遅咲きのインド人バレエダンサーが華麗に舞い、観客を魅了する ドキュメンタリー『コール・ミー・ダンサー』マニーシュさんインタビュー

遅咲きのインド人バレエダンサーが数々の試練に立ち向かいながら夢に向かって奮闘する姿をとらえ、世界各地の映画祭で多数の賞を受賞したドキュメンタリー『コール・ミー・ダンサー』が公開中です。

2020年のNetflix映画「バレエ 未来への扉」に本人役で出演したダンサーのマニーシュ・チャウハンのドラマチックな半生を描き出す本作。マニーシュさんご本人にお話を伺いました!

【ストーリー】18歳の時にボリウッド映画のアクロバティックな動きに魅了され、自己流のトレーニングを積み、驚異的なテクニックと柔軟性を身につけていくマニーシュ。イスラエル系アメリカ人のダンス教師イェフダとの出会いによって、クラシックバレエの技術を短期間で習得した彼は「プロのダンサーとして世界で活躍したい」「僕をダンサーと呼んで(=コール・ミー・ダンサー)」と、人生をダンスに捧げる。

――本作とても楽しく拝見させていただきました。長年マニーシュさんのことを捉えている映像でしたね。

Netflix映画「バレエ:未来への扉」に本人役として出演しているのですが、今回のドキュメンタリーの撮影はそれ以前より始まっています。イェフダの教え子でもあったレスリー・シャンパインが監督ているのですが、撮影は5年間ずっと続いていました。レスリーほど僕のことを知っている人はません。家族との付き合いも長く、半生を写しとってくれました。

感情的になっているところをあまり撮って欲しくなかったのですが、そういった場面にもカメラが入っていました。監督は本当に使って欲しくないものはカットするからと言ってくれたので、僕も監督を完全に信頼することが出来ましたし、完成した作品を観ると、僕が当時撮影されるのを嫌がっていた感情的になっているシーンが、映画としてすごく効いていたんです。監督に委ねてすごく良かったと思っています。

――インドではバレエというものがポピュラーでは無いそうですね。

今は小さいバレエ学校も少しずつできていますが、僕が始めた頃は、バレエを学べる学校すらありませんでした。今でもインドでバレエをやっているというと、みんなベリーダンスだというイメージが強くて。トゥシューズを見ても、これは何?といったくらいです。でもそのくらい普及していなかったからこそ、僕にとって「バレエは女性がやるもの」というイメージもありませんでした。先入観無くその世界に入っていくことが出来て良かったと思っています。

――マニーシュさんの肉体の使い方がとてもダイナミックで、繊細でありながら力強く感動しました。

ありがとうございます!僕がバレエに魅力を感じたことも、ターンなどの動きがエレガントで美しくありながら、とても力強いところでした。かつての男性のダンサーは、女性を立てるパートナーという立場でしたが、今は見せ方も変わってきています。男性は空中で3回、4回回転したり、ジャンプしたり、すごい強靭さを表現するバレエを踊ります。強さをすごく要求されるし、バレエで使うジャンプはブレイクダンスにも取り入れることもできると、ブレイクダンスをやっている友達に教ることもあるのです。

――ご家族の姿も印象的ですね。

両親は僕の言うことに反対したことはなく、常に応援してくれています。アートや芸術に関して知識がないので怖れているだけで、時間をかけて説明することで誰よりも応援してくれています。妹が病気になって深夜に病院に連れて行かなくてはいけなかったとき、父はタクシー運転手の仕事もできないし、母は家事も出来なくて、僕はよき兄でも息子でもなく、ダンスも半端になってしまったと思ったんです。2か月ほどスタジオに行かなかった時期があり、自宅で泣いていたのですが、父は「うちは借家だけど、お金を融資してもらえば、ダンスの学校に送り出すことができる」と言ってくれました。

――素晴らしいですね。今後のマニーシュさんの活動もとても楽しみなのですが、今後はどんなことにチャレンジしたいですか?

プロのダンサーとしての経験を100%したいと考えています。演技をすることに年齢制限は無いと思っていますが、ダンサーというのは年齢を重ねるとどうしても動けなくなってしまうリミットがあります。だから今は何に対しても扉を開いた状態にして、将来やりたいと思った時にできるような形を取りたいと思います。応援してくださったら嬉しいです。

――素敵なお話をありがとうございました!

(C)2023 Shampaine Pictures, LLC. All rights reserved.

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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