四次元ポケットを考えていたら、他のひみつ道具の原理も説明できた

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『ドラえもん』のひみつ道具は夢の世界のものだと思っていましたが、意外と説明がついちゃいますね。すごく驚き。今回は Piro(ぴろ)さんのブログ『outsider reflex』からご寄稿いただきました。

四次元ポケットを考えていたら、他のひみつ道具の原理も説明できた
『ドラえもん』の『四次元ポケット』について真面目に考えてみた。

『四次元ポケット』の中には、外見から想像される容積よりはるかに多くの物を格納することができる。また、内部空間は『スペアポケット』との間で共有されているため、『スペアポケット』から入ってドラえもんのポケットから出てくるということもできる。(実際に、行方不明・回収不能になったドラえもんを発見するためにこの方法を使ったエピソードもある。)

4次元という物を正しく理解すると、どのようにすればこういった仕組みを実現できるのかが見えてくる。

4次元を理解するには、2次元と3次元を対比した場合を考えるのが手っ取り早い。
●2次元の住人である2Dドラえもんや2Dのび太達は、床の上に置かれた1枚の巨大な模造紙のようなレイヤー(層)である、2次元世界で生活している。
・この世界は平面なので、X軸とY軸しかない。

●ここで、2Dドラえもんがお腹の3次元ポケットに2次元の物体を放り込んだとしよう。するとその物体は、2Dドラえもん達が生活しているレイヤーから数mmだけZ軸方向にずれた所に平行に浮かんでいる別のレイヤに移動する。
・つまり、物体は「3次元ポケットの中に入っている」のではなく、レイヤー同士をつなぐ3次元ポケットという「ゲート」を通じて別のレイヤへ移動されているのである。

●これらのレイヤーの重なりの方向であるZ軸は、2次元世界のX軸とY軸に対してそれぞれ90度直交している。2次元世界の住人達はZ軸の存在を知らないし、Z軸方向に動くこともできないので、隣のレイヤにある物体を見ることはできないし、ぶつかることもない。

●同様のレイヤーが、2Dドラえもんの生活する2次元世界や3次元ポケットの先のレイヤの他にも無数に存在していて、ミルフィーユのように積み重なっている。2Dドラえもんの3次元ポケットの出口をどのレイヤーに設定するか――出口をどれだけZ軸方向にずらすかは、おそらく任意に決めることができる。
・よって、スペア3Dポケットは、出口のレイヤーの設定が同一である複数の3次元ポケット同士の事を指すのだと考えられる。

●2Dドラえもんとスペア3Dポケットが離れた所にある場合はどうなるか。レイヤーを何らかの方法で折り曲げると、2Dドラえもん、スペア3Dポケット、そして「3次元ポケットの先のレイヤー」上の点とが重なる。こうして、スペア3Dポケットに入った2Dのび太は、海の底に沈んでいる2Dドラえもんのお腹の3次元ポケットから出てくることができる。

●同じ事が、ポケットの中に放り込んだ物を取り出す時にも言える。3次元ポケットの先のレイヤーと2Dドラえもんがいるレイヤとの関係を逆にすれば、レイヤー状の好きなところにある物を、別のレイヤーの2Dドラえもんがいる位置まで持ってくることができると分かる。

話を我々が暮らす3次元を基準にして考えてみよう。
●我々はX・Y・Zの3つの直交する軸が存在する3次元空間で生活している。

●ここで3Dドラえもんがお腹の『四次元ポケット』に物体を放り込むと、その物体は、X・Y・Zのすべての軸に直交する第4の軸の分だけ「ずれた」所に移動される。その「ずれた」方向を我々は認識することもできなければ、その方向に我々自身が「ずれる」事もできないので、その物体は目に見えないし、触ることもできない。

●スペアポケットに入ると、自分自身がその「ずれた」方向に同じだけ「ずれる」事になるので、『四次元ポケット』の中に放り込まれた物体達に遭遇する事ができる。さらにそこにある「出口」を通ると「ずれ」が元に戻るので、またしずかちゃんやジャイアンやスネ夫と再会する事ができる。『四次元ポケット』とスペアポケットのある位置が離れていても問題にはならない。

こうして考えてみると、『どこでもドア』や『道路光線』や『通り抜けフープ』、『ビッグライト』や『スモールライト』や『ガリバートンネル』も、おそらく同じ基礎技術に基づいて開発されているのだろうと考えることができる。

