サバ食文化が維持できてるのはヨーロッパの規制のおかげ

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サバ食文化が維持できてるのはヨーロッパの規制のおかげ

今回は鹿野 司さんのブログ『くねくね科学探検日記』からご寄稿いただきました。

サバ食文化が維持できてるのはヨーロッパの規制のおかげ

こちらの記事は、「暗雲立ちこめるうな丼の未来」 2013年08月16日 『ガジェット通信』
https://getnews.jp/archives/398800
の続きとしてご覧ください。

勝川さんの話で驚いたのは、サバもすでに同じ状況になっているって話だった。

ええ~。サヴァ?

サバといえば代表的な大衆魚で、今でも昔ほど安くはないけど、いくらでも手に入る魚だ……と、思うけど。

でも、原産地表示を見ればわかるけど、今では国産のサバはごく少なくて、ほとんどがノルウェイサバなんだよね。

太平洋のサバの資源量は、70年台は豊富だったけど、乱獲で激減し、90年代以降は低水準で推移しているという。

とくに売り物になるような親の魚はほとんどいなくなっている。

サバは2歳ころから一部産卵をはじめる個体がいるけど、本格的に子供が産めるようになるのは3歳から。ところが、日本で採れるのはほとんどが1~2歳の「じゃみサバ」とか「ろうそくサバ」という食べるところがほとんど無いようなものが大半だそうだ。

それを、巻き網という、群れを網で囲んで大きい物も小さいものも根こそぎ捕まえる漁法で採ってくる。でも、もちろん大半は売り物にはならないので、このうちの半分をサバの養殖用のエサにし、残りの半分の未成魚は捨て値で中国やアフリカに売られているのが現状らしい。

いわれてみれば、2010年に「サバ養殖、エサは天然サバ幼魚 そして不漁、矛盾の連鎖」なんてニュースもあったのだった。

サバを養殖するのに、野生のまだ子どもを産んでいないサバを捕まえてきてエサにしているんじゃ、どう考えたって資源の持続性はないよね。

一方、ヨーロッパのノルウェイサバは、回遊性で、スペイン沖で産卵してヨーロッパ10数カ国で取っている。

サバに関しては、ヨーロッパでも利用する国が多かったせいだと思うけど、
はやくから規制を行ってきていて、親の量を半分くらいは海に残して、増えた分だけを採るという、元本固定で利息で食べるようなやり方をしているんだそうだ。

捕れる魚もみんな大きくて品質が安定している。

もちろん、海外から輸入するわけだからそれなりに高価ではあるんだけど、とくに加工業者は高めでも、品質が安定していないと利用できないので、ノルウェイのものしか使えなくなっている。

つまり、今日本で、サバ食文化が維持できているのは、ヨーロッパが規制してくれたおかげなんだよね。

ようするに、日本は全ての魚種について同じようなことをやらかしているんだけど、それは消費者にはほとんど知らされてこなかった。

こういう事がきちんと広く知られれば、国民の大半は、とにかく世界から安いものを買いあさってこいとは思わずに、合理的な規制を作ることに賛成するんじゃないかな。

そういう一般人の声が存在しないと、国もまず漁業者を近視眼的に守るというところに注意がいって、資源は減っていない、規制には反対だなんて主張になってしまう。

逆に、こういうヨーロッパの規制のやり方みたいな成功例があるわけだから、日本は日本の事情があって一筋縄ではいかないようだけれど、うまく規制をかけていくことで、サバもウナギも、他の魚種も、持続的に利用できるように持って行ける希望はあるよね。

執筆: この記事は鹿野 司さんのブログ『くねくね科学探検日記』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年08月16日時点のものです。

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