「枕を高くして寝る」とはどんな意味?その由来は古代中国の逸話にあった!!
安心して眠れることを「枕を高くして寝る」と表現します。
しかし、なぜ枕を高くすることが安心して眠れることにつながるのでしょうか?
今回はそんな「枕を高くして寝る」の意味について解説します。
合わせて由来についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
「枕を高くして寝る」とは
ここでは「枕を高くして寝る」の意味を解説します。
「枕を高くして寝る」の意味
「枕を高くして寝る」は不安なことや心配なことがないことを意味します。
気にかかることがなく安心してゆっくりと眠ることを意味する言葉です。
要は困っていることや悩んでいることがなくぐっすりと眠れることを指す慣用句となります。
気がかりなことがあると人はなかなか眠ることができません。
仕事や勉強、恋愛など悩みがあればあるほど安心して眠れないでしょう。
しかし、逆に悩みがまったくなければ心から安眠できるのではないでしょうか。
そういった状況を表現したのが「枕を高くして寝る」という言葉です。
「枕を高くして寝る」の用い方・例文
「枕を高くして寝る」は安心して眠れる状況を意味する慣用句です。
・例文1:受験が終わってようやく枕を高くして寝られる。
・例文2:両親が老人ホームに入ってくれたおかげでこれからは枕を高くして寝られるはず。
・例文3:就職先が決まったこともあってしばらくは枕を高くして寝られそうだ。
このように安心して眠れる暮らしを表現する際に使用するのが「枕を高くして寝る」です。
単に寝るというよりは困り事や悩み事が消えたことで眠れるようになるような様子を指して使用します。
「枕を高くして寝る」の由来
ここからは「枕を高くして寝る」の由来を解説します。
「枕を高くして寝る」にまつわる故事
「枕を高くして寝る」は『史記』が由来とされています。
中国の戦国時代、遊説家の張儀が魏の王様に秦との同盟を結ぶよう進言した際「楚漢の患い無くんば、則ち大王枕を高くして臥し、国必ず憂い無からん」と説得したという記録が残っています。
この言葉には「敵から攻撃される不安がなければ、大王は枕を高くして眠ることができ、国の心配事も無くなるでしょう」という意味があります。
当時は戦国時代ということもあり、いつ敵が襲ってくるかわからない時代でもありました。
そのため、兵士は襲来に備えて地面に耳をつけたまま寝たり、遠くの音が聞こえるようエビラ(矢を入れる武具)を枕として寝たりしていました。
しかし、同盟を組んで敵襲を受けることがなくなれば、敵からの強襲に怯えながら眠りにつく必要はありません。
同盟を結んで戦争が集結すれば安心して高くした枕で寝ることができます。
そこから安眠できることを意味する言葉として「枕を高くして寝る」が広まったとされています。
つまり、枕を高くするのは「姿勢が正しくなって眠りやすくなる」わけではなく「敵の足音や地響きに怯えずに済む」という意味があるわけです。
張儀の逸話「吾が舌を視よ」
張儀には「吾が舌を視よ」という逸話が残っています。
古代中国の戦国時代に活躍した遊説家の張儀は、ある日「楚の宰相の貴重な玉」を盗んだと疑われ、屈辱・侮辱を受けてしまいます。
それを受け、張儀の妻は「あなたが学問をして遊説などなさらなかったら、こんな辱めを受けることはなかったでしょう」と嘆いたのだとか。
しかし、それに対して張儀は「舌がなくなってしまったら成功の見込みはない。私の舌はまだあるか?」と妻に尋ねました。
そうすると妻は笑いながら「ええ、ちゃんとありますよ」と答えました。
その後、張儀は「それなら大丈夫だ。舌さえあれば主義・主張を説いて回れる分、成功の見込みもある」と語ったとされています。
この逸話は遊説家の張儀らしいエピソードとして知られています。
「枕を高くして寝る」の類義語
ここからは「枕を高くして寝る」の類義語を紹介します。
愁眉を開く
「愁眉を開く」は、安心する様子を意味する言葉です。
不安や心配がなくなって、ほっとした顔つきになることを意味します。
悲しみや苦しみがあると人は眉を閉じて険しい顔となります。
逆に何もなければ安堵の表情を浮かべるのではないでしょうか。
その様子を表現したのが「愁眉を開く」という言葉です。
その点が「枕を高くして寝る」に通ずるものがあるでしょう。
人心地
「人心地」は、生きている気持ちを意味する言葉です。
日常会話でも使用される「生きた心地」と同じ意味となります。
この言葉はしばしばくつろいでいる表現として使用されます。
困惑も混乱もなく平穏無事に過ごせていることを指す言葉です。
その点が「枕を高くして寝る」と似ているのではないでしょうか。
まとめ
「枕を高くして寝る」は安心して眠れることを意味する言葉です。
ここでの「枕を高くする」は姿勢を良くするという意味ではなく、敵襲に怯えずに済むことを意味しています。
現代では不安や心配が何もなく、安心して寝られるという意味で使用されます。
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