愛知県・名古屋市に新たなる国際アニメーション映画祭が誕生!「ANIAFF」真木太郎ジェネラル・プロデューサーに聞く見どころ
ガジェット通信様
2025年12月12日より愛知県名古屋市で開催されている「第1回あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル」(通称ANIAFF)。
2005 年に 2200 万人以上を動員した愛知万博「愛・地球博」をはじめ、国際芸術 祭「あいち」、「あいち国際女性映画祭」、「世界コスプレサミット」などの文化事業を継 続してきた愛知県。日本の三大都市圏の中核のひとつである愛知県名古屋市のもつ 産業と文化のパワーを融合したグローバル、かつ世界有数の規模となる国際映画祭 として、世界中のクリエイターが集い、語らい、刺激し合うクリエイションの場となる ANIAFF が誕生します。
本映画祭の見どころなどを、真木太郎ジェネラル・プロデューサーに伺いました!
◆本映画祭立ちあげのきっかけを教えてください。
「新潟国際アニメーション映画祭」が立ち上げから3年経ち、軌道に乗ったかなと感じながらも、もっと大きく広げていきたいという気持ちがあり、新潟とはまた違った形で、さらに大きな規模でということを考えて愛知県と名古屋市にお願いしました。
今回が1回目の開催なので、そういう意味ではまだまだ誰も知らない映画祭ではありますが、将来的に本当に大きくなった時に、アクセスがいいとか、他にも文化的なイベントが多いとか、様々な意味で映画祭にふさわしい土地だと感じています。
◆名古屋は、世界コスプレサミットなど、これまでも国際的イベントを盛り上げてきましたが、地域との関わり方、連携をどの様にしていく予定でしょうか。
僕らは普段東京で生活しているので、知見がない場所でやるということは地元との協力体制が必要です。地元と密にやり取りしていかないと単独感が出てしまいます。映画祭に来るのは、ほとんどが地元の人になると思うので、現地のお客さんがどれだけ楽しめるイベントになるかが一番大事だと考えています。
その中でコスプレサミットや国際芸術祭「あいち2025」、30回目の開催を迎えたあいち国際女性映画祭など、自治体がコンテンツに絡めたイベントを複数催しているというのは、地元の賑わいがありますし開催地として絶対的に有利だと感じています。
何年か経って、世界的な規模で「アニメの映画祭と言えば名古屋だぜ」っていうのが広がっていくとずいぶん違うと思います。だから、名古屋の人たちが「自分たちの場所でやってる」っていうことの感覚の大切さっていうのはありますね。
◆「ANIAFF」の一番の特徴や、こういう映画祭にしたいという願いをお伺いしたいです。
Anime Japanなど作品を楽しむユーザーが訪れる場はすでにたくさんあります。一方で、ゲストとして登壇するのが監督とかクリエイター側ですので、同じ作品を楽しむにしてもクリエイターに近い、クリエイティブに近いのが映画祭だと思います。観客が映画を通してクリエイターと向き合うのではなく、直接向き合うことによって、映画の見方とか自分の中の価値観とかが変わってくるっていうのは、波及効果として大事だと思います。
監督だったりプロデューサーだったり作品を作った方の価値を上げて、そういう人たちにスポットライトを当てたいと思っています。いわゆるモノづくりですね。モノづくりというのはハードのイメージもありますが、コンテンツを作っている人もモノづくりなわけです。
◆真木さんは「新潟国際アニメーション映画祭」も手がけられていますが、「ANIAFF」との違いや、それぞれの魅力について教えていただけますでしょうか。
新潟国際アニメーション映画祭は古町という場所で3年間やってきましたが、地方都市ならではの地元への溶け込み方がとても素敵なのが魅力でした。
一方で、愛知・名古屋はまだこれからですが、場所がそもそも大都会なわけです。そこで溶け込むっていうことはできません。それがすごく難しいなと思っています。
一番大きな違いとしては、アニメ界のアカデミー賞ともいわれる「アニー賞」を主催する、国際アニメーション映画協会の中で最大の支部であるASIFA-Hollywoodと日本初の連携をする点です。日本のアニメは一方通行だと感じています。だからアニー賞との連携によって双方向になっていくのが日本のアニメに必要な次のステップだと思います。
そうすることによって日本のクリエイターが「こういうものを作ってもいいんだ!」と多様性を感じてほしいですね。いつかクリエイターが日本の枠を飛び越してハリウッドと直接と連携するなど、素敵な出会いになるといいなと思います。
◆ディレクター・フォーカスに細田守監督が決定していますが、どの様なお話が伺えそうか、期待していることを教えてください。
細田監督は、海外に行って海外のマーケットで海外の観客と対峙している経験がたくさんあります。細田監督の作品に限らず、例えばアメリカや中国などで観客が作品をどういう風に捉えたのか、どういう風にこの映画を判断したのかというのを、日本の観客が知ることって面白いと思うんですよ。そこで出会いがあって、新しい企画に対する刺激とか、観客の熱量でやる気になるとか、クリエイター側との新しい科学反応が見られるのが国際映画祭ならではだと思います。
◆真木さんが感じている昨今のアニメ事情や、人気作品の傾向について教えてください。
やはり、漫画や小説などの原作を主軸にした作品が多いなという印象を持っています。その上で、オリジナルというか作家性みたいなものを強く感じさせる作品がもっと多く出てきてほしいと願います。どうしても原作をアニメ化したものだと、原作をベースに大きくは変えられないのであまり作家性とシンクロしない。だから、もっともっと観客も柔軟に愛を持って、そういう映画を支持しないと、日本の作家性がある監督が勇気を持って、「この作品面白いぜ」って言いにくくなっていくので。そういう人たちがどんどん面白い映画を出してくる世の中になってほしいですね。
【映画祭概要】
名称:あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル
英語表記:Aichi Nagoya International Animation Film Festival
会期:2025年12月12日(金)~17日(水)
主催:あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル実行委員会
ジェネラル・プロデューサー:真木太郎
フェスティバル・ディレクター:井上伸一郎
アーティスティック・ディレクター:数土直志
企画・制作:株式会社ジェンコ
共催:愛知県・名古屋市
協力:中日本興業株式会社、株式会社東急レクリエーション、株式会社新東通信、学校法人 日本教育財団名古屋モード学園・HAL名古
屋、animate、BVコミュニケーションズ株式会社
協賛:アンスティチュ・フランセ、アルプスアルパイン株式会社
特別協力:ASIFA-Hollywood、Women in Animation
会場:ミッドランドスクエア シネマ、ミッドランドスクエア シネマ2、109シネマズ名古屋を中核とした上映施設、名古屋コンベンション
ホール、ウインクあいち 5カ所を予定
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