ドラクエ歌手であり作家の鴻上尚史さん / 漫画『セクシー田中さん』作者死去についてコメント発表

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鴻上尚史さんといえば、作家や演出家として著名なだけでなく、『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(DQ3)の歌手としてもゲームファンの間で知られている多才な人物だ。その楽曲はオリコンチャートで30位以上にランクインしたほどである。

その鴻上尚史さんが、人気漫画『セクシー田中さん』の作者・芦原妃名子先生が亡くなった件について言及し、注目を集めている。

鴻上尚史さん「痛ましい出来事の激震が続いています」

鴻上尚史さんは「痛ましい出来事の激震が続いています」と気持ちをコメントしつつ「問題は「変えないで欲しい」という原作者さんの意向をちゃんと出版社が伝えたかどうかです」と語っている。以下は、鴻上尚史さんのX(旧Twitter)ツイートである。

<鴻上尚史さんのXツイート>

「痛ましい出来事の激震が続いています。僕自身、原作を提供したこともあるし、脚色したこともあります。僕はずっと今回の悲劇を「原作者と脚本家」の問題にしてはいけないと思っていました。作者さんの中には、「絶対に変えないで欲しい」と要望する人もいるし「おまかせします」と言う人もいます。それは、いいとか悪いの問題ではなく、原作者さんの個人の判断です。問題は、「変えないで欲しい」という原作者さんの意向をちゃんと出版社が伝えたかどうかです。そして、それをちゃんとテレビ局が受け止めたかどうかです。そして、もっと大切なのは、その要望が違っていた時に、それに対して対応するのは、原作者個人ではなく、原作者側に立つ出版社であり、その変更の要望を対応するのも、脚本家の前にテレビ局、つまりプロデューサーです。プロデューサーが「絶対に変えないで欲しい」という原作者さんの意向をどれぐらいのレベルで伝えたのか。そして、出版社は、どれぐらいの熱意で、その言葉をテレビ局に伝えたのか。そこを問題にしないまま、「原作を変えることは是か非か」という論点にシフトすることは、意味がないと僕は思っています。この佐藤秀峰さんの文章は、はっきりと出版社もテレビ局も、原作者の意向を無視し、原作者の立場を守ろうとしていないという痛切な事実が綴られています。その経済的な要求と脚本家の立場をイコールにしてはいけないと思います。問題は、原作者と脚本家ではなく、出版社とテレビ局です。そう思います」

<佐藤秀峰先生のnote引用>

作品が自分の手から奪われていく感覚がありました。
「漫画と映像は全くの別物である」と考えました。
そうしないと心が壊れてしまいます。

映画はDVD化されてから観ました。
クソ映画でした。
僕が漫画で描きたかったこととはまったく違いました。

しかし、当時はそうした感想を漏らすことはしませんでした。
たくさんの人が関わって作品を盛り上げている時に、原作者が水を指すのは良くないのかなと。
自分を殺しました。

こうして僕は映像に一切文句を言わない漫画家となりました。
一方、出版社への不信は募ります。
何も言わないことと、何も不満がないことは違います。

言えることは、出版社、テレビ局とも漫画家に何も言わせないほうが都合が良いということです。
出版社とテレビ局は「映像化で一儲けしたい」という点で利害が一致していました。

出版社はすみやかに映像化の契約を結んで本を売りたいのです。
映像化は本の良い宣伝になります。
だから、漫画家のために著作権使用料の引き上げ交渉などしません。
漫画家の懐にいくら入ったところで彼らの懐は暖まらないのです。
それより製作委員会に名を連ね、映画の利益を享受したい。
とにかくすみやかに契約することが重要。
著作権使用料で揉めて契約不成立などもっての外。

テレビ局はできるだけ安く作品の権利を手にいれることができれば御の字。
漫画家と直接会って映像化の条件を細かく出されると動きにくいので、積極的には会いたがりません。
出版社も作家とテレビ局を引き合わせて日頃の言動の辻褄が合わなくなると困るので、テレビ局側の人間に会わせようとはしません。

漫画家の中には出版社を通じて映像化に注文を付ける人もいますが、出版社がそれをテレビ局に伝えるかどうかは別問題です。
面倒な注文をつけて話がややこしくなったら企画が頓挫する可能性があります。
出版社は、テレビ局には「原作者は原作に忠実にやってほしいとは言っていますけど、漫画とテレビじゃ違いますから自由にやってください」と言います。
そして、漫画家には「原作に忠実にやってほしいとは伝えているんだけど、漫画通りにやっちゃうと予算が足りないみたい」などと言いくるめます。

引用:佐藤秀峰さんnote エントリー「死ぬほど嫌でした」より抜粋
https://note.com/shuho_sato/n/n37e9d6d4d8d9

「原作を変えることは是か非か」という点は別問題

鴻上尚史さんの言葉は、まさにエンターテインメントを作る業界のど真ん中の人の考え。それゆえ、とても興味深いものといえる。

「問題は「変えないで欲しい」という原作者さんの意向をちゃんと出版社が伝えたかどうか」が問題であるならば、「原作を変えることは是か非か」という点は別問題であるのがわかる。皆さんは、鴻上尚史さんの考えをどのようにお思いだろうか。

(執筆者: クドウ@地球食べ歩き)

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