スタラス小諸でワイナリー見学&ランチ。推しワインを探す長野の旅
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日本国内には、ワインやスピリッツ、日本酒などの、たくさんの訪問できる生産地があり、どこも魅力にあふれています。
はじめまして。お酒業界歴17年、国内外のお酒の生産地巡りをライフワークにしているお酒ライターの児島麻理子です。お酒を楽しむコツは、「推しのお酒」をつくること。生産地を訪れることは、その大きなきっかけになります。今回は、推しとなるワインを探しに、2023年にオープンした長野県小諸市にある「STARRACE KOMORO(スタラス小諸)」 へ。ワインとランチ、列車旅だからこそのほろ酔い旅行に出発です。
東京駅を出発
軽井沢駅からローカル線に乗って
JR東京駅からJR軽井沢駅までは約1時間。旅の行程を考えていたら、あっという間に着いてしまいます。長野への旅は、列車と宿のセットがお得に予約できる「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」を利用するのがおすすめ。
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ワンマン運転のローカル線、しなの鉄道
軽井沢駅から小諸駅までは、しなの鉄道で約25分。降りるときは手動でボタンを押す、昔ながらのワンマン列車に旅情が高まります。
スタラス小諸 ワイナリーツアー
耕作放棄地で小諸産ワインをつくる
小諸駅から「STARRACE KOMORO(スタラス小諸)」までは、タクシーで10分ほど。
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奥の三角屋根の建物は小諸高原美術館
到着と同時に広がる絶景! それもそのはず、スタラス小諸は、小諸市街を見渡す「飯綱山公園」の中にあります。「農業で人と人をつなぎ、ふれあいを生み出す」をコンセプトに、敷地内にはワイナリーや小諸高原美術館などがあり、一日過ごせる施設です。
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醸造施設のあるワイナリー・ショップ棟
まずは「Komorokko Farm & Winery」へ。モダンな雰囲気のワイナリーとショップ、その横には小さなぶどう畑、すこし上った先にはレストラン棟も。夏祭りなどを行うこともあり、まさにユートピア!
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施設内の小さなブドウ畑
こちらでは、醸造スタッフによる「ワイナリーツアー」が開催されています(予約制)。今回予約したのは、ブドウ畑見学、ワイナリー見学、試飲とフルパッケージの120分コース。
ツアーは、なんとトゥクトゥクに乗るところからスタートです。栽培醸造家の小船睦巳さんの案内で、所有する畑のひとつ「ZEKKEI vineyards」へ。
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ワイン畑にはトゥクトゥクで移動
「耕作放棄地だったので、はじめは木を伐り、石を拾うことから始まって。まさに開墾してきましたね」と小船さん。トゥクトゥクに揺られながら、ワイン畑になるまでの歴史を伺います。
管理するブドウは、小諸の地に約20,000本、約16種類。一度は放棄されたかつての棚田や桑畑は、美しいワイン畑となって周囲の風景に溶け込んでいます。
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日照時間が長くて、寒暖差があり、水はけのよい土壌の小諸はブドウにとって最適な環境。ブドウの樹はたくさんの太陽を浴びて、元気そのもの。
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秋に向けて実りだすブドウ。こちらはシャルドネの畑。
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自社農園であることを記したポール
開かれた農園を目指して、農業体験も開催しているそう。生産地の風景や風にふれて、小諸のブドウに愛着が湧いてきます。
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ブドウ畑の見学の後はワイナリーへ。まだ稼働してほどない最新鋭の機械は、手入れも丁寧に行き届いていてピカピカに輝いています。
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コンクリート製の醸造タンク
国内では珍しいコンクリート製のエッグタンクも。ステンレスよりも空気を含ませることができるため、まろやかな味わいが期待できるそう。2024年の秋から稼働予定。
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アカシアやオークのワイン樽。ワインの樹がまだ若いことから、樽の香りは付けすぎず、果実のフレッシュな味を生かしたつくりをしているそうです。
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自社畑のブドウでつくった「en 2023」
ワイナリーツアーの後は、待望の試飲へ。どれもきれいな酸味が特徴で、白はトマトやバジルを感じるカプレーゼのような香り、ロゼは明るいチャーミングな果実感、赤はほんのりレーズンを感じるものでした。
「次回のヴィンテージ(※)はまた違う味わいになりますよ」と小船さん。いまから秋の発売が待ち遠しい!
※編集部注:ブドウが収穫された年のこと
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いちばん左にあるのは、オーパス・ワン!
ツアー後も楽しみは続きます。ショップ内試飲コーナーでは、フランス、イタリア、ジョージア、アルメニアなど各国のワインの試飲が可能。ワインの楽しみをたくさんの人に知ってもらいたい、というオーナーの想いから、かの有名なカリフォルニアワイン「オーパス・ワン」も10mlから試飲ができます。
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お土産に「en 2023」のロゼを購入
スタラス小諸 ランチ
ワインに合わせた3業態のレストラン
スタラス小諸が一望できる建物にあるのが、イタリアン、焼肉、鉄板焼きの3つのレストラン。この日はテラス席のあるイタリアン「GK(Grower’s Kitchenグロワーズキッチン)」におじゃましました。
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高台にあるレストラン棟
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「GK」のテラス席
ワインにきれいな酸味を与えているという山からの風が爽やか。ブドウと同じ風を浴びながら、この地のワインをいただくという贅沢!
