「年齢のせい」に潜むリスク。地域医療と高度治療を繋ぐ眼科専門医の挑戦

超高齢社会において「目の健康」は生活の質に直結する。しかし、視力低下を加齢と自己判断し、発見が遅れるケースは後を絶たない。身近な地域で高度な医療を提供し、日帰り手術まで一貫して担う「梅の木眼科クリニック」。患者様が抱える不安に寄り添い、真の地域医療を追求する同院の熊谷悠太院長に、その熱き想いを伺った。
家族の気づきが救う視力。大学病院での経験が導いた地域医療の理想形
8月のお盆休みは、眼科における一つの「節目」である。普段は離れて暮らす家族が帰省し、高齢者の些細な異変に気づく季節だからだ。「テレビの字幕が見えづらそう」「歩き方や運転が危うい」といった家族の指摘が受診の契機となる。白内障のように進行が緩やかな疾患は本人が見え方の変化に慣れてしまうため、第三者の客観的な観察が極めて重要となる。また、親族の緑内障罹患を知り、予防的に検査に訪れる患者様も多い。緑内障は遺伝的要因が関与するため、家族間の情報共有が受診の重要なトリガーとなっている。
こうした地域の患者様と向き合う同院の熊谷悠太院長は、2003年に聖マリアンナ医科大学を卒業後、長年にわたり大学病院や中核病院の最前線で研鑽を積んできた。2016年には同大学横浜市西部病院の眼科主任医長を務めるなど、高度医療機関で多くの難症例と向き合ってきた実績を持つ。そこで直面したのは、高度医療機関から地域のクリニックへ逆紹介される患者様の「見捨てられたようで不安だ」という切実な声であった。この経験が、現在の診療スタイルの原点となっている。
大学病院の安心感を町へ。一貫した治療体制がもたらす質の高い医療とホスピタリティ

地域医療において、いざという時に高度な治療を受けられる体制は、患者様にとって最大の安心材料となる。2019年に開院した梅の木眼科クリニックは、身近なかかりつけ医でありながら、白内障などの日帰り手術をはじめとする高度な外科的治療を一貫して任せられる体制を構築している。
同院では「日頃の診察から手術、術後の経過観察まで同じ医師が担当する」という一貫性を徹底している。「大学病院だから安心」という固定観念から、「このクリニックに任せておけば大丈夫」という確かな信頼への転換を図っているのである。
さらに、医学博士であり日本眼科学会認定の眼科専門医でもある熊谷院長が重視するのが「聞く姿勢」だ。外来時間の中で医師からのトップダウンの説明に終始せず、患者様が自身の言葉で不安を語れる空気作りに注力している。短いやり取りの中でも本当に困っていることを汲み取れるよう、問診の仕方には特に気を配っている。専門用語を控え、イラストを用いた視覚的なインフォームドコンセントを実践することで、医療の透明性を担保している。
アイフレイルを見逃さない。超高齢社会における眼科医療の未来と予防啓発への取り組み

近年、加齢に伴い視機能が衰える「アイフレイル」という概念が注目を集めている。身体的フレイルと同様に、これを放置すれば重大な眼疾患や転倒事故のリスクへと直結する。横浜市眼科医会の常任理事や、視覚障害者用補装具適合判定医師を務める立場からも、熊谷院長は「年齢のせい」という諦めを払拭し、早期発見・早期治療のサイクルを社会全体で回していくことの重要性を啓発している。
日常生活の中で実践できる予防策として、片目ずつ隠して見え方を確認するセルフチェックが有効だ。両目を開けていると、片方の視野欠損や視力低下に気づきにくいからである。また、現代病とも言えるデジタルデバイスの過剰使用に対し、意識的な瞬きや防腐剤無添加の人工涙液によるケアなど、生活習慣の見直しも推奨している。
万が一、緑内障などの疾患が見つかったとしても、早期に治療を開始すれば進行を遅らせ、生活の質を維持することは十分に可能である。白内障手術などの外科的治療は日帰りでの実施が一般的となり、患者様の身体的・時間的負担は軽減されている。
視覚は、人間が外部から得る情報の大部分を占めると言われている。目の健康を守ることは、その人の人生の質を維持することに他ならない。点眼を続けても改善しない小さな違和感を放置せず、専門医と二人三脚で歩むことで豊かな視界は守られる。地域に根ざし、高度な医療技術と人間らしい温かみを融合させた同院の診療体制は、これからも多くの人々の生活を明るく照らし続けるに違いない。

■取材協力:
梅の木眼科クリニック
院長・熊谷 悠太
https://nishiyaumenokieye.com/
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