「勝って兜の緒を締めよ」とはどんな意味?その由来は戦国時代にあり!?
気を引き締める意味で使用される言葉、それが「勝って兜の緒を締めよ」です。
しかし、この言葉はどのような意味を持つのでしょうか。
この記事ではその由来と合わせて解説します。
「勝って兜の緒を締めよ」とは
ここでは「勝って兜の緒を締めよ」の意味を解説します。
「勝って兜の緒を締めよ」の意味
「勝って兜の緒を締めよ」は、敵に勝っても油断することなく気を引き締めるべきであるということを表現したことわざです。
現代では物事が順調に進んでいる時こそ気を引き締めるべきという戒めの意味で使用されるのが一般的です。
実際に物事が順調に進んでいる時ほど何が起こるかわかりません。
だからこそ、常に警戒して物事に取り組まねばなりません。
その教訓を表現したのが「勝って兜の緒を締めよ」です。
「勝って兜の緒を締めよ」の用い方・例文
「勝って兜の緒を締めよ」は警戒すべき状況で使用する言葉です。
・例文1:「勝って兜の緒を締めよ」というように試合に勝利したとしても決して油断してはいけない。
・例文2:対戦相手に勝ったとしても慢心してはならない。より成長するためには「勝って兜の緒を締めよ」を常に実践しなければならない。
・例文3:契約を獲得したとしても気を抜いてはならない。「勝って兜の緒を締めよ」という気持ちで今日も明日も営業だ。
このように「勝って兜の緒を締めよ」は物事に対して慎重に取り組むべきという意味で使用されます。
勝っている状況でありながらも抜くなという意味で使用します。
逆に負けている状況では使用しないので注意しましょう。
「勝って兜の緒を締めよ」の由来
ここからは「勝って兜の緒を締めよ」の由来を解説します。
「兜の緒」とは
「勝って兜の緒を締めよ」は「兜の緒」に由来する言葉です。
「兜」は頭にかぶる武具の1つを意味します。
「緒」は顎の部分で結ぶ紐を意味します。
日本ではかつて兜などの武具を装着して戦場に出ていました。
当時は戦が終わると緒を解いて武装を解除するのが普通でした。
しかし、敗北した敵兵がいつどこで襲ってくるかはわかりません。
油断して兜の緒を取り外してしまうと反撃を受けるかもしれません。
転じて、武士の間で「仮に戦に勝ったとしても兜の緒だけは緩めるな」という教訓が広がったとされています。
実際に「北条氏綱公御書置」にも「勝って兜の緒を締めよ」という言葉について言及されています。
それが現代の「勝って兜の緒を締めよ」の原型となったそうです。
由来とされる「北条氏綱公御書置」
「勝って兜の緒を締めよ」は「北条氏綱公御書置」から来ています。
「北条氏綱公御書置」は1541年5月21日に日本の戦国大名「北条氏綱」が嫡子氏康へ書き残した遺訓のことです。
その「北条氏綱公御書置」に「勝て甲の緒をしめよ、といふ事忘れ給ふへからす。」という文言が書き残されています。
これは「勝って甲(兜などの装甲)の緒を締めよ、ということを忘れるべからず」という意味の言葉です。
「勝って兜の緒を締めよ」はこの文言から来たとされています。
「勝って兜の緒を締めよ」の類義語
ここからは「勝って兜の緒を締めよ」の類義語を紹介します。
敵に勝ちて愈々戒む
「敵に勝ちて愈々戒む」は敵に勝ったとしても気を緩めることなく警戒することを意味する言葉です。
「愈々」は時期が迫っていることや時期が来てしまったことの他、程度が甚だしくなっていることや確信の度合いが強まっていることを意味します。
敵に勝利して油断していると逆に襲われる恐れがあることを指します。
その点が「勝って兜の緒を締めよ」と似ているのではないでしょうか。
ただし「勝って兜の緒を締めよ」は常に気を引き締めておくニュアンスがあるのに対して「敵に勝ちて愈々戒む」は一層気を引き締めるニュアンスがあるため、使用する際には使い分けた方が無難かもしれません。
好事魔多し
「好事魔多し」は物事がうまく進んでいる時ほど、意外なところに落とし穴があるということを意味する言葉です。
これは中国元代の劇作家高明の戯曲『琵琶記・幾言諫父』中の成句「好事多磨」から来た表現とされています。
ここでの「磨」は「差し障り」を意味します。
つまり、物事が順調な時ほど問題が起こることを意味しているわけです。
その点が「勝って兜の緒を締めよ」に通ずるものがあるのではないでしょうか。
まとめ
「勝って兜の緒を締めよ」は油断しないよう戒めの意味で使用される言葉です。
現代では物事が順調に言っている時こそ慎重に行動すべきであるという意味で使用されます。
確かに調子に乗って油断していると足をすくわれることもあるかもしれません。
だからこそ「勝って兜の緒を締めよ」、順調な時ほど慎重に行動したいものです。
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