出張後「記憶がホクホク」のうちに食べたらこうなった――「焼豚ラーメン 鹿児島とんこつ」の完成度
全国のラーメンを食べ歩くラーメンライター、井手隊長です。
4月、鹿児島へ取材に出張した際、地元のスーパーで思わず手に取ってしまったカップ麺がある。サンポー食品の「焼豚ラーメン 鹿児島とんこつ」だ。東京ではなかなか見かけないフレーバーだけに、見つけた瞬間に「これは買うしかない」と即決。こういうローカル色の強い商品に出会えるのも、出張の醍醐味である。
サンポー食品といえば、九州・佐賀に根ざし、半世紀以上にわたって豚骨ラーメンの即席麺を追求し続けてきたメーカーだ。その真骨頂が「焼豚ラーメン」シリーズ。博多、久留米、熊本など、同じ豚骨でも地域ごとの味の違いをカップ麺で再現するという、極めてマニアックかつ職人的な取り組みで知られている。今回の「鹿児島とんこつ」も、そうした文脈の中で生まれた一杯だ。
しかも今回は、取材で現地のラーメンを食べ歩いた直後。いわば記憶がホクホクの状態での実食である。鹿児島ラーメンといえば、白濁した豚骨スープながらも比較的ライトで、鶏ガラや野菜の旨みが重なり合う、どこかやさしい味わいが特徴だ。果たしてこのカップ麺は、そのニュアンスをどこまで再現できているのか。
フタを開けると、ふわりと立ち上るのはやわらかな豚の香り。湯を注ぎ、完成した一杯をすすると、まず感じるのはスープの軽やかさだ。豚骨のコクはしっかりとありながらも、決して重たくない。そこに鶏ガラや野菜の旨みが重なり、全体として非常にバランスの取れた味わいに仕上がっている。これは確かに鹿児島ラーメンらしい一杯だ。
さらに特徴的なのが、揚げネギの存在だ。香ばしさがアクセントとなり、スープに奥行きを与えている。この揚げネギが入ることで、単なるライト豚骨では終わらず、一段深みが出てくる。
そして見逃せないのが、フタにひっそりと記された「黒豚エキス」の存在である。ポークエキスのとんこつ原材料中、なんと50%が黒豚由来という贅沢仕様。にもかかわらず、それが大々的に主張されるわけでもなく、※印で小さく書かれているだけという奥ゆかしさが実にサンポー食品らしい。こうした分かる人には分かるこだわりが、味の説得力につながっているのだろう。
実際、スープから立ち上る豚の香りは非常に心地よく、雑味がない。口当たりはあくまで軽やかで飲みやすいのに、しっかりとした芯がある。
全国的にはまだまだ認知の高いジャンルとは言えない鹿児島ラーメンだが、その魅力をこうしてカップ麺で体験できるのはありがたい。しかも、ただ雰囲気をなぞるだけでなく、黒豚エキスや揚げネギといった要素まで丁寧に組み込んでくるあたりに、サンポー食品の本気を感じる。
派手さはない。しかし、確実に分かっている人が作っている味だ。鹿児島で出会ったこの一杯は、同社の底力を改めて実感させてくれるものだった。こういう商品があるから、地方のスーパー巡りはやめられないのである。
(執筆者: 井手隊長)
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。