「ムファサが怒りよりも落ち込む気持ちがよくわかった」スカーと対立しない未来はあった…?『ライオン・キング:ムファサ』尾上右近&松田元太インタビュー<前編>

『ライオン・キング』はじまりの物語であり、ディズニー史上、最も温かく切ない“兄弟の絆”を描いた映画『ライオン・キング:ムファサ』がついに公開! 本作の超実写プレミアム吹替版の声優を務めた尾上右近さんと松田元太さん(Travis Japan)のインタビュー<前編>をお届けします。

壮大なアフリカの大地を舞台に“生命”をテーマに描き、映画、演劇、音楽と頂点を極めた一大叙事詩『ライオン・キング』。アニメーション映画として1994年に誕生した本作は、映画賞、音楽賞を総なめにし、奇跡の映像美、圧巻の楽曲、心震える感動の物語は全人類を熱狂させました。

そして『ライオン・キング』は進化を遂げ、2019年にはリアルを超えた超実写版『ライオン・キング』として全世界で公開し、ディズニー映画で世界歴代映画興収No.1となる約16.6億ドル(約2,556億円 1ドル153.8円換算:12/16日時点)を記録!

そして今作『ライオン・キング:ムファサ』では、『ライオン・キング』(2019)で、息子シンバを命がけで守った父ムファサ王と、彼の命を奪った“ヴィラン”スカー(タカ)の若き日を描きます。

実はかつて、血のつながりを越えた“兄弟の絆”でむすばれていたというムファサとタカ(スカー)の《衝撃の秘密》が初めて明かされる――。

超実写プレミアム吹替版のキャストに厳しいオーディションを経て選ばれたのは、ムファサ役に尾上右近さん、タカ(スカー)役に松田元太さん。

取材中に「けんけん」(尾上右近さんの本名“けんすけ”からのあだ名)、「げんげん」と呼び合う仲になったお二人。

兄弟のように和やかな掛け合いをするお二人に、それぞれのキャラクターやお互いの魅力を語っていただきました。


・「ライオン・キング:ムファサ」超実写プレミアム吹替版本予告|2024年12月20日(金)劇場公開
https://youtu.be/q36t7gM9mu8?si=qGpECLx7120rmJvL

「命がけでスカーになる瞬間はありました」松田元太のヴィラン<スカー>への声の変化に尾上右近も感嘆!
「ずっと綺麗な水色だったものが、いきなりダークブルーになったような、冷たい声色」

――『ライオン・キング」30周年ということで、前日譚に当たるオリジナルストーリーですが、オリジナルの『ライオン・キング』への想いや、今作の印象をお聞かせください。

尾上右近(以下、右近):僕は32歳なので、『ライオン・キング』も同世代ですし、ともに育ってきた世代という自覚もすごく強いです。
今作は、受け継がれる伝統の中の“王の始まりの物語”で、ムファサの人生は1人ぼっちの孤児から始まって王になっていく姿を描いています。僕自身伝統ある歌舞伎界にいますが、歌舞伎俳優の家に生まれたわけではないので、オーディションを受けさせてもらう段階から、自分が演じることは意味がある、絶対にやりたいと思って、ある種自分の中で作った責任感みたいなものの中で取り組ませていただきました。

松田元太(以下、松田):僕もオリジナルのアニメ作品も大好きですし、ディズニー作品が大好きなので、今回オーディションを経て色々経験させてもらって、日常でも仲間の大切さであったり、兄弟の絆と、友情より熱い愛情を感じました。
これはライオンだけど、人間界にも通ずる万国共通の愛が大切に描かれている作品でもあるので、それを1つ1つ大切に色々勉強させていただきながらトライして、『ライオン・キング』の世界に自分が居るんだな、というのも感じながら楽しみました。

――兄弟役ということですが、お互い初対面の印象はいかがですか?

