【WST2024ブダペスト・パーク】開心那3位!劇的なオリンピック最終予選を制したのはキーガン・パルマー&アリサ・トルー
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パリオリンピックの代表選考大会、ワールド・スケートボード・ツアー(WST)の第2フェーズとなるオリンピック予選シリーズ(OQS)のパーク最終戦が6月23日にハンガリー・ブダペストで開催され、開心那(15歳)が3位で表彰台入りし、長谷川瑞穂(13歳)が4位、草木ひなの(16歳)が5位でそれぞれ入賞した。
東京オリンピック金メダリストの四十住さくら(22歳)は準決勝9位で決勝にわずかに届かなかった。
優勝はウェドル(ミュート)540とボディバリアル540、フロントサイドキャバレリアルリーンtoテールなどのトリックを決めた、オーストラリアのアリサ・トルー(14歳)、5月の上海大会に続いての連勝となった。
準優勝は東京オリンピック銅メダリストで2022年度(開催は2023年2月)の世界女王、イギリスのスカイ・ブラウン(15歳)、4月上旬に負った膝内側側副靱帯断裂からわずか3ヶ月足らずで見事な復帰劇を見せた。
今大会の結果を受けて日本勢は開心那、草木ひなの、四十住さくらがパリオリンピック代表に内定。男子は永原悠路が予選敗退となるが、オリンピックランキング17位で代表に内定した。
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最終的な日本人の順位は以下の通り
※()内は大会前と大会後の順位
パーク女子
開心那(1位→1位)四十住さくら(3位→3位)草木ひなの(4位→5位)長谷川瑞穂(9位→6位)菅原芽衣(22位→19位)中村貴咲(25位→28位)
パーク男子
永原悠路(14位→17位)
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海外勢ではイギリスのレジェンドスケーター、アンディ・マクドナルド50歳がパリオリンピック出場内定!(パリオリンピックのパーク種目開催時は51歳)
今大会の準決勝では、ボディバリアル540、フェイキーウェドル(ミュート)540、ショーンペン、キックフリップインディなど50歳とは思えない動きのトリックを見せてくれた。
年齢の壁をどこまで壊してくれるのか?パリオリンピックでの滑りにも注目したい。
(ちなみに筆者が20年以上前に初めて買ったスケートシューズが、エアウォークのアンディ・マクドナルドのシグネチャーモデルでした)
【代表権争いは三者三様のドラマへ/女子パーク】
出典:WORLD SKATEホームページより
https://www.worldskate.org/skateboarding/about/regulations/category/554-olympic-qualifying-system.html
スポーツの世界ではよく「ドラマチックな◯◯」という言葉を目にするが、今回の最終予選ほどこの言葉がピッタリなのではないだろうか。
東京オリンピック金メダリストの四十住さくらが、まさかの準決勝敗退(9位)を喫する中、迎えた女子パーク決勝、東京オリンピック銀メダリストの開心那は5月の上海大会終了時点でオリンピックポイントの点差で代表入りを内定。
WSTブダペスト・パーク2024女子決勝の映像
四十住が準決勝9位で、オリンピックポイントが304,388点で確定したことにより、今大会前のランキング4位でオリンピックポイント194,175点を持つ、草木ひなのは決勝を4位(115,940点)以上なら代表内定を勝ち取れる展開に。
一方、今大会前のランキング9位でオリンピックポイント138,152点の長谷川瑞穂は決勝2位(168,000点)以上なら確定。
決勝のラン2本を終えたところで、草木ひなのが2位、長谷川瑞穂5位、開心那6位で最終滑走3本目を迎える。
最初の滑走者、アメリカのルビー・リリーがフルメイク(ノーミスで滑りきること)できずに7位。
2人目の滑走者、フィンランドのヘイリー・シルビオがジャンプボックスでフロントサイド360や、ウェドル(ミュート)540などのランで82.68点を獲得し7位に。
3人目の滑走者、草木ひなのが得意のバックサイド540、サランラップエア、サランラップテール、バックサイドロックンロールスライドなどを完璧に決めるランで、1本目と2本目を上回る89.60点のスコアを出し(この時点で順位は2位で変わらないが)パリオリンピック出場へ大きく近づく。
4人目の滑走者、長谷川瑞穂がここで素晴らしいランを披露する。
ジャンプボックスをバックサイド360で飛び越え、ここまでメイク率が良くなかったキックフリップインディを決め、バックサイド540、ノーズグラインドを決めるフルメイクのランを見せ91.58点を獲得、一気に順位も2位にランクアップし、このままいけばパリオリンピック代表内定という展開を見せる。
ここで5人目が、四十住とも仲が良いことでも知られる、東京オリンピック銅メダリスト、イギリスのスカイ・ブラウンがキックフリップインディ、アーリーウープのフロントサイドエア、マドンナ、アーリーウープのバックサイドエア、ステイルフィッシュ、バックサイドテールスライド、ロデオ360、フロントサイドクレイルスライドなどを決めるランを見せる。
