想像もしないことで死亡事故に…… 子どもを守るために知っておきたい「身近な危険」

想像もしないことで死亡事故に…… 子どもを守るために知っておきたい「身近な危険」

 外遊びが大好きで、公園を見つけるとすぐに走って行ってしまう子どもは多い。活発に遊ぶ内に、転んで膝を擦りむいて泣いてしまった……というのはよく見る光景だ。ただ転んで怪我をする程度ならいいが、死亡につながる危険があることも知っておいてほしい。書籍『子ども版 これで死ぬ 外遊びで子どもが危険にあわないための安全の話』(山と溪谷社)では、子どもの身近な場所での危険が実例付きで紹介されている。

 子どもが危険な目に遭ったあとで、「公園で遊んでいただけなのに」「部活動をしていただけなのに」と後悔しないよう、親子でしっかりと確認したい。

 さまざまな「危険」が紹介される中、特に怖いと感じたのは「ランドセルが遊具にはさまる」という危険だ。実際に石川県で、小学1年生の男の子が痛ましい事故に遭ったらしい。ランドセルを背負ったまま雲梯(うんてい)に登った男の子は、足からパイプの隙間に転落。ランドセルがパイプに引っ掛かると同時に、男の子の首もその前方のパイプに引っ掛かり、宙吊り状態になってしまったのだ。

 ランドセルを背負っていなければ、首が引っ掛かることなく、そのまま地面へ落ちるだけで済んでいたこの事故。小学生ともなれば高い遊具からジャンプするのを楽しむ子どもも増えるため、雲梯に限らず「遊ぶ際はランドセルを置くこと」を徹底させたい。

「遊具に引っかかるおそれのあるものは身に着けて遊ばないと子どもと約束しましょう。洋服のヒモやフードが遊具やドアノブに引っかかる事故も起きています。フードやヒモは、あらかじめ取り外します」(同書より)

 ランドセルだけでなく、肩からかけた水筒、フードや紐の付いた服も同様だ。幼稚園や保育園ではフード付きの服は禁止されているところもあるが、小学生になったからと油断していた人も多いのではないだろうか。私自身も子どもの服装にあまり意識を向けていなかったが、今一度危険はないか確認しようと思う。

 また、野球のスライディングが命取りになることも。北海道では13歳の中学生が、部活中にスライディングをして手首を骨折した。骨折自体は適切な治療を受ければ大丈夫だが、治療を受けた4日後に、破傷風の特徴と見られる症状が現れたそうだ。

 破傷風は、口や手足のしびれから始まり、重症化すると呼吸困難から死に至ることもある感染症。致死率は約50%とかなり高い。破傷風菌は土の中などどこにでもいるため、発症を抑えるにはワクチンでの予防が必要である。

「決められていた接種を受けていないと破傷風の発症を防げないため、母子手帳で予防接種歴を確認、未接種の場合はワクチンの接種を受けましょう」(同書より)

 破傷風のワクチンは2024年4月から、破傷風の他にジフテリア、百日せき、ポリオ、ヒブ感染症を予防するための5種混合ワクチンの定期接種が始まっている。2024年以前にも3種混合、4種混合ワクチンがあり、いずれも未就学児のときに受ける第1期と、11歳~12歳で受ける第2期の接種が必要だ。

 前述した13歳の中学生は、第1期は受けていたが、第1期の追加と第2期は未接種だったことから、破傷風に感染したと見られている。破傷風だけでなく、第1期と第2期の間に期間が空くワクチンは他にもある。うっかり未接種とならないよう、母子手帳でしっかりと確認しなければならない。

 ちなみに同書では身近な危険だけでなく、川や海、山などのレジャーで遭遇する可能性のある危険についても解説している。水辺や山に潜む危険は、普段の生活では気が付かないものばかりだ。だからといって、同書は「川や海、山などで遊ばないようにしましょう」といった趣旨のものではない。

「自然のなかでの遊びに、多かれ少なかれ危険はつきものです。私たちは『危ないからだめ』と言うのではなく、危険に対応する力を身につけることが大切だと思っています」(同書より)

 たとえば、川や海の事故はライフジャケットの着用で防げるものも多い。山では過去の天候や危険箇所、地形をあらかじめ調べておくなどの準備をするだけで、事故に遭う確率を減らすことができるだろう。知識があれば回避できる危険は多いのだ。

 他にも海で出会う危険生物や、毒ヘビへの対処法、毒キノコの危険性なども網羅している同書。大人が読むだけでなく、小さな子どもには読み聞かせ、小学生高学年くらいからは一緒に確認しながら読むとよいのではないだろうか。防げたはずの事故を起こさないように、ぜひ同書を「外遊びのバイブル」として常備したい。

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