●どこでもドアは、途中で「外に出る」事ができないように、『四次元ポケット』と『スペアポケット』とを直結した物だと考えられる。なので、スキャン&再構築方式の『どこでもドア』のようなホラーな事態は起こらない。また、これならドアの出口の先が見えることの説明も付く。
・そういえば、『宇宙開拓史』ではのび太の部屋の床下と宇宙船との間がつながった(つながりが切れそうになっている時には「入り口と出口の間の空間」も描写されてた)のが物語の発端だったなあ。

●『道路光線』や『通り抜けフープ』は、入口を通ると4次元方向に「ずれた」所に移動して、出口を通るとその「ずれ」が元に戻されるのだと考えられる。単に4次元方向に「ずれる」だけなので、3次元的な移動は徒歩なり『タケコプター』なりで自力で行わないといけない。

●『ビッグライト』は、光を当てた物体を4次元方向に強制的に「ずらす」物なのだと考えられる。2次元平面上に置かれた10円玉を持ち上げると、そこにできる影は大きくなる。同様に、物体を4次元方向にずらせば影は大きくなる。
・『ビッグライト』とは逆方向に「ずらす」のが『スモールライト』であり、両方向に対応しているのが『ガリバートンネル』であると考えられる。
・影じゃなくて物体そのものの4次元方向の何かを操作するのかも知れない。人間を3次元的に切り刻むともちろん死んでしまうけれど、4次元的に切り刻まれたりこねくり回されたりしても3次元的に問題なければいいということなのかもしれない。

●のび太を上半身と下半身にぶった切った道具(『人体切断機』だっけ? 名前忘れた)とか、のび太としずかが首から下を交換したりドラえもんにしずかの脚をくっつけたりした道具とか、任意の動物と合体できる合体のりとか、あの辺の道具も実は4次元的な操作で実現してるのかも知れない。

同じような理屈で、移動する物や大きさを変える物、形を変える物の「原理」を色々と説明することができる。ひょっとしたら『タケコプター』すらも、同じ基礎技術を使っているのかもしれない。ドラえもんが開発された22世紀というのは、このような4次元を扱う技術が高度に発達した時代なのかもしれない。

この考えの中で一番問題になるのは、「空間を折り曲げる」という所ではないかと思う。

●4次元方向の軸に沿った「回転」や「ずれる」動作は、多分それほど大きなエネルギーを使わなくても済むはず(位置が大きく変わるわけではないから)。

●4次元方向への軸に沿った操作が可能になった時にまず実現されるのは『通り抜けフープ』や『道路光線』の類だろう。これらは単に、4次元方向に「ずれる」だけで実現できるから。

●しかし空間を曲げるとなると、物凄(すご)いエネルギーが必要になるのではないか? ブラックホールはその巨大な質量のせいで周囲の空間を歪(ゆが)めるそうだ。任意の2地点をつなげるように空間を歪(ゆが)めるとなると、ブラックホールと同じくらい、あるいはそれ以上の質量が必要になるのではないか?

●その点が解決されない限り、4次元ポケットは「物を放り込んだり取り出したりする」事はできても「放り込んだ物を一緒に持ち歩く」事はできない(同じ場所でポケットを使わないと、入れた物を取り出せない)。

ところで『四次元ポケット』は、ドラえもんに限らずだれでも任意の道具を取り出すことができる。また、ドラえもん自身ですら、混乱している時には望みの道具を一発で見つけることができない。この事から、『四次元ポケット』は利用者の思考を何らかの方法で読み取ってそれに対応する内容物を返す、汎用(はんよう)的な物体格納・運搬デバイスなのだと考えられる。

●ドラえもんは「子守用ロボット」であるが、上記のように『四次元ポケット』を考えた場合には、ドラえもん自体を「『四次元ポケット』というデバイスを子守という目的に有効活用するために、子供が与える曖昧(あいまい)なインプットに対して適切な道具を検索するデータベースおよび人工知能を備えたロボット」であると言うこともできるだろう。

●ひょっとしたら、ドラえもんと同一のハードウェア仕様で検索用データベースや人工知能の思考エンジンだけが異なる、介助用ロボットや探査用ロボットというのも存在するのかもしれない。
 ・エクステリアまで完全に同一仕様だと耐圧性能だとかそういう点で性能要求を満たせなかったり逆に過剰品質になったりしそうだから、コンピュータ部分だけが共通でそれ以外は別な方がいいかもしれない。

執筆: この記事はPiro(ぴろ)さんのブログ『outsider reflex』より寄稿いただきました。
文責: ガジェット通信

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