【ライブレポ】RIP DISHONOR、愛とヒカリで約束を紡いだ自主企画

2026年8月28日、梅田Zeelaにて
彼らはこのタイトルでの企画を昨年11月から始めており、2度目の今回は東阪ツアーとして開催。大阪編は
1番手はCAT ATE HOTDOGS。ひこ(Gt.Vo)、みや(Dr)、ロル(Sup.Ba)の3人による卓越したコンビネーションから生まれるテクニカルな演奏を如何なく発揮。リズミカルな楽器の演奏だけでなくコーラスや小気味よい掛け声もオシャレで、パンパンのフロアも自由にノっていく。自然体と攻撃性のバランスも絶妙で、野性味が全開になると非常に刺激的。お客さんの“タマシー”の芯の芯まで熱狂させていた。ひこの上京前から交流はあるし、8月11日の彼らの新宿での主催フェス(campfire fes.)にもRIPは出演しているが1回目のMCでは「思い出は特にないな」とおどける。ただ2回目のMCでは、フェス後に大阪で機会を作ってくれたことに感謝し「志は一緒だと思う」と話した。その後に演奏した「campfire」は彼らがコツコツと薪木を焚べて作った大きな篝火の1つをRIP DISHONORという船に分けてくれた気がしたし、最後の「ハローミライ」を大海原に向けて力強く背中を押しているよう。頼もしい先輩からの信頼を感じ取れた時間だった。
2番手はOrganic Call。初っ端から全開で真っ直ぐフロアと心と拳をシンクロさせていく。素直に本心に従って鳴らすその嘘のない姿は、RIP DISHONORとフロアに「少年少女!出航したこの日の初心の気持ちを忘れるなよ!」と伝えているようだった。
年齢は離れているが、RIPは中学生から活動しているため、バンド歴はRIP8年、オガコ9年とのこと。「ほぼ同期」とヒラタナオヤ(Vo.Gt)は話し、今も目の前にお客さんがいることに感謝を伝え「俺は続けたいっすよ!バンドをずっとずっと!でも心意気だけじゃダメで、毎ライブ死に物狂いで前回を更新し、本気で本当の衝撃を与えられるか!そうじゃなきゃ続けてる意味がない!」という言葉と共に届けた「朝焼けに染まった街へ」の迫力は、この日の大きなハイライトになった。最後はヒラタがフロアに降りて「アワーソング」を熱唱し「俺たちがRIP DISHONORの先輩!Organic Callでした!」と告げて、愛する後輩へ“めちゃくちゃ良い”バトンを渡した。
RIP DISHONORは企画タイトルに沿った冒険ファンタジー映画のようなスケールの大きいSEで登場するが、その仰々しいサウンドを一瞬で爽やかな空気に変える「アンセム」からライブスタート。シモダトキノリ(Gt.Vo)が「始めようぜ!梅田Zeela!」と言えば、イセキユウト(Gt.comp)とふー(Ba)もお立ち台に登って演奏を始める。先輩からのバトンは強烈だったが、物怖じせず「今日は俺らが主役!」というのを、ものの1分で示していた。彼らの持ち味の煌めくようなサウンドを聴かせ、サビ前にシモダが優しく「いける?」と言うと、フロアは大量のハンズアップ。それに呼応するように演奏や動きに熱が増すイセキとふーの両サイドの姿は、船を浮力させる頼もしい両翼の動きのようだったし、にゅーとん矢野川(Dr)の力強いドラムはさながらエンジンである。「今日のこと絶対忘れないと思う!」と伝えたシモダのボーカルにも愛が際限なく乗っていく。その華麗で力強い旋律を浴びせて始まった船出は「私じゃない夜に。」へ。また色違いの力強いグルーブ感を作り、それを前へ前へと放ち、会場を包んだ。
ここで1回目のMC。シモダはフロアと対バン2組への感謝を伝え「去年から企画を考えていたけど、あっという間にこの日が来ました。大雨や雷予報もあったけど、(前日SNSで促した)てるてる坊主の力と今日を絶対成功させたい!という皆の気持ちで晴れたし、もうとても良い日です!ありがとうございます!」と話し、その感謝の気持ちをそのまま詰め込んで「花束」を贈る。また曲調はガラッと変わって甘く華やかで柔軟剤の香りがするような優しいポップソングで愛を伝えた。そこからリズミカルなドラムで全体のクラップを生んで始まった「フレームアウト」が続く。キラキラとどこまでも広がるサウンドは星空そのもの。その無限の星と星を繋いで君と出会えた魔法のような奇跡への気持ちを感情を解放しながら伝えていた。