スコアボードに表示された得点は、長谷川の得点を0.35上回る91.93点。
この時点で、残された滑走者はブラジルのライカ・ベンチュラ(この時点で5位)、開心那(この時点で6位)、オーストラリアのアリサ・トルー(この時点で1位)だが、オリンピックポイントで長谷川が草木を上回ることができなくなったためこの瞬間、長谷川のパリへの道は消え、四十住さくらの2度目のオリンピック出場が内定した。
結果的にはスカイの素晴らしい滑りが、盟友でもある四十住のパリオリンピックへの道を後押しする形になり、得点が出た瞬間スタンドに向けて指をさすスカイに対し、スタンドで見守っていた四十住もガッツポーズで応え、思わずコースとスタンドの2人が駆け寄るシーンとなった。
その後は6人目の開心那が、キックフリップインディ、フロントサイドノーズグラインドからのディザスターなどのランで91.83点を獲得し、長谷川の91.58点を0.25点上回り3位に。
結果的には長谷川は4位で今大会を終えたが、自身が持つ最高の滑りを見せることで今大会、大きな感動を与えてくれた。
【四十住選手、まさかの得点の理由】
WSTブダペスト・パーク2024女子準決勝の映像
女子パーク準決勝ではまさかの波乱が起きた。
先述しているが、東京オリンピック金メダリストの四十住さくらが9位で準決勝敗退を喫したのだ。
大まかな展開としてはこうだ。
ラン2本目を終えたところでの四十住の得点は82.17点で8位。
最後のラン3本目で、それまで11位だったフィンランドのヘイリー・シルビオがジャンプボックス越えのフロントサイド360とウェドル(ミュート)540などを入れたフルメイクのランで83.00点を獲得し、7位に順位を上げる。
四十住は9位で迎えた3本目ではランの構成を途中、ヒールフリップインディに変えると見事にフルメイクのランを見せる。
仲間であるイギリス、スカイ・ブラウンが駆け寄り、見ている誰もが得点がどこまで伸びるかに注目する中、スコアボードに表示された得点は82.09点。
まさかの2本目より得点が下がる結果となってしまう。
これがあまりに気になったので個人的に検証してみたところ、ラン2本目のジュードーエアを3本目ではヒールフリップインディに難易度を上げていたが、その直後のジャンプボックスを2本目ではメロングラブで飛び越えていたのを、3本目ではそのまま通り抜けてしまっている。
その後、2本目ではフロントサイドリップスライドtoスミスグラインドを決めていたセクションでは、フロントサイドスミスグラインドのみに難易度が下がっていた。
採点には改めてセクションの使い方が重要なのは理解できたが、明らかにトリックの難易度は上がっていただけに、あまりに残酷な結果に思わず言葉を失った。
【2刀流にとっては過酷なスケジュールに/男子パーク】
WSTブダペスト・パーク2024男子決勝の映像
男子パークは日本勢では永原悠路が予選でフルメイクのランを見せることができず、43位で予選敗退してしまうが、決勝を終えた時点での最終的なオリンピックランキングでは17位でパリ代表の座が内定。
決勝は東京オリンピック金メダリストのオーストラリア、キーガン・パルマー(21歳)が優勝。アメリカのトム・シャー(24歳)が準優勝、アメリカ、テイト・カリュー(19歳)が3位で表彰台に上がった。
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ここではアメリカ勢にとてつもないドラマが生まれる。
ストリート種目との2刀流出場が期待される東京オリンピック銅メダリスト(ストリート種目で)ジャガー・イートン(今大会前のオリンピックランキングはストリート、パーク共に2位)がストリート種目の予選終了時点でパリ代表の座を内定させ(オリンピックポイント差でアメリカ勢の3位以内が確定したため)ストリート準決勝を辞退してまで臨んだパーク種目だったが、準決勝16位で決勝に上がれず。
今大会前のジャガー・イートンはパーク種目オリンピックランキング2位(281,406点)で16位のポイント25721点が加算され、最終ポイントは307,127点。
決勝では今大会前オリンピックランキング9位(150,411点)アメリカ勢では4番手だったトム・シャー(準決勝2位)が2位(168,000点)以上なら合計オリンピックポイント318,411点でジャガーを抜いてアメリカ勢3枠に入れる展開に。
そのトム・シャーは決勝のラン1本目からバックサイド540、ヒールフリップインディ、テールグラブ540、キックフリップインディtoフェイキーなどの高難度のトリックをフルメイクし93.48点を獲得。
首位でラン2本目を迎えると、1本目のランにアーリウープ キックフリップインディ加えたラン構成で94.46点を獲得し、さらにスコアを伸ばす。
その直後に、キーガン・パルマーがキックフリップメロン、キックフリップインディ、ステイルフィッシュ540、フロントサイドキックフリップインディ、アーリーウープ インディ540など、化け物のようなランを見せ94.94点を獲得し首位の座を明け渡すが、ラン3本目ではキーガン・パーマー以外はトム・シャーの得点を越えることができず。
劇的な形でパリオリンピック代表の座をつかんだ。
