【宮古島】“独自の憲法”がある島を歩いてみた → 断崖を下った先で見つけたもの
宮古島から来間大橋を渡ると、周囲約9km、人口約160人の小さな島・来間島(くりまじま)があります。
宮古ブルーの海とサトウキビ畑が広がる、美しい景観で知られる離島ですが、一歩路地へ入ると、観光ガイドにはあまり載っていない、この島ならではの風景に出会えます。
「来間島憲法」と書かれた看板。断崖絶壁を下ってたどり着く石段。そして、「来間ガー」と刻まれた謎めいた石碑―。
絶景だけでは終わらない来間島を、のんびり歩きながら巡ってみました。
この島には、独自の憲法がある
島を歩いていて最初に目を引いたのが、「来間島憲法」と書かれた看板です。
「憲法」と聞くと少し驚きますが、もちろん法律ではありません。これは、美しい景観や自然、島の暮らしを守るために、住民たちが自主的に定めたルール。
看板には、「庭に花を植える」「自然を大切にする」「島を美しく保つ」といった、この島らしい約束ごとが並びます。
観光客にはあまり知られていませんが、この穏やかな風景が今も残る理由のひとつなのかもしれません。
来間大橋を一望できる、竜宮城展望台へ
来間島憲法の看板のすぐ隣には、来間島を代表する竜宮城展望台があります。
展望台から見えるのは、エメラルドブルーの海と来間大橋。
橋の向こうには宮古島が浮かび、海は時間や天候によってさまざまな表情を見せてくれます。
ただ景色を眺めているだけなのに、不思議と時間がゆっくり流れていくようでした。
「結構、こわい」断崖絶壁のパチャの石段
続いて向かった「松の木展望台」で景色を眺めていると、そのすぐ横に一直線に伸びる急な階段を発見しました。
これが、「パチャの石段」と呼ばれる、断崖に造られた最大傾斜約40度の石段です。
足元を確かめながら一段ずつ慎重に下りていくと、目の前には宮古ブルーの海。
断崖から見下ろす景色は、思わず息をのむ美しさです。
その景色に引き寄せられるように歩みを進めると、V字に折り返す地点で景色は一変。
視界いっぱいに亜熱帯植物が広がり、さっきまでリゾート気分だったはずが、気づけば冒険モードへ突入します。
ジャングルのような迫力に圧倒されながらも、「この先に何があるんだろう」という好奇心に背中を押され、一歩ずつ歩みを進めました。
崖の下で出会った、来間ガー
パチャの石段を下り、緑に包まれた道を少し歩いていくと、「来間ガー」と刻まれた石碑が静かに姿を現します。
生い茂る木々が空を覆い、昼間にもかかわらず辺りはどこか薄暗く、聞こえてくるのは風に揺れる葉音と鳥のさえずりだけ。
何かが宿っていても不思議ではない―そう思ってしまうほど、この場所には張りつめた静けさが漂っていました。
「ガー」とは、沖縄の言葉で井戸や湧き水場のこと。
今ではひっそりとたたずんでいますが、水道が整備される以前、この湧き水は島の人々の暮らしを支える大切な水源でした。
人々は重い水桶を担ぎ、パチャの石段を何度も往復して水を運んでいたそう。その後、石段は学生たちの陸上競技のトレーニングコースとしても使われ、長く放置された時期を経て、2016年から復元工事が行われました。
断崖の下で、静かに時を刻み続けてきた来間ガー。
島の暮らしの記憶と、自然への畏れにも似た空気が重なり合う、来間島でもひときわ印象に残る場所でした。
海だけじゃない。歩くと見えてくる来間島
来間島といえば、美しい海や星空を思い浮かべる人が多いかもしれません。けれど実際に歩いてみると、この島の魅力は絶景だけではありませんでした。
島の景観を守る「来間島憲法」、断崖に刻まれた「パチャの石段」、そして静かな森にたたずむ「来間ガー」。
そこには、この島で暮らしてきた人々の歴史や想いが、今も静かに息づいています。
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