今日の彼らは止まらない。今度は近未来SFのようなサウンドの「voyage.」が始まり、一気に音楽船・梅田Zeelaは別次元へ。シモダもハンドマイクに変わり、デジタルサウンドのメロディに乗っていく。ミラーボールも回り、矢野川も踊るようにドラムを叩く。この世界観を作る首謀者イセキがフロアにギターソロを浴びせる時間は、まさにショータイムだった。歪んだ残響を残したまま終わると、それが次曲「最低」への入口。彼らの中で1番と言っていいバイオレンスなナンバーに置いてかれないように、喰われないようにフロアもクラップしたり、<最低ね!>と合唱して楽しんだ。ふーから始まった各パートのソロ演奏も劇薬投下となり、自ら海原に嵐を巻き起こした。それを抜けた先にあったのは「アメージング・グレイス」の祝福。細かに色を付けていくメロディがめくるめく時間や感情の変化を表しているようで、Zeelaの照明も色とりどりに変化してそれに応える。フロアもサビの合間に入るクラップのタイミングも完璧で、どこを切り取っても極彩色の愛が完成していた。煌びやかな余韻が残る中、歌いたい気持ちを抑えられなそうなシモダが弾き語って「来世でも見つけない」を続ける。しっかりと未来へ向かうために、引きずっていた過去を昇華させるように大切に奏でられる。そのストーリー性と勇気をフロアもじっくりと受け取っていた。


6曲止まらずに届けてMCに入り、シモダは「毎日生きているとしんどいことだったり、辛いことだったり、誰にも言えないようなことが沢山とあると思います。僕らも沢山あるけど、今日みたいに自然と笑顔になれる幸せな空間が広がっているこの場所を見ると、頑張ってよかったな、生きててよかったなと感じます。本当に目の前にいてくれてありがとうございます」と代表して思いを伝える。そして「君の日々の中で、音楽を聴いたら少し心が軽くなったり、ライブハウスに来たら自然と笑みが溢れたり、そんな君にとって心地よい居場所なら僕はずっとこの場所で音楽を鳴らすから。君の日々と心を歌い続けるから。いつまでもずっと隣で、ゆっくりでもいい、躓いてもいいから、ただひたすらに一緒に真っ直ぐ歩いていきたいです。皆に愛を伝えます」と言って「アイヲライト」を届けた。そのバラードはかけがえのない君が人知れず本気で流した涙や伝えた愛にもしっかり焦点を当ててくれていたし、ラストはそれを僕らはこれからも照らし続けることを約束するシモダのロングトーンが会場に響いた。そして「またライブハウスで!」と伝えて「スタンドバイユー」で締めた。そのにこやかな光景を焼き付けるように4人は演奏し、<君の手を離しはしないように それと、今日も愛しているよ>と約束と愛を歌ってライブは終了した。

すぐ求められたアンコールにも登場。矢野川の物販紹介の後、11月21日に「ボイジャーと世界地図〜ソムニウムの書 編〜」の新編開催を発表。初のツーマン企画で既にワクワクするような対バン相手が決定しているとのことだ。そしてアンコール曲は「ヒカリ」。始まって即シモダのギターの弦は切れたが、お構いなしに力強く4人が鳴らす音からは、まさに光の雨を絶え間なく降り注ぐ爽快さがあった。この光を胸に宿したらもう1人にはなれない。そんな希望を1人1人に与えて、RIP DISHONORは次の大陸へ向かっていった。
私は事前のコラムで先輩2組のパワーに彼らがどう対抗するかが注目と書いたが、このライブを見て、しなやかながらも軸のブレない柔軟なパワーとテクニックが格段に成長していることに驚いた。一見華奢な体に見えても、そのボディバランスから繰り出される技はあらゆる困難を華麗に投げ飛ばせる必殺技を取得したバンドになっている。シモダも熱量は静かに込めて、飾らず本人の優しい性格のまま言葉を伝えていたのが印象的。ここからその技と優しさが全国のライブハウスで炸裂して進んでいく姿、見逃してはいけない。

撮影:シオミココ
文章:遊津場
〈RIP DISHONOR主催企画「ボイジャーと世界地図〜出航編〜」〉
2026年8月28日梅田Zeelaにて
〈セットリスト〉
1.アンセム
2.私じゃない夜に。
3.花束
4.フレームアウト
5.voyage.
6.最低
7.アメージング・グレイス
8.来世でも見つけない
9.アイヲライト
10.スタンドバイユー
En.ヒカリ
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