存在しない会社なのに!? 『新東宝大全集』が開催

新東宝大全集

映画『ベンジャミン・バトン-数奇な運命-』も精力的に紹介しているガジェット通信ですが、こんな映画祭が開催されるのを御存知でしょうか。1月30日(土)からシネマート六本木・シネマート新宿さんで新東宝創立60周年を記念し、60日間で60作品以上を公開する「新東宝大全集」が開催されます。

「新東宝」、この名前を聞いてピンと来る方は、年配の方か余程の映画好きかもしれません。というのも、現在は存在しない映画会社だからです。まず簡単に新東宝そのものの紹介から、話を進めていきたいと思います。

そもそも新東宝とは名前の通り「ゴジラ」・「ALWAYS 三丁目の夕日 」や、現在「感染列島」を公開している東宝から派生した会社ですが、その誕生は昭和20年に発生した「東宝争議」に遡ります。当時、東宝にて労働組合(当時は東宝従業員組合)が結成され、戦後の混乱・ある種のイデオロギー運動をも加味された形で、会社と組合が大きく衝突しました。その激しさは日本史上類を見ない程に加熱し、騒動を収拾するにあたり、戦車や航空機、武装したアメリカ軍までもが投入され「軍艦以外は全部やってきた」と言われる程の状態になりました。

参考:東宝争議(Wikipedia)

その混乱の中、制作活動にも支障をきたし始めた東宝は、配給事業に専念し、制作は東宝から独立した集団へ発注する体制を考えました。それこそが今回紹介する、新東宝だったのです。

新東宝が映画会社として存在した期間は14年と短くはありましたが、その制作への情熱は凄まじく、市川昆・黒澤明・小津安二郎といった巨匠の作品から、果てはエログロと呼ばれる異彩を放った作品まで多岐に渡り、900作品以上を世に送り出しました。
今回のイベントでは、その大量の作品群から厳選された60作品(+α)をスクリーンで上映します。

現在では、異彩を放ったエログロ映画や、「東海道四谷怪談」・「地獄」等、Jホラーの元祖とも呼ばれる中川信夫監督の作品、日本初の特撮映画と言われる宇津井健主演の「スーパージャイアンツ」のような”知る人ぞ知る”といった切り口で語られる事の多い新東宝作品ですが、それだけに留まらず圧倒的スケール感で空前のヒットとなった「明治天皇と日露戦争」などの超大作、牧歌的かつ”滅びの豊かさ”を描いた「小原庄助さん」のような傑作など、新東宝出身の丹波哲郎・菅原文太・大空真弓の若かりし頃、と様々な側面を持っています(余談ですが、今回上映される「ハワイ珍道中」では子役時代の堺正章さんが、父親である堺駿二さんと競演されています)。

映画好きは勿論、日本映画全盛の時代と言われた当時のエネルギーを感じたい方は御覧になっては如何でしょうか。
 
 
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ひげおやじ

インターネットの賑わっているところに大概参加をしながら約20年。 ここ最近はニコニコなどの動画サイトを根城にしつつ、何だかよく分からない生活を送る。 生放送においては過去に、日本全国を生放送をしつつ巡ったり、ヨハネスブルグ、ジンバブエ、カザフスタンなど「そもそも回線は大丈夫なの?」といった場所から生放送を行ったことも。 しかし、一番好きな場所は『自分の部屋』とのたまう、自称「世界で一番忙しいニート」・「世界で一番仕事をしない自宅警備員」。

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