どうする!? 膨大な紙書類! AI×人の力でセキュアな自動デジタル化が可能に

情報資産管理のエキスパートである株式会社NXワンビシアーカイブズと最先端AI技術を有する株式会社Cogent Labs(コージェントラボ)は、9月に共同で行った発表会で資本業務提携の締結と新サービス「COGENT AI SmartRead PLUS+(以下:スマートリードプラス)」を発表した。両社はAIと人の協業による業務自動化サービスを提供することで、労働力不足や生産性向上という企業課題に応えていく。

今回発表されたスマートリードプラスは簡単にいえば紙の文書をデータ化するサービスだ。

文書のデータ化と聞けば単純なようだが、その量が膨大になれば人材確保や作業の長期化など、問題が生まれる。そこで注目されるのがAIだが、現時点のAIでは精度に確実性が担保できないことや、機密性の高さから簡単に外部委託できないという事情もあり、紙書類のデジタル化に二の足を踏む企業は今も多い。

そこでスマートリードプラスは、文書の引き取りからスキャン、AIでの自動読み取り、さらに人間が確認・補正し、信頼度の高い構造化データを顧客に提供するところまで、ワンストップで行えるサービスとして誕生した。文書は注文書、請求書、納品書、報告書等あらゆる形式に対応するという。

今回のサービスではAIシステムをコージェントラボが提供し、NXワンビシアーカイブズがそれ以外の業務を補完する。

NXワンビシアーカイブズは情報資産の管理や活用において金融機関や官公庁での実績も多く、高度なセキュリティ環境でのオペレーションを強みとしている。同社の高橋豊社長は今回の資本業務提携について「業務自動化を本当に実現するには、AIと人間による確認・補正のプロセスを組み合わせることが重要だと考えています。コージェントラボ様の最新のAI技術と弊社のオペレーションサービスを融合させることで、真の業務自動化が実現できると確信をしております」と説明した。

▲株式会社NXワンビシアーカイブズ 代表取締役社長 高橋豊氏

またコージェントラボのエリック・秀幸・ホワイトウェイCEOも「日本は労働力不足という大きな問題に直面しており、近年、AIエージェントには大きな期待が寄せられています。しかし多くの業務のプロセスは100%に近い精度を必要としており、AIだけでは不十分です。両社の提供するスマートリードプラスは、導入の壁を取り除き、高度で信頼できるワークフローの自動化を提供することができます」と自信をのぞかせた。

▲株式会社Cogent Labs 代表取締役社長CEO エリック・秀幸・ホワイトウェイ氏

では実際にスマートリードプラスはどのような活用を想定しているのか。両社は過去3年にわたりすでに協業を行ってきたとのことで、発表会ではその事例も紹介された。

1.工場停止を防ぐため、ノウハウを電子化
ある化学メーカーは工場を1日停止するだけで数千万単位の損失が出るため、これまではノウハウの継承を大事にしていたが、人材不足でそれが難しくなりつつあった。そこで工場の検査記録や作業日誌などの紙書類約500万枚を電子化し、サーチャブルPDFに変換。お客さまはこれをAIに取り込むことで、いざというときにAIに対応策を示してもらえるようになった。実際に工場停止の危機を救う場面も出ており、成果をあげている。

2.警備会社の鍵の預かり証を電子化
ホームセキュリティーサービス会社では、顧客から鍵を預かる際に長年やりとりしていた預かり証1000万枚以上を2年計画でデータ化。手書きであることに加えて文字と押印がかぶる箇所があるなど、通常なら読み取りが難しい書類だが、コージェントラボの高精度で高速なAIが読み取りを可能にし、さらにNXワンビシアーカイブズの人による監督・補正で情報の精度を確かなものにしており、DX化を後押しした。

日本のビジネスはこれまでじつに多くの紙書類を生み出し、蓄積してきた。業務のDX化はすすみ、すでに新しい管理・運用に切り替わっているのに、過去の膨大な紙書類はそのまま放置されている、ということも。見て見ぬふりを続けてきた紙の書類を生きた資産として活用するために、スマートリードプラスが救世主となり得るかもしれない。

  1. HOME
  2. デジタル・IT
  3. どうする!? 膨大な紙書類! AI×人の力でセキュアな自動デジタル化が可能に
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。