松田:僕はもう会う前から大好きでしたし……。

右近:いや、僕もそうですよ。

松田:実際にお会いしても、本当に優しいお兄ちゃん。ムファサとタカのようです。僕は本当にこういうお兄ちゃんが欲しいと思っていた理想のお兄ちゃんに今日出会えたので、色々歌舞伎界のお話も伺えたり、今回のムファサの取り組み方もお聞きできて、勉強しながら楽しく過ごさせてもらっています。

右近:まさしく僕も同じで。この業界独特で、初めましてでもお互いのことを認知している方が多く、げんげんも今までお会いしたことはなかったけれど、もちろん存じ上げていましたし、本業の素晴らしさと、そのキャラクターの愛くるしさが奇跡のバランスの人で、天才だと僕は思っていました。
今日お会いしてその人柄に触れて、月日はあまり関係ないんだなってことも感じるし、ちょいちょいふざけてる。どこでげんげんがふざけているか、なんとなく感じるようになってきました(笑)。

松田:まずい(笑)。

右近:いや、それはそれでいいじゃない(笑)。こうやって取材も2人でしてもらうことでめちゃくちゃ救われているし。お互いのことを知り合える貴重な時間をもらえて、すごく楽しい時間を過ごさせてもらっています。

松田:けんけんは想像より優しかったです。

右近:そうなんだ? どういうイメージだと思ってた?

松田:良い意味で、あまりふざけない方だと思っていました。

右近:それは本当によく言われますね。全然ふざけますし、笑いは好きです。

松田:話を合わせてくださるので、とても楽しいです。

――右近さんは、アニメーション版『ライオン・キング』や2019年公開の超実写版『ライオン・キング』で、ムファサ王の吹替声優を務められた大和田伸也さんの声の演技にインスピレーションを受けたところはありますか?

右近:何を受け継ぐかは、一概にやり方や声だったり、そういう技術的なことだけではないように思っています。 大和田さんからも、歌舞伎の先輩から受け継ぐものを受け取る感覚に近い感じで、受け取らせていただきました。でも、やっぱりどこかで吹替のオリジナルのムファサの声に繋がるようなイメージは自分の中では持っていました。

立派な大人の男でも若い時にどうだったかは、今見ている完成形とは違ったりするわけじゃないですか。そこに至るまでのプロセスを見せるという意味での、自分のムファサの役割だと思ってやっていたので、未完成ながらも完成形に繋がっていく点線は見える、みたいなイメージで、自分なりに演じさせてもらいました。

――松田さんはヴィランになっていく過程も今回ポイントとなりますが、二面性をどう演じましたか?

松田:スカーになる瞬間ももちろん大事ですけど、物語として、スカーになる前のタカの時間を改めて考えました。
それを自分の中で解釈しながら、どんどん落とし込んで声に乗せていくという作業をして。自分の中で「タカはこういう想いで今過ごしてるんだろうな」と読み込みながら、徐々にスカーになる様々なポイントで、いろんなライオンとのコミュニケーションだったり、その時のタカの状態によって、コロッと感情が動く瞬間もあれば、じわじわぐつぐつくるような恐ろしさじゃないですけど、そういう感情の変化を、より大事に声で表現したいなと思って。命がけでスカーになる瞬間はありましたね。

――お互いの演じられている声を聴いた印象はいかがですか?

右近:もう愛くるしいし、でも野生味はタカのほうが強いなと思いました。雄々しいというか、そういう野性味みたいな強さや荒っぽさも感じるし、でも愛くるしさがあるし、温もりもあるし、人懐っこさみたいなものもあって、そこは本当にげんげんの声の魅力とタカの魅力が重なっていて。その声を聴きながら演じられたことは、ムファサを演じる上ですごく救いになりました。
だから兄弟の支え合いって、ただお互いにサポートし合うことだけではなく、影響を与え合うってことなんだなとも感じました。

――タカが徐々にスカーになっていくシーンの声はいかがでしたか?