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ランチのパスタセットとワイン
本日のグラスワインに合わせて、長野の夏野菜を使ったパスタを。地元の農家さんとのつながりを大事にするスタラス小諸には、採れたての野菜が届きます。新鮮な味わいが嬉しい。
自社ワインが軽やかな味わいであることから、お料理は重くなりすぎないよう心がけられているそうです。
E’CUVEこもろ
小諸駅構内のワインバー「E’CUVEこもろ」
小諸駅に戻ると、次なるワインスポットがあります。しなの鉄道の小諸駅には、2023年にエキナカ飲みができるワインバー「E’CUVEこもろ」が誕生しました。
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1番線ホームに突如現れるワインバー
良質なワイン用ぶどうが育つ土地を「バレー」と呼びますが、長野県には5つのワインバレーがあり、80軒ものワイナリーがあります。E’CUVEこもろでは小諸が属する「千曲川ワインバレー」を中心に、長野県のワインを常時グラスで9種類ほど提供。飲み比べセットもあります。
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本日のグラスワイン
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「ミリ・ボーテメルロー」
ホームに入る列車を眺めながら、グラスワインをいただきます。まずは、犬のラベルで人気の「ミリ・ボーテメルロー」をオーダーしました。これも「推しワイン」入りだなあ!
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コンパクトに角打ちできる店内
木製の温かみがある素敵な店内には、いたるところに列車の標識が。実はオーナーが集めていた私物の標識を飾っているそうです。発見するのも楽しい!
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観光列車「ろくもん」を見送ります
ホームにあることから、列車の乗り換え時間に、駆けつけ1杯される人の姿も。給水所ならぬ給ワイン所として賑わっていました。
この日は小諸駅から軽井沢駅にしなの鉄道で移動し、軽井沢で1泊。翌日のワイン旅に備えます。
アトリエ・ド・フロマージュ軽井沢店
世界の賞を受賞する軽井沢のチーズ専門店
お酒旅に出たときに、忘れてはならないのが地元のおつまみ。2日目は軽井沢周辺で、昨日購入したワインに合わせて、お土産となる食材探しです。
ワインに欠かせないチーズは、軽井沢の名店「アトリエ・ド・フロマージュ軽井沢店」へ。
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「ワールドチーズアワード」「アルティザンチーズアワード」などで、輝かしいチーズの賞を受賞しているチーズ工房の直営ショップ。自家製チーズが15種類ほど揃うほか、ヨーグルトやチーズケーキ、長野の食材も並んでいます。見た目にも美しい!
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想いのこもった手書きのPOP
お土産のワインはロゼを選んだことをスタッフに伝え、勧めていただいたのは「ブルーチーズ」。ヨーロッパに負けない本格的ブルーながら、日本人に食べやすい味を目指し研究したお店の自信作だそう。
また、地元の「湯ノ丸高原 山のチーズ」と、お店名物の「自家製生チーズ」も。生チーズには信州産のアカシア蜂蜜や、ジャムを混ぜるアイデアも教えていただきました。
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店内には長野産ワインも
チーズを調達できたら、次はハムの専門店へ。バスで10分ほどです。
軽井沢デリカテッセン
地元で愛される自家製デリカの専門店
軽井沢駅から旧中山道へ上がると、賑やかな観光街が現れます。そこから少し小道に入ったところにあるのが、地元の人にも愛されるハム・ソーセージの専門店「軽井沢デリカテッセン」です。
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本場ドイツ製法で手づくりされ、サクラやナラの木で燻されたハムやソーセージは、どれも艶やかでおいしそう!
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ソーセージだけで10種類以上
長野のワインと合わせたいことを伝えると、スタッフの方が選んでくれたのは、肉を酢やワイン、ゼラチンで固めた「アスピック」や、パプリカが鮮やかな「リオナ」などのハムと「豚レバーのパテ」。熟練のスタッフが食べ方に合わせたお勧めを教えてくれますよ。
お土産のワインとおつまみ
帰宅後はお土産で旅の続きを
軽井沢から東京に戻ってきました。旅の終わりは寂しいものですが、ワイン旅の醍醐味はここからです。
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お土産で楽しい食卓ができました。
推しワインとなった「en 2023」のロゼは、長野の飯綱山の風を思い出させる爽やかな味わい。生チーズはアボカドと混ぜて海老のディップに。地のワインと地のチーズとハム・ソーセージは、やはりこれ以上ないマリアージュです。
旅が家の食卓までつながるのが、お酒旅のよいところ。推し酒探しの列車旅を、みなさまもぜひ。
東京駅に到着
掲載情報は2024年9月4日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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