シャーデー、6年ぶりの新曲がトランスジェンダーへの意識を高めるためのチャリティーALに収録

シャーデー、6年ぶりの新曲がトランスジェンダーへの意識を高めるためのチャリティーALに収録

 人前に姿を見せないことで有名なポップ・シンガーであるシャーデーの6年以上ぶりの楽曲「Young Lion」が、11月にリリースされる非営利組織RED HOTの慈善アルバム『TRAИSA』に収録される。

 46曲入りのこのコンセプト・アルバムは現地時間2024年11月22日に発売予定で、サム・スミス、ローラ・ジェーン・グレース、デヴェンドラ・バンハート、ウィルコのジェフ・トゥイーディー、バーティーズ・ストレンジ、フェイ・ウェブスター、ジュリアン・ベイカー、モーゼス・サムニー、ハンター・シェイファー、アンドレ・3000、アーサー・ベイカー、フリート・フォクシーズ、テディ・ガイガーなど100人以上のアーティストが参加している。

 シャーデーは2010年の『ソルジャー・オブ・ラヴ』以来、フルレングスのアルバムをリリースしておらず、最新シングルは2018年の2曲で、映画『リンクル・イン・タイム』のサウンドトラックからの「Flower of the Universe」、スティーヴ・マックイーン監督の『ロスト・マネー 偽りの報酬』(原題:Widows)のサウンドトラックからの「The Big Unknown」だ。

 米ニューヨーク・タイムズは、トランスジェンダー男性である息子アイザックに捧げられたこの楽曲の雰囲気について、ソフトなピアノのリフとシャーデーの象徴的な癒しのボーカルが特徴的であり、共感と後悔に満ちた歌詞であると指摘している。この楽曲で彼女は、「若者よ、あなたにとってすごい重荷だったね/とても孤独を感じていたに違いない……私は気づくべきだった/太陽のように輝いて/あなたには必要なものがすべて揃っている」と歌っている。

 新曲、カバー曲、限定曲を集めたこのアルバムは、トランスジェンダーの認知度向上を目的としており、トランスジェンダー、ノンバイナリー、ジェンダークィア、シスジェンダーのアーティストが参加している。発表によると、このプロジェクトは2021年に始動し、1989年以来HIV/AIDSの救済と認知向上のために1,500万ドル(約22億円)以上を集めてきた非営利団体RED HOTによる、最も野心的なプロジェクトの一つとなる。この作品は、「8つの章と46曲にわたるスピリチュアルな旅で、現在活躍する最も大胆で想像力豊かなトランスジェンダーやノンバイナリーのアーティストの才能に、シャーデー、サム・スミス、アンドレ・3000、クレイロ、モーゼス・サムニーなど、多くの支援者(アライ)からの貢献やコラボレーションと一緒にスポットを当てている。この作品は、私たちが知る世界の境界線を和らげ、そのひび割れからいつか響き渡るかもしれない未来の力強い夢を呼び起こす」と説明されている。

 また、「トランスジェンダーの人々は、時代や文化によってさまざまな名称で呼ばれながらも常に存在してきた。しばしば、スピリチュアルなヒーラーや指導者として。人類と地球上の全生命体を地球規模のシステムが裏切り続ける中、トランスジェンダーの人々、そして抑圧されてきたすべての人々の歩んできた道のりは可能性の青写真だ。これが私たちの解放の兆しであり、私たち一人一人の内に宿る光であることを願う」と、プレス・リリースは続いている。このプロジェクトは3時間半以上の音楽で構成され、レインボー・プライド・フラッグの8本のストライプにちなんで8つの章に分けられている。

 マッシマ・ベルとともにこのアルバムを制作した、RED HOTのエグゼクティブ・ディレクターであるダスト・リードは、このアルバムの目的は、“トランスジェンダーのアーティストたちが世界にもたらしてきた贈り物”を称えることだったと語り、「私たちは、現在の社会情勢の中で、自分自身を肯定するために彼らが行っている深い内面的な作業を踏まえ、トランスジェンダーやノンバイナリーの人々を社会のリーダーとして位置づけるナラティブ(物語)を作りたかった。これは誰もがすべきことだと感じた。トランスジェンダー、ノンバイナリー、あるいはそれ以外と自認するかどうかに関わらず、時間をかけて自分のジェンダーを探求し、感情的な側面とつながることができれば、コミュニティー、協調、思いやり、癒しといった価値観を中心とした未来が訪れるかもしれない」とコメントしている。

 トランスジェンダーのモデル兼活動家であるベルは同紙に対し、シャーデーの歌について、「トランスジェンダーの子どもの親としての心からの経験を、伝説的なミュージシャンであるシャーデーが歌っているのを聞くのは素晴らしい。信じられないほどパワフルだ」と語った。リードはまた、このプロジェクトは2021年に亡くなった、人々に愛されたエレクトロニック・ミュージシャンでプロデューサーの故ソフィーにインスパイアされた部分もあると付け加えた。リードは、「ソフィーは、既存の枠にとらわれない、世代を定義するミュージシャンであり、これまで私たちが経験した中で最も重要なトランスアーティストの一人だった」と語っている。

