「言い訳は聞きたくない!」 上司の叱責は「正しい」のか?

access_time create folderデジタル・IT
「言い訳は聞きたくない!」 上司の叱責は「正しい」のか?仕事で言い訳をして上司に「言い訳は聞きたくない!」などと言われたことがある人も多いだろう。確かに、「言い訳するのはよくない」という考えは根強い。しかし、その「言い訳」を巡ってネット上で議論が起きている。

はてな匿名ダイアリーに24日、「仕事で言い訳しないことがむしろダメな気がしてきた」という投稿が寄せられた。

言い訳しないで「無言」でいたら……
投稿者は大卒6年目の会社員。周囲からの仕事の評価は高くないが、その原因の1つが「言い訳をしないこと」にあるという。

例として挙がっているのが、上司から「おい、これどうなってるんだ。ちゃんと報告しろ」と言われたときのエピソード。自分としては報告したつもりだったが、ここで何か言っても「ただの言い訳」にしか聞こえないと思い、無言で通した。

さらに、「おまえってホント駄目だよな。○○はわかってる?」という上司の言葉に対しても、ごくごく当たり前のことだったため、黙っていたという。

その結果、

「上司は『こいつは何もわかってない』と難しい仕事は回してこなくなるし、俺もモチベーションは下がる。仕事のクオリティは下がって最初に戻る(また上司から怒られる)の悪循環」

という事態になっているという。

これがはてなで注目を集め、多くの意見が寄せられた。

「『言い訳は聞きたくない』って言われると、もう何言っても無駄って感じるよね」

と賛同する声もあるが、 「言い訳と説明の区別がついてないだけ」 「とりあえず発言しとけ」

と、無言だったことに対しての厳しい声も多いようだ。

成長するためには「言い訳」厳禁なのか
言い訳をしたくないから無言、というのは極端だが、そもそも仕事での「言い訳」は悪いものなのだろうか。

マイナビウーマンが10月に発表した「仕事ができない人の口癖」ランキングでは、1位が「でも……」という言葉だった。

記事では、「言い訳」や「ネガティブ発言」をする人ほど仕事ができない上に、そういう人がいるだけで職場の雰囲気も悪くなる、とまで書かれている。

「言い訳は害悪でしかない」という考えのもとでは、全ての言い訳はことごとく否定される。「時間が足りない」のは「やり方が悪いから」。「やり方を知らない」のなら「自分で調べればいい」。「難しい案件だから」という言い訳に対しても「難しい案件を何とかするのが仕事」だとされる。

「成長するためには言い訳をしないこと」などと、言い訳の「全否定」を説くライフハックまである。

「言い訳」がきっかけで部下が成長?
一方で、言い訳を完全否定してしまうと、組織が現場の状況を把握できなくなる、という説もある。

論理的に筋が通っていない言い訳はダメだが、例えば、「人数に対して仕事が多すぎる」「明らかに時間が足りない」といった言い訳は単なる言い訳ではなく、現場の事実の「説明」だ。さらには、マネジメントの問題点に対する指摘でもある。

こうした言い訳を全て封殺すると、やがては組織として立ち行かなくなってしまうこともあるだろう。

マネジメントケアリストの浅井浩一氏は、ダイヤモンド・オンラインの記事で、こう説く。

「部下が言い訳をするというのは、上司にとっては最大のチャンス。部下との関係を築き、本音を引き出し、ケアする絶好の機会です」

言い訳の中にこそ「問題解決のヒント」が隠されているとし、上司は部下の言い訳を聞きながら「じゃあどうしたらいいのだろうか」と部下に考えさせることで、部下が自分自身で考えるようになる、というのだ。

上司も部下も「言い訳してはいけない!」と決めつけるのはなく、「言い訳したくなるような状況をどうすればいいのか」と発展的に考え、改善を行い、次に繋げていくことが大事なのかもしれない。

あわせてよみたい:「上司が仕事をくれません!」 社内失業から脱出するには? 

  1. HOME
  2. デジタル・IT
  3. 「言い訳は聞きたくない!」 上司の叱責は「正しい」のか?
access_time create folderデジタル・IT
local_offer
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。