【ライヴレポ】DISH//の青春は終わることはない──〈DISH// ARENA TOUR 2024-2025 「群青飛行」〉@有明アリーナ
2024年11月30日、12月1日の2日間にかけて、
2024年は、DISH//にとって、大きな変化が起きた1年だった。2024年8月、メンバーの矢部昌暉(Cho, G)が体調不良の療養に専念するため活動休止を発表。この発表はバンドとしても大きな試練だったが、北村匠海(Vo, G)、橘柊生(DJ, Key)、泉大智(Dr)は、その後フェスやイベントに3名で参加し、DISH//としての活動を止めることはなかった。そして、この「DISH// ARENA TOUR 2024-2025『群青飛行』」は、矢部の活動再開後初のライヴ。会場には多くの//er(スラッシャー。DISH//ファンの総称)たちが、期待を寄せて集まっていた。
開演の時刻が近づくとBGMとして流れていた、とあるバンドの「群青」を冠した楽曲が会場の熱を高めていく。そして飛行機の離陸音をイメージしたSEのあと、メンバーがなんと会場後方の一般出入口から登場。客席の間を通って入場し、センターステージで4人でポーズを決めると、大きな歓声が湧き上がった。彼ららしいやり方で、会場中を驚かせると、北村が「さあ、有明!準備はいいかー!?」と叫び、セットリストの1曲目“JUMPer”で、彼らの群青飛行は勢い良くフライトをスタートした。
ライヴはさらに、“I’m FISH//”、“皿に走れ!!!!”へと展開。疾走感のあるロック・チューンで、序盤から一気に有明アリーナを群青色に染め上げる。続く“Dreamer Drivers”では、拳を挙げて「行けるか? 精一杯笑おうぜ!一生懸命笑おうぜ!」と北村が叫び、目の前のオーディエンスを「笑わせたい!」という思いが有明アリーナに響き渡った。
MCでは、前日からライヴに復帰した矢部に対して、会場全体で大きく「おかえり!」という声が寄せられた。その温かな声に、矢部も笑顔で「ただいま!」と応え、幸せな空気に包まれる。ライヴはそこからは気合いも十分という感じで「さあ、みんなで歌いましょう!」と、次の楽曲“NOT FLUNKY”へ。北村と矢部がギターを向かい合って弾くシーンには思わず、笑みがこぼれた。ふたりはセンターステージへと続く花道を駆け抜け、やっと4人で完全体のDISH//が見せられる喜びを爆発させた。
続く“birds”では、北村がアコースティック・ギターを携え、シンプルなエイト・ビートに乗った美しいピアノの調べが心を明るく照らす。さらに続いて、披露されたのはDISH//の代表曲として広く知られている、名曲“猫”。暁を感じさせるオレンジ色の照明が4人を照らすなか真摯な歌声を届け、ギターのアルペジオからスタートした“僕らが強く”では、会場中に力強いクラップが響き渡った。
この日、北村は何度も「青春」という言葉を口にした。DISH//は、ロー・ティーンの頃からメンバーと共に過ごし、これまでの10年以上に渡る年月のなかで、笑ったことも時には喧嘩したことも泣いたこともあったという。しかし、それらも含めて「ずっと青春じゃん 今も青春してる」と北村は語る。DISH//のライヴには、幅広い客層のオーディエンスがいるが、どんな年齢でも「今この瞬間が俺たちの青春」だと感じてほしいと伝えた。
ライヴはさらに「もっとみなさんの心に炎をつけてもいいですか?」と煽り、ハードなロック・チューン“FLY”、“rock’n’roller”へと展開。ステージに炎が立ち上るなか「燃え尽きるまでついてこいよ!」と叫び、“Newフェイス”では「頭振れ!」の指示で、フロアもヘッドバンギング。DISH//のロックな一面を見せつけた。このブロックのラストは、ケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)が手がけたダンス・チューン“星をつかむ者達へ”。ジャージー・クラブの軽快なビートに、DISH//4人のラップが重なりあい、会場全体が巨大なダンス・フロアへと変貌していた。
DISH//のライヴは、常に温かな空気を感じられる。その空気感はディストーションの効いたハードなロック・チューンや、バッキバキに踊れるダンス・チューンにおいても、同じである。それはきっとメンバー4人が、温かな心を持ち、ライヴをしているからなのだと思う。そしてその心を//erたちが受け取っているからこそ、より一層温かな空気が生まれるのだ。
「有明アリーナ、楽しんでるー?」という橘によるほんわかしたMCを挟み、「かんぱーい!」の合図で、次の曲“乾杯”へ。ライヴはそこから“HAPPY”、“This Wonderful World”で多幸感で包み込む。さらに泉の怒涛のタム回しから繋げれた“FLAME”では、矢部の渾身のギター・ソロで割れんばかりの喝采が送られた。
