「立つ鳥跡を濁さず」とはどんな意味?どんな鳥の様子から生まれた言葉?その対義語は?
人の去り際を表現する言葉、それが「立つ鳥跡を濁さず」です。
しかし、このことわざはどのような意味を持つのでしょうか?
この記事では「立つ鳥跡を濁さず」がどのような言葉なのかについて解説します。
「立つ鳥跡を濁さず」とは
ここでは「立つ鳥跡を濁さず」の意味を解説します。
「立つ鳥跡を濁さず」の意味
「立つ鳥跡を濁さず」は引き際が潔く爽やかであることの例えです。
去っていく者は跡が見苦しくないようにきちんと始末してから出立しなくてはならないという戒めのようなニュアンスで使用することもあります。
逆に去った者が何も遺恨を残さず綺麗に旅立つことを指して「立つ鳥跡を濁さず」と表現することもあります。
「立つ鳥跡を濁さず」を使う場面・例文
「立つ鳥跡を濁さず」は美しい引き際に対して使用する言葉です。
・例文1:あの選手はまだ若いのに後世のことを考えてきっぱり引退した。その見事な勇退はまさに立つ鳥跡を濁さずだった。
このように、引き際が潔く爽やかである場面で使用します。
スポーツ選手がチームを抜ける際などに使用される他、会社や企業など特定の組織から綺麗さっぱり姿を消すことを指して使用する場合もあります。
ただし「立つ鳥跡を濁さず」は教訓のような意味合いで使用されることもあるので注意しておきましょう。
・例文2:立つ鳥跡を濁さずというように、引き際というのは見苦しくならないようしっかりと始末してから出立すべきである。
・例文3:転職する際は立つ鳥跡を濁さず、引き継ぎ期間をすべて全うしてから新たな職場に就職すべきである。
このように、去る者は残る者の迷惑にならないようにすべきだというニュアンスで使用されることもあります。
つまり「訪れた地や働いていた場に別れを告げる時は後片付けを行って綺麗にしてから旅立つべき」という心得としても使用されているわけです。
「立つ鳥跡を濁さず」の成り立ち
「立つ鳥跡を濁さず」は、鳥が飛び去る様子から来たことわざです。
現に鳥が飛び立っても水面が澄んだままの状況を描写した言葉となります。
本来、鳥は地面を強く蹴ったり翼を勢いよく羽ばたかせたりして飛び立つため、水面が揺れて汚れてしまう場合があります。
しかし、鳥の中には水面を揺らすことなく飛び立つ鳥もいるわけです。
その光景から生まれたのが「立つ鳥跡を濁さず」ということわざです。
「立つ鳥跡を濁さず」とはどんな鳥のこと?
「立つ鳥跡を濁さず」ではどんな鳥なのかは明示されていません。
ただし、末尾の「濁さず」という言葉から水鳥と推測できます。
では、水鳥のなかでもどのような鳥なのでしょうか?
これに関しては古い用例を見るとわかりやすいです。
現に安土桃山時代には「鷺は立ちての跡濁さぬ」などの表現が見られたため「水鳥=鷺(サギ)」を意味していたといえるでしょう。
ただし、現代では具体的な鳥ではなく人を対象に使用するのが一般的なので、あまりどのような鳥なのかは言及されません。
あくまでも水鳥が飛び去っていった情景を人に当てはめた言葉なので、どのような鳥かは明確にされません。
「立つ鳥跡を濁さず」の対義語
ここからは「立つ鳥跡を濁さず」の対義語を紹介します。
後足で砂をかける
「後足で砂をかける」は、世話をかけた恩人への義理を忘れるばかりか去り際に迷惑までかけることを意味することわざです。
この言葉は犬や馬が走る際に後ろ足で砂を蹴散らす場面を例えた言葉です。
転じて、人が恩を忘れたり最後に迷惑をかけたりする場面で使用します。
その点が「立つ鳥跡を濁さず」と相反するのではないでしょうか。
旅の恥は掻き捨て
「旅の恥は搔き捨て」は、旅先には知り合いがいないので仮に恥をかいたとしてもその場限りで済むということを意味することわざとなっています。
この言葉は旅先に恥を捨ててくる場面を例えた言葉となっています。
転じて、羽目を外す場面で使用するようになったそうです。
その点が「立つ鳥跡を濁さず」とは別の表現といえるでしょう。
あとは野となれ山となれ
「あとは野となれ山となれ」は、無責任なことの例えです。
今をやり過ごせば後のことはどうでもいいということを指す言葉となります。
要は目先のことが解決できれば他のことなどどうなっても構わないというニュアンスの言葉といえるでしょう。
その点が「立つ鳥跡を濁さず」とは別物の言葉となるのではないでしょうか。
まとめ
「立つ鳥跡を濁さず」は人の去り際を鳥に例えた表現です。
ここでの鳥は「濁さず」という表現から水鳥を表しているとされていますが、具体的にどのような鳥なのかは明確ではありません。
ただ、古い用例では「鷺」と表現されているため、鷺が飛び立つ際の情景から来た表現と覚えておきましょう。
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