アップグレードした「チームラボ ボーダレス」で次元上昇アート体験

 麻布台ヒルズに行くと、海外から来た観光客の方々が「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」に並んでいる光景を目にします。 麻布台ヒルズへ移転後の来館者数は、2年間で324万人を達成し、訪日外国人割合は約70%だそうです。日本が誇る世界のチームラボ。以前はお台場にあり、訪れたことがある人も多いと思います。でも、そのあとも展示作品はアップデートを繰り返しているので、たびたびチェックするのが良さそうです。

先日、光の彫刻作品「Light Sculpture – Flow」の作品空間が再オープンしたとのことで内覧会に伺いました。このミュージアムには地図や順路がなく「境界なく連続する1つの世界の中で、さまよい、探索し、発見する」というコンセプトが特徴です。アートはまるで生きているかのように作品空間や廊下を移動。歩きながら偶然の出会いを楽しめて、毎回違うアートを体験できるスポットです。

このミュージアムの中でもパワースポット感があるのが「人々のための岩に憑依する滝」。隆起している岩山のようなオブジェに、滝の映像が降り注いでいて、デジタルデータからマイナスイオンがほとばしっているようです。不思議な清涼感に浸れます。ふと、足元を見ると水の流れが足を迂回するように流れていて、実際の自然現象を再現しているのにも驚かされます。

廊下などで見られるのが「Walk, Walk, Walk」という作品。大名行列や鳥獣戯画に出てきそうな生き物たちがゆっくり歩いて、部屋に入ったり出たりしながら、他のアートにも影響を与えています。線画タッチが風流で、日本のわびさび精神を感じます。

「この作品の他にもいろんなものがこのミュージアム内を飛んでいたり、泳いでいたり歩いていたりするんです。例えばカラスや蝶々が飛んでいたり、あとは魚の群れが泳いでいたり、いろんなものたちが空間という境界を超えて、シームレスに動いています」と広報の方が解説してくださいました。中でも重視されているのはカラスで、それも普通のカラスではなく、八咫烏です。都市伝説好きとしては、何か日本の秘密結社と関係があるのかもしれない、と妄想がよぎりました。

「The Way of the Sea:虚空の宇宙」という作品空間も印象的でした。中に入ると壁と床の境界がなくなり、没入感に浸っていると、魚たちが泳ぎ回り、光の軌跡が周囲に描かれていきます。魚の群れが一つの生命体のように見えてきて、まさに「チームラボ」の連帯感のようです。

ミストで満たされた空間で、霧の中にビジョンが現れる「溶け出す光」はスピリチュアルで神秘的な作品。この空間にに入ったときは「Walk, Walk, Walk」で行進していた江戸時代っぽい人々がモヤモヤした煙の中に表れて、霊現象のようでした。

「連続する軌跡:One Stroke」という書の作品も趣がありました。空中に書かれた「空書」が、他の作品に影響を与えながら作品空間の壁に一筆書きで現れ、平面と立体との間を行き来します。インバウンドの人にうけそうです。

ところで今回、リニューアル作品として注目されていたのは「Light Sculpture – Flow」の作品空間。光線で立体的な彫刻を表現する没入系アートです。こちらで特別展「On the Asymmetry of the Universe / 宇宙の非対称性について」が開催。会期は2026.7月8日〜10月8日です。新たなシリーズ「Asymmetric Existence / 非対称性存在」と「Chromatic Existence / 色彩性存在」も加わりました。

タイトルが知的で難解ですが、無理に意味を考えようとしなくても、ただ作品空間にいるだけで、周りで次々と光の彫刻作品が展開していきます。スーパーカミオカンデのような大量の球体が壁や床中に配置されていて、そこから色とりどりの光線が放たれ、空間にめくるめくビジョンが現れます。よく見ると向こう側に鏡があり、空間がかなり広く見えて、吸い込まれそうです。足元のガラス面から先に行くと落ちてしまうので要注意です。

ブラックホールのようなビジョンが見えたり、葉色とブルーの光に包まれたり、白い光線が網目のように出現したり、万華鏡のようなビジョンに包まれたり、癒しのマゼンタの光がほとばったり、まるで宇宙の星雲や星の誕生を体感しているようでした。それぞれ作品タイトルは「Chromatic Existence / 色彩性存在」「Crystal of the Sky 空の結晶」「Dark Existence within Chromatic Order 色彩性秩序に宿る闇の存在」「Observer-Dependent Dark Existence 観測者依存の闇の存在」など、アカデミックで哲学的です。

内覧会に出席したチームラボ代表の猪子寿之氏は「彫刻でもありつつ空間的な存在でもあります。色そのものが空間内で秩序を構成しています」などと語っていてIQの高さがうかがい知れました。「何言ってるかわからないと思うんですけど、中二病みたいな作品なんですが、多分見たことない存在なので大いに楽しんでいただけると思います」とのこと。中二病もここまで極めれば前人未到のアートです。宇宙空間を再現するような作品は、もはや神の視点に到達しているようでした。それと同時に、全ての作品は常に変化し、実態がなく、仏教の「全ては空である」という教えを体現しているとも言えます。インバウンドに人気の映えスポットと思わせて、実は人々の意識を覚醒させるアートのパワースポットなのかもしれません。

https://www.teamlab.art/jp/e/tokyo/#universe
会場情報
teamLab Borderless: MORI Building DIGITAL ART MUSEUM
森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス
会期
2024.2.09(金) – 常設
時間
【通常営業】8:30-21:00

【17時閉館日】
<7月>31日
<8月>なし
<9月>1日

【22時閉館日】
<7月>なし
<8月>8-15日
<9月>なし

* 最終入館は閉館の1時間前
* EN TEA HOUSEは開館の30分後にオープン、ラストオーダーは閉館の30分前(22時閉館日は21時ラストオーダー)
休み
7.7(火)、7.15(水)、8.25(火)、9.8(火)

(執筆者: 辛酸なめ子)

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