精神医療の常識を覆す——「予防」への特化で、精神疾患を未然に防ぐ未来へ
「精神医療の常識を塗り替えたい」。そう語るのは、ライトメンタルクリニック理事長の清水聖童氏だ。従来の「症状が悪化してから受診する」という精神医療の現状に対し、清水氏は「予防」に特化した独自のアプローチを提唱。うつ病や不安障害といった精神疾患の治療はもとより、メンタルヘルス向上のための心理検査や、美容・健康面からのアプローチも積極的に取り入れている。精神医療の未来を見据えた、清水氏の挑戦とビジョンについて詳しく話を伺った。

亡き友への心ない言葉に愕然。精神疾患への偏見を目の当たりにし、精神科医の道へ
私が精神科医を志した根底には、学生時代の痛切な体験があります。かつて、精神疾患を患い、自ら命を絶った友人がいました。彼の葬儀に参列した際、ご遺族の口から漏れた「これでやっと楽になれた(亡くなってくれてよかった)」という悲痛な本音を耳にしました。それは冷徹な言葉ではなく、身近な人が精神疾患を患うことで周囲が抱える、底知れない苦悩と絶望の表れでした。
精神疾患への根深い偏見と、重症化が周囲に与える影響の大きさに、私は強い衝撃を受けました。何もできなかった自分への悔しさが、「この現状を根本から変える」という執念に変わった瞬間でした。
当初、研究の道で精神医療の現状を変えようと志しましたが、そこで直面したのは、一研究者が成し遂げられることの限界でした。成果が出るまでには膨大な時間を要し、その間にも救いを求める人々は増え続けています。「一刻も早く、目の前の人々を救いたい」との思いは消えず、私は勤務医の枠を超え、自らの理想の医療を体現する道を選びました。そうして誕生したのが、診療を基盤としつつ、メンタルヘルスの「予防」に特化したクリニックです。
精神疾患は、一度発症すれば回復には多大なコストと時間がかかります。しかし、予防段階であれば、生活習慣の見直しなどを通じて、薬に頼りすぎることなく健やかな状態を取り戻せる可能性が高まります。誰もが身近なところからメンタルヘルス対策に取り組める。そんな環境を、私はこのクリニックから作りたいと考えています。
「食事・色彩・音」を整え、心を癒やす。日常生活の「五感」から始めるメンタルケア

当院では薬物療法だけに頼らず、五感に働きかける包括的なアプローチを実践しています。「食事・色彩・音などの日常生活の要素がメンタルヘルスを左右する」と考え、エビデンスに基づいた具体的なアドバイスを行っています。
例えば、睡眠を促すテアニンや、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンの合成を高めるトリプトファンの摂取を提案。さらに視覚へのアプローチとして、花の鑑賞や色彩心理学を用いたストレス緩和策など、日常の中で心を整える手法を多角的に提示しています。
また、当院が美容医療を提供しているのも、外見への満足度が自己肯定感を高め、精神状態の安定に寄与するという医学的観点に基づいています。こうした感性的なアプローチに加え、思考の癖を整える「認知行動療法」などの論理的な手法もあわせて活用しています。
現在の保険診療は「5分診療」と揶揄されるように、投薬中心になりやすい傾向があります。その結果、疾患レベルに達していない「グレーゾーン」の方々が、適切なケアを受けられず取り残されてしまう現実が少なくありません。私は、そうした方々のための「駆け込み寺」でありたいと考えています。
たとえ薬物療法が必要ない段階であっても、人生をプラスに変えるスキルや気づきを得て、「ここに来てよかった」と笑顔で帰っていただける診療を徹底しています。夜間22時までの診療やオンライン対応を整えているのも、多忙な現代人が早期に対策を始められる環境を作るためです。
「メンタルヘルスには予防こそが重要」。この信念を次世代に引き継いでいきたい

精神医療のあるべき姿を実現するには、「メンタルヘルスにおける予防の重要性」を社会に浸透させることが不可欠です。その鍵を握るのは、「教育」だと確信しています。大人の思考習慣を変えるのは容易ではありません。柔軟な思考を持つ小中学生の段階で心の健康を保つスキルを学ぶことができれば、多くの重症化を防げるはずです。
昨今は何かあれば「回避」を良しとする風潮もありますが、行動療法の視点では、無計画な回避が状態を悪化させることも少なくありません。早期に適切なストレスマネジメントや、困難に向き合うための精神的スキルを習得できれば、将来的な精神疾患の多くは未然に防げます。思考のフレームワークが形成される幼少期に教育の視点から介入することこそが、歪んだ認知による悪循環を断ち切る最良の手段なのです。
私は現在、予防の重要性を広めるべく、SNSでの発信や商品開発にも注力しています。私自身が発信力を高めることで、この信念を社会の隅々まで届けたいと考えています。私一人の力には限界がありますが、志を共にする医師やスタッフを育成し、ネットワークを広げることで「予防に特化した精神医療」のモデルを次世代へ引き継いでいく。それが、私の使命です。

医療法人社団燈心会ライトメンタルクリニック
サイトURL:https://light-clinic.com/
理事長兼渋谷本院院長 清水 聖童
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