STEAM教育プログラム参加の中学生が「小豆島の課題解決」に関するアイデアを発表


トモノカイによるSTEAM教育のプログラムに参加してきた香川県小豆島町立小豆島中学校と土庄町立土庄中学校の生徒が1月25日(土)、小豆島町の道の駅「小豆島ふるさと村」で、観光や農業の人手不足など島の課題を解決するアイデアを町長らに披露した。

ドローンとゲーム制作で島の課題を解決する案を発表

発表したのは、ドローンで島の課題を解決する3つの案と、ゲーム制作で島の魅力を広く発信する2つの案。

観光客が港に到着後すぐに散策できるよう荷物をドローンでホテルに運ぶ案と、高齢農家の負担を減らすため野菜をドローンで産地直送所や家庭に運ぶ案は、ドローンを実際に飛ばす実験も行った。制作したゲームは町長らが体験した。

約20名の生徒や関係者など約60名が発表に参加し、ドローンを活用したアイデアを発表した生徒たちは「ドローンがうまく使えたら生活がもっと便利になると思う」「島の外から運ぶものは船よりドローンで安く早く届けられる」「考えたサービスが採用されたらうれしい」などと話していた。

「一緒に形にしていきたい」と町長は前向きなコメント


生徒たちの発表を聞いた小豆島町の大江正彦町長は「皆さんが島の課題を真剣に考えてくれていることがわかったし、頼もしく思いました。

これからもあきらめずに皆さんがしたいことをとことん突き詰め、高校や大学を卒業後できれば皆さんに島に帰ってもらい今日のようなアイデアを社会実装してもらえるとうれしいです」と話した。

土庄町の岡野能之町長も「日頃どう課題に気づき形にするかが大事ですが、今日発表してもらったことをきっかけに今後も案を形にしてもらいたいです。島の活性化や豊かな暮らしのために今後も私と大江町長と皆さんで考えていきたいです」と感想を語った。

今回発表したアイデアは今後、2町がJTBなど小豆島・瀬戸内エリアマネジメント協会に参加する民間企業などと連携して実際に採用する可能性も探る。

小豆島中と土庄中の中学生が発表した5つの案の詳細

中学生が発表した5つの案の詳細は次の通り。

「島の課題解決×ドローンサービス」として、小豆島中は「観光客が希少な小型のイルカであるスナメリを水中ドローンで探す新たな観光体験サービス」を提案。

土庄中は「観光客が小豆島の港に到着後すぐに散策できるよう、荷物をドローンでホテルに届けるサービス」と「町の高齢者、体の不自由な人の重労働をドローンで負担軽減するため、各農家からJA、産地直送所、各家庭に野菜を運搬するサービス」を提案した。

「島の魅力発信×ゲーム制作」では、小豆島中が1つ目の案として「未来から来た観光客が島中に散りばめられたタイムマシーンのかけらを集めるゲーム。ゲームを通して島のきれいな景色を見てもらうことで、観光客を増やしたいという狙いで制作」を提案。

2つ目の案として「都会に住む『社畜』が島に流れ着き、島のおいしいご飯を食べ景色を見ることでメンタルゲージが回復していくゲーム。島の良さを県外の人に伝えたいという狙いで制作」を提案した。

STEAM教育プログラムを実施した背景について

小豆島町は2023年10月、島が抱える大きな課題である少子高齢化やオーバーツーリズムの対策のため、小豆島・瀬戸内エリアマネジメント協会と包括連携協定を結んだ。

また小豆島と豊島(小豆島町と土庄町)は都市圏と比べ授業の選択の幅が狭く、教育格差が課題だったため、これを解消しようとする同協会などは国土交通省のスマートアイランド事業に採択され2024年7月に取り組みが始動した。

この事業の教育プログラムの監修を担い、同協会に参画するトモノカイが、新しいテクノロジーで教科横断的に課題解決策を考えるSTEAM教育の「PBL(problem based learning)プログラム」を両町の中学校で実施。昨年7月以降、現地とオンラインで計6~10回授業を行った。

トモノカイは大学生メンターによる授業のサポートなどで学校改革や教員の働き方改革を支援する事業を行っており、今回も大学生が最新技術を生かした解決策を検討するためのアドバイスをしてきた。

同協会にはトモノカイの他、旅行大手のJTBや船の自動運転技術開発のエイトノット、ドローン活用のノウハウを持つfly、社会インフラ整備の八千代エンジニヤリングなどが参加している。

中学生が発表したアイデアの行く末が気になる人は、今後の動向を追いかけてみては。

(佐藤 ひより)

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