 このコレクションの最初のシングルは、ローレン・オーダーとプリンス&ザ・レボリューションの元メンバーであるウェンディ&リサによる故プリンスの「I Would Die 4 U」のカバーだ。ウェンディ&リサは声明で、「プリンスの曲のカバーで私たちを感動させるのは難しい。特に“I wud die 4 u”のような私たちの個人的なお気に入りでは。しかし、ローレンの歌声と感覚的な感性は私たちに語りかけてきた。私たちはこのプロジェクトと、この曲を特別なものにするためにローレンにできる限りの協力を喜んでした。あえて言うなら、プリンスもこのバージョンのいくつかの革新を楽しんだかもしれない」とコメントしている。

◎トラックリスト
Chapter 1 ― Womb of the Soul
1. 「Midnight Moon Pool」Mary Lattimore, Laraaji, MIZU and Jamal Shakeri
2. 「You Don’t Know Me」Devendra Banhart, Blake Mills and Beverly Glenn-Copeland
3. 「How Sweet I Roamed」Jeff Tweedy, claire rousay
4. 「Same Train」Heart Shaped and Christian Lee Hutson
Chapter 2 – Survival
5. 「STAR」Ana Roxanne and Nsambu Za Suekama
6. 「Please Tell Me」Lightning Bug
7. 「Make ’em Laugh」Benet, Faye Webster
8. 「Get Me Away From Here, I’m Dying」Julien Baker and Calvin Lauber feat. SOAK and Quinn Christopherson
9. 「Rumblin’」Soft Ronin feat. Frankie Cosmos
10. 「Deeper Understanding」Hand Habits feat. Bill Callahan
Chapter 3 – Dark Night
11. 「Under the Shadow of Another Moon」Hunter Schafer and Cole Pulice
12. 「Blush」Grouper and Lucy Liyou
13. 「Is It Cold In The Water?」Moses Sumney
14. 「Know Who You Are At Every Age」Anajah and Gary Gunn
15. 「Is It Over Now?」Niecy Blues feat. Joy Guidry)
Chapter 4 – Awakening
16. 「Something Is Happening And I May Not Fully Understand But I’m Happy To Stand For The Understanding」Andre 3000
17. 「Come Back Different」Nina Keith feat. Julie Byrne and Taryn Blake Miller
18. 「Song To The Siren」Rachika Nayar feat. Julianna Barwick and Cassandra Croft
19. 「Love Hymn」Arthur Baker feat. Pharoah Sanders
20. 「People Are Small / Rapture」L’Rain feat. Voices from the NYC Trans Oral History Project
Chapter 5- Grief
21. 「We’ve Been Through So Much」Jlin and Moor Mother
22. 「My Name」Kara Jackson, Ahya Simone and Dave Longstreth
23. 「Point of Disgust」Perfume Genius and Low’s Alan Sparhawk
24. 「In Another Life」Lomelda and More Eaze
25. 「Pink Ponies」Teddy Geiger and Yaeji
26. 「A Survivor’s Guilt」Yaya Bey
Chapter 6 – Acceptance
27. 「Just Last Night」Helado Negro and Eileen Myles
28. 「Feel So Different」Ezra Furman and Sharon Van Etten
29. 「Mourning Dove」Gia Margaret
30. 「Feel Better」Adrianne Lenker
31. 「Any Other Way」Allison Russell and Ahya Simone
32. 「Down Where The Valleys Are Low」Asher White, Eli Winter and Caroline Rose
33. 「TM」Fleet Foxes, Cole Pulice and Lynn Avery
34. 「Querube」AV Maria, SKY and Belina Rose
Chapter 7 – Liberation
35. 「Within Without」Green-House and Kelela
36. 「Aaron」Cassandra Jenkins, Bloomsday and Babehoven
37. 「Young Lion」Sade Adu
38. 「You Make Me Feel (Mighty Real)」Moses Sumney, Lyra Pramuk and Sam Smith
39. 「Many Ways」CLARITY feat. Clairo
Chapter 8 – Reinvention
40. 「I Feel Free」Sparkle Division feat. Pepper MaShay
41. 「Get Free」Nico Georis, KB Brookins
42. 「Wolf Like Me」Bartees Strange, Anjimile, Kara Jackson
43. 「Surrender Your Gender」Laura Jane Grace feat. Lee Ranaldo, Jayne County, Kathi Wilcox, Jay Dee Daugherty and Am Taylor
44. 「I Would Die 4 U」Lauren Auder and Wendy & Lisa of the Revolution
45. 「Always」Time Wharp, Elizabeth and Beverly Glenn-Copeland
46. 「Ever New」Sam Smith and Beverly Glenn-Copeland

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