人生を好転させたいなら、過去に負った心の傷”リトル・ミー”を癒してあげよう

人生を好転させたいなら、過去に負った心の傷”リトル・ミー”を癒してあげよう

「これまで一生懸命がんばってきたけれど、なぜだかあまり幸せを感じられない」「仕事や恋愛で同じ失敗を繰り返してしまう」――そう感じている人がいるとしたら、それはもしかしたら自身の”幼少期の記憶”と関係があるかもしれません。

 「人生の9割は、幼少期の記憶で決まる」と言うのは、『「小さな私」の癒し方』の著者の心理カウンセラーmasaさん。私たちの多くは幼少期のことをあまり覚えていませんが、実は潜在意識のなかでは、これまでに起こったすべてのことを記憶しており、「幼少期の記憶は大人になってからも、考え方や行動に影響を及ぼしている」(同書より)とmasaさんは記します。

 生まれついてネガティブ思考の赤ちゃんはいません。私たちは成長する過程のどこかで心に傷を負い、その傷が今の人生にも影響を与えていると考えられます。とすれば、そうした過去の心の傷を見つけて癒してあげれば、ずいぶんと生きやすくなるのでは……? とはいえ、そうした作業をひとりでおこなうのは至難の業です。そこで、この難所を乗り越えるための手助けとなるのが同書です。

 自身の過去を見直すうえで重要なのが、タイトルにもある「小さな私(リトル・ミー)」です。リトル・ミーとは、心理学で言うところの「インナーチャイルド」のこと。過去に傷ついた自分、過去に傷ついた記憶を意味し、それは自身の過去の分身でもあります。リトル・ミーという呼びかたのほうが、響きがかわいらしくて親しみが持てますね。

 同書は物語編と解説編の二部構成になっています。物語編では「幸子」という女性が「大和」というカウンセラーと出会い、カウンセリングを通して自身のリトル・ミーを知り、癒されていく過程が描かれます。

 44歳の主婦・幸子はアルバイト先で自分にばかり当たりのきつい”お局さん”に苦手意識を感じており、愚痴をこぼしても取り合ってくれない家族に不満を感じています。話を聞いた大和から「幸子さんの苦手なお局さんは、お母さんに似ている気がする」と言われ、幸子は自分の悩みが親に対する感情と大きく関係していることを知って衝撃を受けます。幸子の物語を通して、読者自身もカウンセリングを受けているような体験ができることでしょう。解説編ではさらに多くの体験談とともに、人生に起こる悩みの「意味」について深掘りしていきます。

 仕事、家族、恋愛、友情、お金……人生に悩みはつきものですが、なぜかいつも同じようにうまくいかない原因は、深く傷ついたリトル・ミーがさまざまな形で現在の人生にブレーキをかけている可能性があります。「ほとんどの場合、最も傷ついたリトル・ミーを癒すだけでも、見違えるほど人生は大きく変わっていきます」(同書より)というmasaさん。これまで自分でも気づいていなかったリトル・ミーを探しに、皆さんも過去の記憶と向かい合ってみてはいかがでしょうか。

[文・鷺ノ宮やよい]

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