ライヴはさらにここからクライマックス。TVアニメ『逃げ上手の若君』オープニングテーマとして起用された、和テイストのお祭りロック・ナンバー“プランA”では、橘による声出しのレクチャーからスタート。「こっちも喉潰すつもりでやってっから」と全力で煽り、矢部もステージの端から端まで走り回ると、会場のヴォルテージはMAXまで到達していく。
さらに泉のパワフルなドラムが高揚感を高め、北村は法螺貝を構えスタンバイ。ステージもフロアも万全な状態のなか、「さあ、始まるぞ!」というタイミングで法螺貝による合戦の幕開けを感じさせる勇ましい音色が鳴り響いた。その瞬間には火花があがり、会場全体が燃え上がるような大きな熱い空気に包まれる。4人はその熱気そのままに“愛の導火線”に火を点けると、会場中を飛び跳ねさせていく。本編ラストは“朝、月面も笑っている”。北村の優しく全ての人に寄り添うような歌声が、ひとりひとりの心を照らしていた。
特大の「おかわり」コールに応えてのアンコールでは、このツアーのタイトルでもある、新曲“群青飛行”を披露。この“群青飛行”は、矢部の休養前に作られていた楽曲で、「いつまでも青春しよう」という思いが込められている。「これまで」と「これから」を繋ぐ、大切な楽曲を真摯に歌うその姿からは、会場全体を青春の輪のなかに入れてくれるような、そんな懐の深さを感じさせた。ライヴはそこから、「いつもいつもありがとう」という感謝のメッセージを込めた“沈丁花”を披露。そしてラスト・チューンの“勝手にMY SOUL”まで、全身全霊で“青春まっただなか”な自分たちを表現した。
こうしてライヴの幕は閉じたのだが、メンバー4人は観客を見回すようにステージを移動し、全てのオーディエンスに感謝の思いを伝える。「俺たちだらだら歩くことで有名だから」とゆっくりと動いていたが、それはきっと泉の衣装に縫いつけられた大量のぬいぐるみの重みのせいだけではなく、「楽しい時間を終わらせたくない」という気持ちがそうさせているのだと思う。
まだまだDISH//の青春は終わることはない。彼らはたまに休憩したり、たくさん話して、いろんな経験をして、彼らはこれからもずっと青いなかを飛び続けていくのだ。
取材&文:ニシダケン
フォトギャラリー
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セットリスト
1JUMPer
2I’m FISH//
3皿に走れ!!!!
4Dreamer Drivers
5NOT FLUNKY
6birds
7猫
8僕らが強く。
9FLY
10rock’n’roller
11Newフェイス
12星をつかむ者達へ
13乾杯
14HAPPY
15This Wonderful World
16FLAME
17プランA
18愛の導火線
19朝、月面も笑っている
EN1群青飛行
EN2沈丁花
EN3勝手にMY SOUL
リリース情報
DISH// 2nd EP 「群青飛行」
2025年3月26日(水)発売
初回生産限定盤A
[SRCL-13230/13231] CD+Blu-ray [プレイパス対応]+ライブスチールブックレット|¥9,890 (税込)
初回生産限定盤B
[SRCL-13232/13233] CD+Blu-ray [プレイパス対応]+ライブスチールブックレット|¥9,890 (税込)
通常盤
[SRCL-13234] CD Only|¥1,980 (tax in)
<CD 共通収録内容>
「群青飛行」、「朝、月面も笑っている」 ほか2曲予定
<Blu-ray 収録内容>
【初回生産限定盤A】 DISH// ARENA LIVE 2023「HAPPY?」(2023/12/3収録)ライブ映像
【初回生産限定盤B】 DISH// HALL TOUR 2024「GARDEN」(2024/7/11収録)ライブ映像
ツアー情報
〈DISH// FC TOUR 2025 「愛してるぜベイベー//」〉
北海道:Zepp Sapporo
5月25日(日) 開場 16:00 / 開演 17:00
東京:Zepp Haneda
6月1日(日) 開場 16:00 / 開演 17:00
愛知:Zepp Nagoya
6月7日(土) 開場 16:00 / 開演 17:00
大阪:Zepp Osaka Bayside
6月8日(日) 開場 16:00 / 開演 17:00
福岡:Zepp Fukuoka
6月21日(土) 開場 16:00 / 開演 17:00
神奈川:KT Zepp Yokohama
7月12日(土) 開場 16:00 / 開演 17:00
宮城:SENDAI GIGS
7月19日(土) 開場 16:00 / 開演 17:00
▼『DISH// FANCLUB TOUR 2025 「愛してるぜベイベー//」』 特設サイト
https://fc.dish-web.com/feat/fctour2025
アーティスト情報
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