山形市で開催中の展覧会「表面のストラータ」に笹原晃平氏の額装作品登場!出来事の痕跡を残す“空白”を作品に

宮城県仙台市に本社を置くポストポンは、10月21日(水)〜30日(金)に山形県山形市の「東北芸術工科大学 THE TOP」で開催中の、細川ゼミ展「表面のストラータ」にて、同社代表でアーティストの笹原晃平(ささはら・こうへい)氏による「ポストポン・デリバラブルピース」が展示されていることを発表した。
プロジェクト型アート作品「社会実践ポストポン」


2023年に始動した「社会実践ポストポン」は、アーティストの笹原晃平氏が発案し、せんだいメディアテークの「せんだい・アート・ノード・プロジェクト」との協働を通して制作されたプロジェクト型アート作品だ。


「貨幣を介さない交換経済は可能か?」という問いを起点に、地域の子どもたちへの食事の提供、飲食店との貸し借り、使用済みチケットの作品化と販売、そしてその収益の還元まで、一連の循環そのものを作品としている。
今回展示している「ポストポン・デリバラブルピース」は、そんな「社会実践ポストポン」から生まれた額装作品だ。
切れ目の空白に残された出来事の痕跡
『Thai Sweets with Blueberries 』, POSTPONE Deliverable Pieces, 2026, ink on paper, Kohei Sasahara
「ポストポン・デリバラブルピース」は、子どもたちが飲食店で実際に使用したチケットを用い、中央の切れ目によって生じた空白を残したまま額装している。
「ポストポン・デリバラブルピース」に残された文字や汚れ、折り目、そして切り離された部分の不規則な輪郭は、いずれも子どもたちの食事や店主との出来事を通して生じたもの。そこには、作家があらかじめ描いた図像とは異なる、他者の行為や時間によって形成された表面がある。
同作では、チケットを巡って生じた一連の出来事が、切り離された二つの紙片のあいだに残された空白によって示されている。
その空白は、単なる欠落や不在ではなく、チケットが誰かの手に渡り、実際に使われたという出来事をとどめる場所。切れ目によって分かたれた紙片は、失われた部分を埋めるのではなく、そのあいだに生じた空白を保ったまま、ひとつの作品として提示される。
同作は、社会実践の記録であると同時に、切れ目や裂け目、そして二つの紙片の間に残された「空白」を通して、ひとつの出来事がどのように美術作品の表面を形成するのかを問いかける。
社会実践から作品の「表面」へ
会場風景
同展のタイトルである「表面のストラータ」は、絵画の制作過程における行為や判断の堆積に目を向けるもの。絵画では、絵具を塗り重ね、描いては消し、時には削り取るといった作家自身の行為が繰り返され、その時間が一枚の絵画の「表面」をつくり出していく。
「ポストポン・デリバラブルピース」の表面は、作家だけでなく、子どもや飲食店など、他者の行為によって形成される。
チケットが街を移動し、人々の手を渡り、飲食店で使用され、切り離される。その過程で生じた書き込みや折り目、切れ目には、絵画における筆跡や絵具の層とは異なる、社会的な出来事の時間が堆積している。
両者は異なる方法で制作されながらも、目に見える表面の背後に、不可視の時間や出来事が積み重なっているという点で共通している。
笹原晃平氏について
photo by Matsubayashi Teng
笹原晃平氏は、東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業。周辺環境への取材とその場の関係性の構築から出発し、プロジェクト作品やインスタレーション作品を制作している。
表現メディアに固執せず、様々な方法論で制作を行う一方、一貫して「人間の生活」を探求することにより、美術のみならず人類学や建築学などの総合的な分野への接続を試みている。
現在、ポストポン代表取締役、東北芸術工科大学芸術学部美術科洋画コース(アート&デザイン領域)准教授を務めている。
細川ゼミ展「表面のストラータ」概要
会場風景
細川ゼミでは、感覚を大切にしながら、描くことと見ることを繰り返し、それぞれが自身の絵画と時間をかけて向き合っている。「Strata」とは、堆積によって生まれる複数の層を意味する。
塗り重ねた絵具、描いては消した線、削り取った跡。そこには、制作の過程で生まれた迷いや試行錯誤、そして繰り返されてきた判断の時間がある。
それらが幾重にも堆積し、一枚の絵画の「表面」をつくり出していく。絵画の表面は、単なる薄い境界ではない。そこには、描くという行為の痕跡と時間、そして、それぞれが表現に向き合ってきた思いや思考が重なっている。
細川ゼミ展「表面のストラータ」では、そうした制作の行為と時間の堆積が、それぞれの絵画の「表面」として現れている。細川ゼミ21名それぞれが向き合ってきた表現を展示している。

子どもたちの食事の痕跡を残す作品を通して、「空白は作品になりうるか?」という問いについて考えてみては。
■細川ゼミ展 表面のストラータ
会期:10月21日(水)〜30日(金)
時間:平日9時~20時/土曜9時~17時/最終日9時~17時
休館:日曜
会場:東北芸術工科大学 本館7階 THE TOP
所在地:山形県山形市上桜田3−4−5
笹原晃平氏 HP:https://arahasas.com
ポストポン HP:https://pstpn.jp
(Higuchi)
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