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この結果を受け、ジャガー・イートンはアメリカ勢4番手となり、オリンピックランキングは5位にも関わらず、パーク代表の座を逃す形に(オリンピックランキング1位から5位までは2位のキーガン以外は全員アメリカ勢)。
5月の上海大会の時もだが、OQSに入ってからはストリート種目とパーク種目が同時に開催されるスケボーライター泣かせのスケジュールは、ストリートとパークの2刀流出場を目指す世界唯一の男、ジャガー・イートンにとっても過酷なスケジュールだったはずだ。
オリンピックのために戦い抜いてきた男にとって、唯一の落とし穴はWSTのスケジュールだったのかもしれない。
【パリ五輪出場争いがついに決着】
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2023年2月からUAEのシャルジャで行われた世界選手権からスタートしたパーク種目のパリ五輪代表選考ツアー大会も、この日ついに終わりを迎えた。
パリオリンピックスケートボードは1種目につき22名(各種目22名、その内ホスト国枠とユニバーサリティ枠が1枠ずつ確保されている)までの出場が予定されているが、1ヵ国最大3名までの出場となる。
スケートボードのパーク種目は、45秒間自由にコース内を滑りながら技を披露するランを3本行い、その内のベストスコアで順位が決まる。
技を失敗した時点で試技はストップとなり、採点は100点満点で小数点以下2桁まで。
オリンピックならではの特徴としては、大陸枠が確保されているところ。
1つの大陸から、選手がオリンピックランキングの上位に入れず、出場枠を取れなかったとしても、その大陸の代表選手のランキング上位の選手が出場できる。
• この規定により、例えばOQS最下位となる44位の南アフリカ代表のダラス・オーバーホルツァー(パリオリンピック出場時には49歳!)はアフリカ大陸枠で出場権を獲得している。
パリオリンピックの女子パークは8月6日に、男子パークは8月7日に開催が予定されている(ストリートは7月27日と7月28日)。
【パリへ向け盤石の滑り/開心那】
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5月に行われたOQS上海大会でパリオリンピック代表権をすでに手に入れている開心那は予選、準決勝共に危なげない滑りで勝ち上がり、決勝に駒を進める。
決勝ではキックフリップインディやフロントサイドとバックサイドの2種類のノーズグラインドなどを滑りきり、83.28点を獲得。
2本目では1発目のキックフリップインディをミスしてしまうが、3本目のランでは1本目より難易度を上げるランを見せる。
以下、開心那3本目のラン
・キックフリップインディ
・バックサイドテールスライド
・ステイルフィッシュディザスター
・フロントサイド5-0
・フロントサイドエア
・フロントサイドクレイルスライド
・フロントサイドノーズグラインド
・バックサイドノーズグラインド
・エクステンションボックスにフロントサイドスミスストール
・変形型ボルケーノでフロントサイドフィーブルから内に入り、ブラントをかけてコースイン。
・フロントサイドノーズグラインドtoディザスター
・ステイルフィッシュ360
・フェイキーオーリー
以上のトリックをメイクし91.83点を獲得。
3種類のノーズグラインドとキックフリップインディで見事に表彰台入りを果たした。
これまでパリオリンピック予選大会ではノーズグラインド、キックフリップインディ、クレイルスライドといった開ならではのトリックを中心に勝ち上がってきたが、パリオリンピックではどんなトリックを見せてくれるのか。
コンコルド広場で首にかけるメダルの色にも期待したい。
【OQSブダペスト・パーク2024男子リザルト】
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1位 キーガン・パルマー(オーストラリア)-94.94
2位 トム・シャー(アメリカ)-94.46
3位 テイト・カリュー(アメリカ)-92.65
4位 ギャビン・ボッガー(アメリカ)-92.10
5位 オウグスト・アキオ(ブラジル)-90.48
6位 キエラン・ウーリー(オーストラリア)-89.16
7位 ビクトル・ソルムンド(デンマーク)-87.76
8位 ヴィンセント・マセロン(フランス)-82.02
【OQSブダペスト・パーク2024女子リザルト】
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1位 アリサ・トルー(オーストラリア)-93.38
2位 スカイ・ブラウン(イギリス)-91.93
3位 開 心那(日本)-91.83
4位 長谷川 瑞穂(日本)-91.58
5位 草木 ひなの-89.60
6位 ライカ・ベンチュラ(ブラジル)-85.93
7位 ヘイリ・シルビオ(フィンランド)-82.68
8位 ルビー・リリー(アメリカ)-82.00
文・小嶋勝美
スケートボードに関する情報を幅広く執筆する、スケートボードライター兼放送作家兼スケーター。10年間のお笑い芸人生活を経たのち、放送作家をしています。
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