右近:それも僕はめちゃくちゃビックリしました。でも、ムファサが本当に怒りよりも落ち込むって気持ちがよくわかった。
お互いに悪いことをしていないから。そこは結構リアルじゃないですか。その関係性をすごく感じられる、深い声。ずっと綺麗な水色だったものが、いきなりダークブルーになったような、冷たい声色になる。


・15秒予告 宿命がふたりを引き裂いた編|「ライオン・キング:ムファサ」大ヒット上映中
https://youtu.be/GgyVpHJnXIs?si=hYWGf8-im_06uxJP

松田:そう言っていただけて嬉しいですね。
ムファサの声は、けんけんの声でもありますし、温かさと優しさと勇敢さと、でもどこかに何か抱えているというか、誰にも言わない悩みみたいな、そういう感情もありながらも、でも周りのみんなを優しく包み支える。リーダー気質はあるのに、それを別に自分からは名乗り出ないという優しさ、カッコよさ。1歩引いて、みたいな。

タカに対してのアプローチの仕方もすごく優しくて、その存在もそうだし、声でもタカに安心感を与える。自分自身も安心感はすごく感じて、その声に救われながら演じました。
最初はけんけんの声だとわかって演じていたんだけど、だんだんもう「これはムファサの声だ」となって。そういえばけんけんだった、となるくらい、ぞわっとするのがずっと続く。そこは勉強になったし、刺激もいただけて、タカを頑張ろうってなりました。

――今作を演じてみて、スカーとムファサやシンバが対立しない未来もあったかもしれない、という瞬間を感じたりしましたか? それとも、これは運命、必然だったんだなと思いますか?

松田:そんな未来もあったかもしれないですけど、ああいう運命だったと思います。

右近:こうやっていろんな仕事をやらせていただけるのも、自分で決めているわけじゃなくて、縁やタイミングがあってやらせてもらっているわけで、そういう自分では決められないものってきっとあると思う。それを多分、人は運命と呼んでしまうんだと思うんですけど、そういう意味では運命だと思います。

いくら自分たちが歩み寄ろうと思ったり、関係値を良くしようとコミュニケーションをとっても、そうはならないことってやっぱりあるので、それが運命であり、2人の運命としてはあの結末にならざるを得なかったってことなんじゃないかなと思います。


・レビュー予告 この冬、必見のキング・オブ・エンターテイメント|「ライオン・キング:ムファサ」大ヒット上映中
https://youtu.be/KGzm92mdNS0?si=fl-pKx6X3w_F4XJg

明日はそれぞれのキャラクターや楽曲の魅力について語ってくださったインタビュー<後編>をお届けします!

映画『ライオン・キング:ムファサ』は大ヒット上映中!

尾上右近 
ヘアメイク: 西岡達也(Leinwand) スタイリスト: 三島和也(Tatanca)
松田元太 
ヘアメイク:宇佐見順子(JOUER) スタイリスト:日夏(YKP)
【衣装】ジャケット¥57,200、パンツ¥33,000/共にCULLNI(Sian PR)
【問い合わせ先】
Sian PR
〒150-0002
東京都渋谷区渋谷2-2-3 ルカビルⅡ 2F~4F
TEL:03-6662-5525

作品情報

『ライオン・キング:ムファサ』
大ヒット公開中
監督:バリー・ジェンキンス
字幕版声優:アーロン・ピエール、ケルヴィン・ハリソン・Jr.、ティファニー・ブーン、マッツ・ミケルセン、ドナルド・グローヴァー、ブルー・アイビー・カーター、ビヨンセ・ノウルズ=カーター、ジョン・カニ、セス・ローゲン、ビリー・アイクナー、プレストン・ナイマン、カギソ・レディガ
超実写プレミアム吹替版声優:尾上右近、松田元太(Travis Japan)、MARIA-E、吉原光夫、和音美桜、悠木碧、LiLiCo、賀来賢人、門山葉子、佐藤二朗、ミキ亜生、駒谷昌男、渡辺謙
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
原題:Mufasa: The Lion King
(C)2024 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

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アニメや可愛いものが大好き。主にOtajoで執筆中。

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