「八戸前沖さば」を求めて青森県へ。サバ料理の数々に館鼻朝市も
サバという魚がいる。全国各地で水揚げされる、誰もが知る昔から食べられてきた魚だ。もちろん、おいしいサバというものも存在する。その一つが青森県・八戸のサバだ。「八戸前沖さば」とブランド化されている。
私はサバが好きだ。写真を撮ったり、このように文章を書いたりする仕事をしているけれど、普段からサバについて考えている。それはなぜか? おいしいからだ。おいしいサバを食べたいのだ。ということで、JR東京駅から八戸を目指すことにした。
東京駅を出発
八戸のサバがおいしい理由
八戸港は、サバの主漁港のなかでは本州最北端に位置する。サバは海水温が18度になると脂肪分が高くなるといわれており、八戸の沖は9月に入ると海水温が急激に低下する。つまりサバのおいしい環境になるのだ。
この季節の八戸のサバは脂肪分が30%に達するものもある。ブランド化されている「八戸前沖さば」は脂の乗りが日本一とのことで、とてもおいしいと聞く。
そんなにおいしいならば食べなければならない。私はサバが好きなのだ。焼いても煮てもいい。サバ缶もよく食べている。そんなにサバが好きなら八戸に行かねばならない。行かないという選択肢はないのだ。
1980年頃、JR上野駅からJR八戸駅までは東北本線を使い、「特急はつかり」や「寝台特急はくつる」などに乗り、約7時間半もかかった。それが今では東北新幹線で約3時間。サバは足が早いけれど、新幹線も速い。新幹線の速いはとてもうれしいことだ。
ちなみに、「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」であれば、新幹線と宿がお得なセットで予約できます。
サバ料理のお店 俵屋
殿堂入りしたサバ丼
JR本八戸駅から歩いて3分ほどで、最初の目的地である「俵屋」に到着する。ここで「八戸前沖銀さばトロ漬け丼」を食べる。2016年、2017年の全国ご当地どんぶり選手権で連続してグランプリを受賞し殿堂入りした逸品だ。
この料理の特徴はサバが生であることだ。サバ料理は火を通すことが多い。あるいは塩や酢で締めるが、それでは生の味からは離れてしまう。本当の味を引き出せるのは生であるというこだわりのもと、江戸前寿司の伝統技法である「漬け」に行き着いたのがこの料理だ。
食べるとわかる。酢で締めていないので酸味がなく、サバの持つ力を雑味なしで楽しめる。さらに先に紹介した脂の力を知ることができる。旨みが凝縮されたような味わいになるのだ。臭みは皆無。こんなにサバっておいしいのか、とあらためて驚いた。
メニューには「サバに命賭けてます」と書かれていた。その通りなんだと思う。おいしいという言葉以外に感想が出てこなくて、ひたすら感動した。八戸のサバの力をいきなり実感した瞬間だった。
八戸ポータルミュージアム
愛称は「はっち」
俵屋から歩いて10分ほどの場所にある「八戸ポータルミュージアム」に行く。愛称は「はっち」だ。特産品を買うことができ、さらに八戸について知ることができる展示も数多くある。そしてなんと入館は無料だ。
豊年祈願の八戸の郷土芸能「八戸えんぶり」の展示もあった。開催日が限られている郷土芸能などは、なかなか実際に見ることができないのでうれしい。地域の産業の展示もあった。昔と今の八戸を知ることができる。街の成り立ちを理解してから歩くと、昔の街も見えてくる気がして楽しいので、おすすめです。
サバ料理のお店 居酒屋弁慶 旬・十三日町店
夜もサバ!
はっちをたっぷり堪能していたら、もう晩御飯を食べていい時間になっていた。明日の朝は早いので晩御飯を食べて早く眠らなければならない。では晩御飯は何を食べるのか? サバである。もちろん八戸のサバである。
はっちから歩いて3分くらいだろうか、「居酒屋弁慶 旬・十三日町店」に着く。ここでは八戸のサバはもちろん地元の食材にこだわった料理を食べることができる。私はサバしか頼まなかったけれど。とにかくサバが好きなのだ。ビールも頼んだけど。
しめサバ刺、サバの味噌煮、サバの棒寿司を頼んだ。どれもビールに合う。サバは優秀だ。味だけではない。サバの脂肪分にはEPA・DHAという不飽和脂肪酸が含まれていて、血液中のコレステロールや中性脂肪を減少させてくれるらしい。健康にもいいようだ。
サバの味噌煮といえば、サバ料理の王道だ。ホロホロになったサバの身に出汁の効いた味噌がしみておいしい。脂も乗っている。生臭さはもちろんない。完璧とはなんだろう、と考えるとこのサバの味噌煮もその一つだ。
私がそもそもサバ好きだから、というのもあるけれど、ただただおいしいと思える。八戸はサバの楽園だ。あるいはサバ好きの楽園だ。
館鼻岸壁朝市
朝市へ朝一に!
本八戸駅近くのホテルに着くと、お風呂に入り早々に眠った。それはなぜか? 早朝、「館鼻岸壁朝市」に出かけるからだ。館鼻岸壁朝市は日の出とともに始まり9時には終了してしまう。
館鼻岸壁朝市は毎週日曜日に開催され、日曜日だけその朝市に行くためのバス「ワンコインバス・いさば号」が走っている。はっちから歩いてすぐの「十三日町」というバス停が始発だ。5時55分が1本目で最終便が6時45分の計4本。私は5時半に並んだけれど、15分前(5時40分)くらいには長蛇の列になっていた。
※編集部注: 3月中旬~12月の毎週日曜に開催(休市、特別開催などもあり)。詳しくはホームページでご確認ください
約15分で着くのであっという間。そして、到着した館鼻岸壁朝市は大変な賑わいだった。2004年に館鼻岸壁に移転してきた朝市で全長は800m、300以上のお店が並んでいる。
なんでもあると言ってもいいかもしれない。いや、精密機器とかはないけれど。300店以上あるのだ、なんでもある感じがする。その場で食べることのできるお店もたくさんある。ここで朝食を食べようと800mを歩き、吟味して、いろいろ買った。
ここでもサバをたくさん買った。サバだけを買った。八戸のサバが私の心を掴んで離さないのだ。どれも最高においしかった。心地よい海風が最高の調味料だ。
もちろんサバ以外にもたくさんある。量が多すぎてパックが閉まらない焼きそばとか、青森を代表するとうもろこしブランド「嶽きみ」を茹でたものとか、せんべい汁とか。挙げればキリがないほどなんでもある。選ぶのが大変という、うれしい悲鳴を上げることになると思う。
ユートリー
サバを満喫した!
八戸に来てからサバしか食べていない。しかし料理はさまざまでかぶっていない。サバはいろいろな料理になるのだ。
最後は、館鼻岸壁朝市から本八戸駅経由で八戸駅へ。駅前の「ユートリー」でお土産を買う。何を買おうか。
「八戸サバ缶バー」を買った。八戸港で水揚げされた、先にも登場した八戸前沖さばを使ったサバ缶だ。味もいろいろあり、迷ったので箱に入っているセットのものを買った。だってどれもおいしそうなんだもん。八戸のサバはヤバい。食べても食べても飽きることがないのだ。
サバづくしの旅だった。それでもサバに飽きることはなく、これを書いている今もまた八戸のサバを食べたいと思っている。館鼻岸壁朝市もよかった。活気のある中を歩くと楽しい。街の力のようなものを感じる。ちなみに館鼻岸壁朝市は8時頃になると売り切れのお店が目立ち始めるので、とにかく早く行くのがよいと思う。
東京駅に到着
掲載情報は2023年10月19日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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