新たなタンパク質分子を作成する生成AIモデル「Chroma」発表、健康科学の進歩加速へ期待
2023年11月15日、機械学習を活用した生成生物学プラットフォームを提供している米国の医薬品会社「Generate:Biomedicines」が、タンパク質治療のための生成AIプログラム「Chroma」を総合科学学術雑誌「Nature」から発表した。
生成AIを活用した治療薬の作成
Generate:Biomedicinesは、2020年に創立された機械学習、生物工学、医学の交差点に存在する新しい種類の治療薬会社である。特に同社では生成生物学を先駆的に取り入れ、数百万のタンパク質を研究し、新たな医薬品の生成につなげているという。新たなタンパク質を生成するためのAIモデル「Chroma」
Chromaは、生物物理学的および生物学的特性をターゲットにしてプログラムできる新規タンパク質を生成するAIモデルである。同社はこのモデルをより広範な研究コミュニティに利用可能にすることで、生成生物学の科学の進歩を加速することを目指しているという。生成AIがタンパク質分子の早期設計に貢献
Chromaモデルを活用すれば、タンパク質の配列、構造、機能の間の関係を支配する一般化可能な原理を推論できるようになる。
これにより、同社は幅広い治療特性を持つ新規タンパク質分子を迅速に設計することが可能に。タンパク質の設計開発がこれまでよりも早く行われる生成AIの可能性を実現し、健康、材料科学、その他の分野に大きな影響を与えるという。
Chromaはオープンソースソフトウェアとして世の中へ公開
Chromaのコードはオープンソースソフトウェアとして入手でき、学術研究者や非営利団体は自由にアクセスできる。これにより、さまざまな企業がChromaを使って、生物学における研究をさらに推進させることが可能になる。
生物学はプログラム可能な領域になりつつある
Generate:Biomedicinesの最高経営責任者であるMike Nally氏は「Natureによる当社のChromaの公開は生物学がプログラム可能になりつつあるという、より広範な科学コミュニティに明確なメッセージを送っている。また、機械学習と世界クラスのウェットラボ機能を組み合わせることで、当社はAIを活用した創薬と開発における競争上の優位性を確立し維持しながら、人類の最も難治性の病気を治療および治癒できる医薬品の開発を継続できる独自の立場にある。」と述べている。
生成生物学により新薬開発の新時代をもたらす
タンパク質ベースの治療薬は医薬品市場の重要な部分を占めているが、既存のほぼすべての治療アプローチは、自然界に存在するタンパク質の修飾に焦点を当てている。これらのタンパク質は、考えられるすべてのタンパク質のほんの一部にすぎないという。
Generate:Biomedicinesでは、新しいタンパク質の構造と配列を直接サンプリングできるようになる。これにより、試行錯誤に基づく創薬手法から脱却し、より速く、より安価で、プログラム可能な新薬開発の新時代が期待される。
(文・よし @yoshibizcom)
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