【千葉県旧富山町(南房総市)】ひっそり佇む、南総里見八犬伝ゆかりの地

千葉県旧富山町(南房総市)

日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。

今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。

「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。

今回は、千葉県旧富山町(南房総市)を写真とともに紹介する。

Vol.141/千葉県旧富山町(南房総市)

南房総市の旧富山(とみやま)町にやってきた。県南西部の浦賀水道に面するまちで、西側の海岸線を除いた地域は丘陵性の山地に囲まれている。内房線のJR岩井駅を訪れると、駅の周辺を中心にまちなみが形成されていた。

看板には「民宿のまち 岩井」と書かれていた。大正6年の房総西線(現内房線)が開通後、岩井海岸が内房の海水浴場として発展したことで、民宿を含めたまちなみが形成されていったのだろう。

とみさんと読む

岩井駅へ

岩井海岸の近くにまちなみが広がっていた

伏姫籠穴へ

大きな白玉だ

『仁・義・礼・智・忠・信・考・悌』

そして、滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』ゆかりの地である「伏姫籠穴(ふしひめろうけつ)」を訪れた。伏姫が愛犬の八房とひっそり暮らしたとされている地だ。物語はフィクションがベースであり、伏姫籠穴がいつ誰の手により掘られたのか、存在していたのかも定かではない。

とはいえ、立派な門をくぐり、整備された長い石段を登っていくと、物語の世界に入ったかのような心地になった。周辺には苔がびっしりと生え、ひとりでは非常に怖い。鳥や虫の鳴き声もいつも以上に不気味に感じられた。

いよいよ洞窟があって、その中に何かがあって、それを覗くというのだから、また怖いのである。手前には一つの大きな白玉があり、奥にはおそらく八つの玉、『仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌』があった。

多くの方は里見八犬伝のファンでこの地を訪れているのだろう。ぼくは逆で、フィールドワークで現地に出会い、それから作品や歴史を知るという流れである。旅が終わったら、南総里見八犬伝を読もう。

(仁科勝介)

写真家プロフィール

仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
仁科勝介公式Twitter:https://twitter.com/katsuo247
仁科勝介公式Instagram:https://www.instagram.com/katsuo247/

    

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