「Qさま」「帰れま10」ヒット番組はどうやって生まれたのか? 逆張りが功を奏する
ヒット番組はどうやって生まれたのだろうか? そしてどうやって人気を獲得したのだろうか?そこにはやむにやまれぬ窮余の一策があった。
例えば『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』(テレビ朝日系)。深夜帯からスタートした同番組はもともと、芸人によるチャレンジものの企画がメインだった。目隠しとヘッドホンを装着した状態で10メートルの高さの飛び込み台まで移動させられ、それらを外した後、眼下のプールへ飛び込むのに何秒かかるかを競う種目であったり、海上10メートルの高さに造られた幅45センチという細長い橋を渡る「ビビリ橋」などが印象深い。
また今ではドッキリの定番となった感のある「コンビ解散ドッキリ」はこの『Qさま』から誕生したと言われている。2006年9月からのゴールデンタイム進出後も同じような企画をおこなっていたが視聴率は低迷。そこで当時全盛だったクイズ番組に舵を切ったという。
当時『クイズ!ヘキサゴンII』(フジテレビ系)など、おバカタレントを主軸にしたクイズ番組がヒットしていたため、『Qさま』もおバカタレントを入れて放送していたが視聴率は振るわず。そのとき、伊集院光が、妻から「頭のいい人でやってみたら?」とアドバイスされたそう。そこでスタッフが試しにインテリ芸能人を入れてリニューアルすると、視聴率もどんどん上がったという。おバカブームの「逆張り」が功を奏したのだ。
こちらもテレビ朝日系の番組だが、かつて『もしものシミュレーションバラエティー お試しかっ!』という番組があった。タカアンドトシ司会のバラエティで、そこから生まれた人気コーナー「帰れま10」は、番組終了後もスペシャルとして定期的に放送されている。
スタッフは当時、さまざまな飲食店の料理の人気ランキングを、実際に食べて当てる企画を考えていたという。ただ、食べて当てるだけでは企画のオリジナリティが出せない。スタッフから「しかも品目が多いのにベスト10を当てるなんて、ロケがいつ終わるか分からない」と言われたという。すると放送作家の鈴木おさむが「帰れないならそれを売りにすれば」と指摘し、「帰れま10」というネーミングの企画が生まれ、閉店時間が過ぎようが深夜になろうが当てるまで食べ続けるという極限企画がスタートしたという。こちらも逆張りというべきか、デメリットを前面に押し出すとメリットになるという好例かもしれない。
企画が生まれない時は、この逆張りをおすすめしたい。
(執筆者: 田中周作)
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