She Side Ship、5枚目のシングル”ライク・ア・ラブ”に込めた想いとは?──OTOTOY独占メール・インタビュー

様々なオルタナティブ・バンドに影響を受け、独自のポップス観のもと意匠を凝らしたサウンド・メイクで注目を集める京都出身の4人組バンド、
そして、murffin discsのレーベル「TALTO」へ所属するなど、活動の幅を広げる彼女らへメール・インタビューを実施。メンバーそれぞれのルーツや、今回のシングル“ライク・ア・ラブ”がどのように生まれたのかまで、たっぷり語ってもらった。
──5枚目のシングル「ライク・ア・ラブ」が配信リリースされました。どんなテーマを持った楽曲になっていますか?
吉坂友里(Vo./Gt.): これまで自分たちが大切にしてきたものを残しながら、新しい表現にも挑戦できた楽曲です。特に歌詞にはかなり時間をかけました。最初は「離れてしまった」という物理的な距離の話が中心だったのですが、大切な人を思うときの寂しさって、単純に距離が遠いというだけじゃないなと思って。知らない間にお互い大人になって気軽に誘えなくなったり、離れている間に自分の知らない相手の時間が過ぎていったり……。そうした複雑な寂しさや、相手への信頼、祈りみたいなものを表現したくて、Bメロや2番の歌詞をじっくり考えていきました。「本当はどうしたいんだろう」とずっと悩んでいたときに、メンバーから「離れていった人が帰ってくるのを待つんじゃなくて、自分から会いに行かなきゃいけないんじゃない?」と言われてハッとしたんです。「私が会いに行かなきゃいけないんだ」と気づけたことで歌詞の意味が一気につながり、ようやく完成しました。寂しさだけでなく、相手を信じる気持ちや自分から一歩踏み出す姿勢までを描いた、とても思い入れの深い一曲です。
──それぞれのパートの演奏やアレンジでこだわったポイントを教えてください。
楠本凪彩(Dr.): 歌声と歌詞の内容がスッと入ってくるように意識しつつ、肌なじみはいいけれど今までに聴いたことがないような“少しの引っかかり”を作ることを大切にしてドラムを組み立てました。
森桜歌(Gt.): 私は「歌えるフレーズ」を意識しています。ゆりちゃん(吉坂)が持ってきてくれた弾き語り音源を何度も聴きながら、自分で歌ってみて、聴いた人が口ずさみたくなるようなフレーズを考えていきました。Aメロもサビもメロディーがとても強い曲なので、その核となる歌に寄り添い、支えられるギターを目指しました。
片山葉菜(Ba.): 今のShe Side Shipの持ち曲の中では、一番素直で健気な人間像が表れている曲だと思います。サビのメロディーがすごくキャッチーなので、イントロにもベースで同じメロディーを取り入れました。高フレットの音を使って、ポップで構えすぎない印象も出しています。私自身、大学卒業や上京で身近な人たちが離れてしまった経験と重なってすごく共感できる曲で、2番の「失わなきゃ気づけない僕ら」という歌詞は、いつ聴いてもうるっとしてしまいます。
──今作の制作にあたっては、レーベル代表でもあるプロデューサーの江森(弘和)さんとも深く関わられたそうですね。制作中の印象的なエピソードはありますか?
吉坂(Vo./Gt.): 江森さんに声をかけていただいて、TALTOと一緒にやっていこうとなってから最初の方にできたのがこの曲でした。本当に答えが見つからなくて悩みすぎて、夜中に江森さんに「もうわかんないです!」って電話で相談に乗ってもらったりもしました(笑)。江森さんはすごくストイックな方なので基本的には厳しいことも言われますが、それは私たちや楽曲に対して本気で向き合ってくれているからこそだとわかるので、安心して相談ができました。自分一人では気づけなかったことを、メンバーや江森さんに助けてもらいながら形にできたからこそ、TALTOでのデビュー曲として「ライク・ア・ラブ」を選びました。
──皆さんの音楽的ルーツについても教えてください。
吉坂(Vo./Gt.): 父の車でかかっていた尾崎豊や、高校の軽音部で出会った銀杏BOYZ、My Hair is Bad、きのこ帝国が大きいですね。泥臭さがありながらステージ上で自分を曝け出すパンク精神に私自身救われてきたので、自分もそうありたいと思っています。感情を誤魔化さず、風化してしまう前に音楽として残していく姿勢は、今の歌詞や曲作りにも強く影響しています。
楠本(Dr.): バンドとしては中学生の頃から大好きなBUMP OF CHICKENです。ボーカルの歌声とメッセージをメンバーみんなで包み込んで届ける姿勢を大切にしています。個人としては、歌川菜穂さん(元・赤い公園)や久野洋平さん(cinema staff)のような発明的なフレーズに憧れます。あらきゆうこさん(Corneliusのライブなど)のように、無機質なパターンの中に温かみや説得力があるプレイを目指しています。
森(Gt.): 高校時代や大学生の頃にきのこ帝国、羊文学、カネコアヤノさんをよく聴いていて、そこから「自分もこんな音楽をやりたいな」と思うようになりました。羊文学の塩塚モエカさんの浮遊感や繊細なファズ・サウンドが好きで、同じエフェクター(BIG MUFF RAM’S HEAD)を買ったりもしました。また、カネコアヤノさんのバンドで弾かれていた林宏敏さんの歌に寄り添うフレーズや音色の幅広さにも憧れています。田渕ひさ子さんのように、その瞬間の感情や勢いを音に乗せられるギタリストになりたいですね。
片山(Ba.): 一番のルーツはクリープハイプです。言葉遊びにあふれた歌詞や独自の視点、そして各パートが違うアプローチをしながら一本の強いメロディーになっていくアンサンブルに影響を受けました。他にもきのこ帝国、スーパーカー、昭和歌謡曲などが混ざっていて、大衆性がありつつも「ありそうでないもの」をずっと探求しています。
──murffin discsのレーベル「TALTO」への所属が決まりました。今後どのように活動の幅を広げていきたいか、展望や抱負をお願いします。
吉坂(Vo./Gt.): 大切にしてきた信念は曲げずに、「She Side Shipはこうだ」と自分たちで枠を作って可能性を狭めないようにしたいです。色々なものを吸収しながら挑戦を続けて、TALTOの皆さんと支え合いながら、より多くの人に私たちの音楽を届けていきたいと思っています。
楠本(Dr.): これから出会ってくださる方が増えると思うので、間口を広げて色々な曲を作り、たくさんの人の人生の様々な場面に合う曲を届けていきたいです。
森(Gt.): TALTOに所属させていただけるなんて以前は想像もできなかったので、本当にありがたい環境だなと思っています。まだ行ったことのない場所やイベントがたくさんあるので、ライブや音源、SNSを通してバンドの実力をつけながら、もっとたくさんの人に知ってもらえる機会を増やしていきたいです。
片山(Ba.): これまでは音楽を聴いて自分を重ねる側だったのが、届ける側に立てることをとても光栄に思います。「この4人だから成り立つ」という関係性を音にも生かして、4人にしか作れないものを突き詰めていきたいです。私たちの曲を聴いた人に、「今日を生きる」だけでなく「明日も生きてみよう」と思えるような前向きな気持ちになってもらえたら嬉しいですね。
メール取材・文:菅家拓真
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