映画『アバター』シリーズ J・キャメロンが5人の子供に投影した“父親としての視点”

巨匠ジェームズ・キャメロンが監督を務める、全世界歴代興行収入ランキングで第1位、人類が生み出した全映画の頂点に立つ『アバター』(09)が9月26日(金)より、そしてキャメロン監督のもう一つの代表作『タイタニック』(97)を超えて同ランキングで第3位にランクインする偉業を成し遂げた『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(22)が10月3日(金)より、各作1週間限定で3Dスクリーンにて劇場上映されます。
そして、この「アバター」シリーズ第三弾となる最新作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』が12月19日(金)より日米同時公開。「ウェイ・オブ・ウォーター」では、1作目で恋に落ちたジェイク・サリー(演:サム・ワーシントン)とネイティリ(演:ゾーイ・サルダナ)の間に、実子と養子を含め5人の子供たちが登場し、“家族の物語”が色濃く描かれた。実はそんな子供たちを描くにあたり、キャメロン監督は物語と同じ人数の“自身の5人の子供たち”からヒントを得ていたことを告白。映画監督としての一面だけでなく、父親として子供たちと過ごす中で感じた若者ならではの不安や葛藤が、子供たちのキャラクター形成につながり、多くの観客の共感を誘っていたのだ。果たして最新作『ファイヤー・アンド・アッシュ』では、彼らのどのような成長が描かれるのか―。
『アバター』(09)の舞台は、滅亡の危機に瀕した2154年の地球。人類は宇宙の彼方にある神秘の星パンドラに眠る希少資源を求め、先住民ナヴィと衝突する。そんな中、人類が開発した、人間の意識をナヴィの肉体へと憑依させることができる〈アバター〉としてナヴィと接触したジェイク・サリーは、ナヴィの女性ネイティリと出会い恋に落ち、やがて彼らと共に生きる道を選ぶ。続く「ウェイ・オブ・ウォーター」(22)では、そんな二人の間に子供たちが生まれていますが、キャメロンはそんな子供たちについて「今私には実際に家族がいて、5人の子供たちがいます。彼らが成長し、変化し、個性を育む姿を見てきました。そうした父親としての経験が、この家族の物語を紡ぐ上での糧となっています」と明かします。
特に若さゆえの心境に注視したそうで、「子供たちがその年齢の時に感じていたことを参考に、若者が抱く不安や混沌とした時期をリアルに描いているんです」と、父親として過ごす中での経験や日常を参考に自身の子供たちを重ね合わせたことで、誰もが感情移入できるような思春期特有の葛藤や問いをリアルに表現したキャメロン。そうして描かれた子供たちは結果多くの鑑賞者の共感を誘い、ジェイク役のサム・ワーシントンも「僕には3人の息子がいますが、みんな僕に似て反抗的。この映画でも、ジェイクの息子はジェイクに似て反抗的なんです。僕自身の私生活にもつながるところがたくさんありました」と語っています。そして、そんな子供たちに描かれる葛藤は様々。

ネテヤム(演:ジェイミー・フラッターズ)は、ジェイクとネイティリの間に誕生した、真面目な性格の頼れる長男。戦士としても有能で、弟たちを守るべく、そして一族の次期リーダーを担うために全うに生きるも、父親という越えられない壁に悩む。当時ジェイミーはネテヤムについて「彼はこの物語のヒーローになろうとしています。でも子供というのは、そうしようとすればするほど失敗しますよね」と、自身の演じるキャラクターが抱える葛藤を説明します。
ロアク(演:ブリテン・ダルトン)は、自由奔放で勝気な次男。兄ネテヤムと比べては劣等感を抱き、父に認められたい一心で行動するも裏目に出ることが多い。それでも根底には“役に立ちたい”という純粋な思いがあり、未熟さと成長の狭間にいる姿はまさに等身大の10代そのものであり、多くの観客の共感を呼びました。
キリ(演:シガーニー・ウィーバー)は、アバター開発を率いていたグレイス博士の娘でジェイクとネイティリの養女。周囲との違いに孤独を感じつつも、自然と深くつながる特別な力を持つ神秘的な存在。思春期特有の“自分探し”を体現するキャラクターで、最新作ではその力が物語のカギを握ると予想されるが、果たして―。

スパイダー(演:ジャック・チャンピオン)は、パンドラの制圧を目論みサリー一家を追い続けるクオリッチ大佐の息子で、幼いころにジェイクとネイティリによって救出された人間の少年。ナヴィの身体を持たないことで劣等感と葛藤を抱えながらも、家族の一員として仲間を守ろうとする姿を見せる等身大の存在感で、多くの観客の胸を打ちました。トゥク(演:トリニティ・ジョリー・ブリス)は、まだ幼く無邪気で愛らしいサリー一家の末っ子。愛らしさだけで観客を魅了するのではなく、過酷な運命に懸命にしがみつき、時に思いがけない勇気を見せる姿で観る者を虜。
それぞれの葛藤を抱えながら成長してきたサリー一家の子供たち。『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』では、そんな彼らがどのような選択をし、どんな物語を紡いでいくのか。シリーズの新たな章に期待が高まります。
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