『攻殻機動隊 SAC_2045』田中敦子・大塚明夫・山寺宏一インタビュー「この3人がそろい“まだ終わらないな”という感じが嬉しかった」
1989年に「ヤングマガジン増刊 海賊版」(講談社)にて士郎正宗が原作コミックを発表して以来、 押井守監督による『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(1995年)をはじめ、 アニメーション、ハリウッド実写映画など様々な作品群を展開し、世界中に驚きと刺激を与え続けてきた「攻殻機動隊」シリーズ。
最新作『攻殻機動隊 SAC_2045』は、『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズの神山健治と、『APPLESEED』シリーズの荒牧伸志によるダブル監督、 Production I.Gと、 SOLA DIGITAL ARTSの共同制作によるアニメーションシリーズです。シーズン1が2020年4月より、シーズン2が2022年5月よりNetflixにて世界独占配信された本シリーズを、 日本アカデミー賞6部門受賞の『新聞記者』や『余命10年』等、実写映画で活躍する藤井道人監督が再構成した劇場版『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』が、 2023年11月23日(木・祝)より3週間限定・30館にて劇場公開中です。
草薙素子役の田中敦子さん、バトー役の大塚明夫さん、トグサ役の山寺宏一さんにお話を伺いました。
――本作楽しく拝見させていただきました!『攻殻機動隊 SAC_2045』のシーズン2が劇場版に編集され、新シーンも増えていますが、皆さんは劇場で公開されることについてどう感じられていますか?
大塚:“時短”というと言い方があれかな。シーズン2を全て観ようと思うと非常に時間もかかりますから、こうして劇場版になることで観るきっかけになると良いなと思います。
田中:劇場版をきっかけに、もっと深掘りしたい方は改めてアニメーションシリーズを観ていただけると嬉しいですね。そして、すでにご覧になっている方には、アニメーションと違った結末を体験していただきたいです。神山健治監督と藤井道人監督が長時間にわたるディスカッションを重ねられたそうで、とても意義のあるストーリーになっています。
山寺:藤井監督が手掛けられているということで、邦画の世界で大活躍されている方ですから、いつか僕も端役でも良いのでいただきたい…というのは冗談にして(笑)、「攻殻機動隊」って色々なバージョンが作られているので、どれから観て良いのか迷う方もいると思うんです。劇場版はコンパクトに上手にまとまっていますので入りやすいですよね。攻殻って本当にたくさんのキャラクターと用語が出てくるので……僕ですら、毎回「あれ、これなんだったっけ」って思ったりもするんですよ(笑)。
大塚:あるよね(笑)。
――さらに新キャラクターも追加されていきますものね。「攻殻機動隊 SAC_2045」で登場したシマムラタカシ(演・林原めぐみ)、江崎プリン(演・潘めぐみ)が本作ではかなり重要なキャラクターとなっています。
大塚:改めて「林原めぐみは天才だな」と思いました。シマムラタカシは通常であれば男の声になるはずなのにそうじゃない。林原さんの声であるにもかかわらず、その違和感を抱かせない演技力っていうんですかね、そのあたりがやはりただものではなくて、彼女は別にすごく大きな声をだすとか、太い声をだすとか、そういうことをしているわけではない。それにもかかわらず、シマムラタカシの声を生み出せるのはすごいなと思いますね。
田中:素子とシマムラタカシの最後の会話のシーンは、林原さんと一緒に録ったんです。コロナ禍の収録だったので、2つのスタジオをつないでヘッドファンで相手の声が聴こえるようにして、林原さんとは同じスタジオのなかで掛け合いをしながら、彼女の声を生で聴いていました。神山監督から「こういう感じでもう一回やってもらえますか」と何パターンか違う演技を求められていたのですが、林原さんはそのオーダーに見事にこたえながら演じられていて素晴らしかったです。
大塚:本当にすごいよね。
田中:あとは、「攻殻機動隊 SAC_2045」シリーズを通しての“影の主役”って言い方があっているかどうか分かりませんが、「攻殻機動隊 S.A.C.」シリーズのタチコマ的な立ち位置にいたのが「SAC_2045」ではプリンだと思うので、プリンのセリフにもずいぶん泣かされました。林原めぐみさんも素晴らしかったけど、プリン役の潘めぐみさんも素晴らしい。
大塚:“ダブルめぐみ”だ!
山寺:本当だ!
田中:(笑)。“ダブルめぐみ”の潘さんもまた本当に天才的な役者さんで、嬉しかったです。
山寺:最初プリンって、おじさんばかりの「攻殻機動隊」シリーズに新しさを与えてくれたキャラクターで、僕自身も「こういうキャラクターがいたほうがいいかも」ぐらいに思っていましたけど、まさかこんなに大事な役割をはたす人物だったとはと驚かされました。特にシーズン2の展開は、プリンとバトーとの関係もふくめて全てににわたって目が離せませんでした。潘めぐみさん自身の真っ直ぐさも、もうプリンそのものに感じられて。
田中:ほんとにそう。最後にプリンが公安9課のメンバーと再会するところは特に泣けました。
大塚:再会するところで、バトーが微動だにしないんだよな。あそこは、色々なことを考えているのかもなと思っていたら、少佐がスッと席を外して。見ていて「おおっ」となった演出です。
――プリンと公安9課との関係性が本当に泣かされますよね。いちファンとして、まだまだ皆さん公安9課のお芝居を味わっていきたいです。
田中:最終回の収録が終わったとき、自分のなかで「攻殻機動隊」に参加するのは最後かもしれないと思って寂しかったんです。「攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間」では藤井直人監督が物語を再構成されてシリーズとはラストが少し変わったこともあり、その部分の録り直しを今年の9月に行いました。そこでまたこの3人のメンバーがそろい、「まだ終わらないな」という感じがあってうれしく思いました。今回の劇場版の終わり方も、ちょっと先をイメージするような部分もあって、そういうところも楽しんでいただけたらなと思います。
大塚:シリーズの収録のとき、田中さんは確かに「もうこれで終わりなのかな」というようなことをしきりに言われていたのを覚えています。僕や山ちゃんは能天気にいたんですけど、田中さんは「自分がいつまでちゃんと素子を演じ続けられるのか」というようなことを考えていて、「そんなことないよ、大丈夫だよ」と言うんですけど、確かに我々も年をとっていくからね。
田中:義体化しないと、義体化。
大塚:いつまでも元気でいないと。
山寺:我々に「お願いしよう」となったときに、「あれ、ちょっとどうかな?」という状態だったら困りますからね(笑)
田中:元気で頑張りましょうね。
――今日は本当に素敵なお話をありがとうございました!
撮影:オサダコウジ
劇場用長編アニメーション
『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』
3週間限定で全国30館にて劇場公開中
(2023年11月23日(木・祝)公開)
Netflixにて全2シーズン&『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』世界独占配信中
○攻殻機動隊 SAC_2045サイト
https://www.ghostintheshell-sac2045.jp
○「攻殻機動隊 SAC_2045」公式X(旧Twitter)
@gitssac2045 / ハッシュタグ #攻殻機動隊 #sac2045
○『攻殻機動隊』公式X(旧名Twitter):@thegitsofficial
○『攻殻機動隊』公式Instagram:@theghostintheshellofficial
○『攻殻機動隊』公式グローバルサイト:https://theghostintheshell.jp
(c)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会
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