、そこを伏せておいて見積もりを出させて、後になって『これ寸法こんなに狂ってるよ』とイチャモンをつけられる(方法を採る)」

こうした業界の慣行を、投稿者は「一生懸命になってダメな製品を作り続けて、日本の時間当たりのGDP額を下げる日々」「そりゃコスト競争で他国に負けるわ」と自虐的に綴っている。

発注側の大手と、受注側の中小企業――。この関係性は他の業界にも共通する部分があり、ネットでは「あれ?Web業界じゃね?」「あるある。ありすぎて泣けてくる」と共感するコメントも多い。印刷会社やデザイン会社、システム開発、広告代理店などの請け負い仕事にも、少なからず同じ構図があるようだ。

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